■番組で自閉症を「病気」、テレビ朝日がおわび
(読売新聞 - 05月16日 14:54)
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はたして、世の中に何人の人が、どれが病気で、どれが病気でないかを正確に判断することができるだろう。
はたして、世の中の何人の人が、病気を正確に定義付けすることができるだろう。
これは、医師だって難しいはずだ。
何故なら、医師は、患者が自分の元に訪れた際、何らかの病名を付け、診断を下す、これが仕事だからだ。
病名が付く以上、病気と言われれば、そうかも知れないが、実はそうではない。
その診断が病気かどうかを判断するのは、医師ではないからだ。
判断するのは、診断された本人であり、社会であるからだ。
だから、この病気の定義は、非常に難しい。
僕は、鍼灸師であり、専門は東洋医学である。
実は、この病気という言葉、東洋医学で定義付けが可能である。
元々の語源が、東洋医学から来ているからだろう。
病気の気は、精神の気を指すように思われているが、実は違う。
気は、東洋医学で言う、気、血、水(津液)の気である。
気とは、わかりやすく言うと、生命活動における活動力と言ったところか。目に見えるのでなく、概念だ。詳しく説明すると、大変なので、そう思っていただきたい。
病気とは、その人体における気のバランスが著しく崩れた状態で、そのバランスの崩れが、症状として人体に出てきた状態を指す。
そして、そこまでいかなくとも、気の陰陽のバランスが崩れることを、東洋医学では、病気の前駆状態として、未病と呼ぶ。
東洋医学では、このバランスを調えることを、治療としている。
この定義でいくと、東洋医学では、医師が病名を下さなくとも、気のバランスが著しく崩れていれば、病気とすることも理論的には、有り得る。
つまり、病気とは、東洋医学で定義付けたところで、それくらい、曖昧模糊なものなのだ。
今回のテレビ朝日の不手際は、その曖昧模糊とした病気という概念に、ちゃんとした線があるように扱ってしまったことだ。
だが、自閉症が病気か、と問われれば、これは診断が下っている以上、判断するのは、社会であり、本人であるため、人それぞれである。
ちなみに、僕のところに来る患者さんには、老人性の変形疾患、例えば、変形性膝関節症などの患者さんが多く来るが、僕は、そういった患者さんに、変形性疾患は、病名は付いているけど、これは病気じゃないよ。老化現象の1つだよ、と言っている。
これも、社会に対しての僕の個人的見解であり、間違いではないはずだ。
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