mixiユーザー(id:2129235)

2012年05月16日06:07

9 view

『白旗の少女 琉子』

 2本目『白旗の少女 琉子』アニメ。61分、1988年。

 次第に戦局が悪化する第二次世界大戦末期。平和だった沖縄もとうとう戦場になる。1945年4月1日、米軍が沖縄に上陸。幼い琉子は砲撃で母と妹を失い、一人沖縄の山野を逃げまどう。味方のハズの日本軍人は妖怪のように恐ろしくおぞましく、頼りにならない。それどころか、隠れ場所から住民を追い払ったりする。そんな中、琉子は鉄血勤皇隊(軍属)の伝令役少年・コウタと出会い、彼と再び出会うことを生きる張り合いにする。しかし、皆は沖縄本島南端のガマ(洞窟)に追い詰められ...



 有名な写真「沖縄戦末期。6歳くらい?の少女が、白旗を持って米軍に投降する。その後を沖縄の民間人や日本軍人がついてくる」に触発され、映画にまで膨らませた作品。ちなみに当の元・少女(琉子のモデル)には取材していないそうな。


 「対馬丸」とは異なり、劇画調の絵柄。この、絵による誇張が激しく、見ていてゲンナリする。日本兵(特に上層部)の表情など妖怪のようだし、米軍の兵器も当時はまだ無かったと思われるものが出て来たり、住民の感情表現も大袈裟だったり、和服の合わせが逆だったり。まるで何十年も前のロボットプロレスアニメ。とても質が低く、リアリティを損なってる。

 ストーリーも、昔の「朝日ジャーナル」や今の「週刊金曜日」、あるいは関連書籍などで読んだことがあるエピソードを組み合わせたもの。とっても左派っぽい。一つ一つのエピソードの多くは事実なんでしょうけど、そればかりを組み合わせると、かえってリアリティが失われる。

 「どこかに悪人がいるんだ、すべてはそいつのせいだ、一般人や良心的軍人は悪くない」的史観は、左翼の人が採ることが多い(例えば、A級戦犯や昭和天皇などに、第二次世界大戦などの責任の多くを押し付けるなど)けど、胡散臭いと思う。この映画にも少しだけ、「対馬丸〜」ではシッカリと描かれているけれど、普通の人、あるいは善人ですら、殺し殺されしているウチに暴走し、ある意味狂ってしまうのが戦争の恐ろしさだと私は思うから。例えば、現代沖縄で暴走し沖縄県民に被害を及ぼす米海兵隊員だって、軍に入る前までは普通の人だった可能性が高いと思うし。


 沖縄の方が作った絵本を、左派的想像力で膨らませ過ぎたため、失敗してしまった作品に感じた。この映画より、同時上映された「対馬丸〜」の方がずっと良い出来。



 なお、米軍人をやたら善人揃いに描いている点も印象的。実態は、そんなワキャないと思うけど?当然、非道な軍人もいたでしょ。硫黄島とかでもそうだったらしいし。

 そういや、沖縄の人の中には米軍以上に自衛隊を嫌がる人も少なくない、とかどこかで読んだっけ。それだけ、沖縄戦の時の日本兵の印象が悪かった、と言うことね。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する