mixiユーザー(id:148348)

2012年05月03日02:18

47 view

アチャパチャノチャ考

随分前に、マイミクH氏がこの歌に日記で触れているが、
日本のキャンプソングに、ラップランド起源とされる
アチャパチャノチャ、あるいは、アチャパチャノーチャという
歌がある。

http://www30.tok2.com/home/wcw/action/action23.htm

アチャパチャノチャ アチャパチャノチャ
エベスサデベスサドラマサデ
アチャパチャノチャ アチャパチャノチャ
エベスサデベスサドラマサデ
セタベラケイセアバチャ セタベラケイセアバチャ
アチャパチャノチャ アチャパチャノチャ
エベスサデベスサドラマサデ

アチャパチャノチャ(オカリナ インストルメンタル)
http://youtu.be/dvbAKu18esA

論点1
まず、ača pača nočaと検索しても何も出て来ない。
単語の分け目を変えていろいろくっつけてみてもダメ。
čの変わりに、サーミ語(=ラップ語)っぽくはないが
ch、tch、tsch、tjなどと変えてみてもダメ。
もし、仮に現地に昔存在したものだとしても、
現代、ネットに登場するほどポピュラーなものでは
最早ないようだ。

論点2
上記の歌詞を見ると「この言語」は、音素配列論的に、
CV(Cは子音、Vは母音)を基本とした開音節言語である
ということ。日本語は、撥音「ん」や、促音「っ」に
目をつぶれば開音節言語であり、ハワイ語なども
開音節言語だ。(日本語の拗音については、
本筋に関係無いので、省略する。)

一方、サーミ語は、子音終わりの閉音節を
結構多く含んだ言語である。
もし、そんなサーミ語が原語だとしたら、
歌詞にもその痕跡が無いと行けない。
日本語が外国語を取り入れるときには、
音節末子音や、子音クラスターには、
基本、u母音を、タ行とダ行の時だけo母音を
挿入する。

(他の開音節化傾向を持った言語が
 外来語/外国語音を取り入れる時には
 別な母音が挿入されたり、子音が落とされたりするが、
 現代日本語ではその様なことは主要な戦略としては使われない。)

そのu母音(あるいはo母音)を挿入したかもしれないのは、
エベスサデベスサの「ス」と、
ドラマサデの「ド」である。

「ス」に関しては、後続音節もサ行であるから、
もしそこが母音無しのsだったとしたら、
エベッサデベッサとして取り入れられたはずで、
これは却下される。

ドラマサデのドラが、draあるいはdlaだった可能性は
あるが、歌われるときに、ドにもラにも音符が
当たっていることは、これの弱い反証になる。

そうなると、この歌詞は、やっぱり、もともと
開音節言語のものだと強く推定できる。
そうなると、サーミ語原語説は怪しくなる。

論点3
キャンプソングとして同様に歌われる歌に、
マイミクS氏によると、
「洗濯屋のばあちゃん」というのがあって、

「えべすさ(恵比寿さん?)出ベソでドラ猫ニャー」

という歌詞が出て来るそうである。

洗濯屋のばあちゃん
http://youtu.be/cppdlRuiqgM

「セタベラケイセアバチャ」と
「洗濯屋のばあちゃん」も似ている。

これを無関係と考えるのは不自然だろう。<笑>

で、ラップランド民謡説が正しかったとしたら、
この「洗濯屋のばあちゃん」は、アチャパチャノチャに
対して、似た単語に日本語で意味のある単語を当てた
替え歌、ということになりそうだが、
寧ろ、その「替え歌」の方向が逆なんじゃないかと
思えてもくる。



予備的推測
この歌は、日本語の音素を、日本語の音素配列論の
範囲内でならべて、異国情緒を醸し出した、
無意味語の歌なのではないかというのが
ひとまずの結論である。

そしてもしかしたら、意味のある「洗濯屋のばあちゃん」
から「逆に」無意味な「アチャパチャノチャ」が
作成されたのかも知れない。



蛇足
日本語の音素を、日本語の音素配列論の
範囲内でならべて、異国情緒を醸し出した、
無意味語の歌というと、
真っ先に思い浮かぶのが、
バンド、NITORON。

無意味語の歌でイメージを醸し出そうとする
地域は、もっと「南の方」なので、
その点は違うが、それ以外は似ている。

NITORON - アップダウン
http://youtu.be/pxxdi5mBRUM

http://vakxsergiev.blog68.fc2.com/blog-entry-2054.html
3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2012年05月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031