20120110 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
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【文字起こし】
水野:京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺います。小出さんこんばんはー。
小出:こんばんは。
水野:よろしくお願いします。
近藤:こんばんは、よろしくお願いします。
小出:よろしくお願いします。
水野:まずですね、今日多くのリスナーの方から、えー似通ったご質問が来ておりますので。
小出:はい。
水野:これから答えていただきたいと思っております。
小出:はい。
水野:というのはですね、東北や関東各地で放射線の量が、今年になって上昇しているのが気になると、いうお便りを多くの方から頂いているんです。
小出:はい。
水野:で、えーっと場所によっては、去年の、4月に出ていた、数字。に、匹敵するような数値が出ている地域もあると、ネット上で話題になっているんだそうで、福島県郡山市のアトウさんという方がですね、いやー、事故から9ヶ月、少し油断して生活していた時期で、初詣やご挨拶回りなど外出している時間も多かったので、心配していますと。いう風に、下さいました。
小出:はい。
水野:これは・・・どういう事実だと認識したらよろしいんでしょうか。
小出:えー・・・正直に言うとよく私にも分かりません。
水野:はあ。
小出:えー可能性としては、えー・・・福島第一原子力発電所から、いまだに新たな放出があるという可能性がひとつ、だと思います。えー特に、この番組でもずっと聴いてきて頂きましたが、4号機の使用済み燃料プールというところが大変不安定な状態にありますので。
水野:はい。それは昨日もお話いただいておりましたところですね。
小出:はい。そこが、何かの地震などで、プールの水が漏れるというようなことになりますと、えーすぐまた放射能の放出に繋がりますので、そういう可能性はひとつとしてはあると思います。
水野:はい。
小出:ただし、えー・・・放射性物質というものは、これまでも聴いて頂いた通りどんなことをしてもなくならない、のです。
水野:ええ。
小出:一度、環境に出てきてしまうと、それは環境中で移動している、のです。
水野:うーん。
小出:えー山をはじめ汚したものは、だんだん下に落ちてきて、田畑を次々と汚染していくということになりますし、田畑の汚染は、また今度は川のほうに流れていって海へ流れていくというように、常に移動しているのです。
水野:はい。
小出:でー・・・地面を汚染したものも、場合によっては風で巻き上げられて、また空気中に出てくるというようなこともありますので、えー、一時的にどこかの地域が高くなるということは、ありうると思っておかなければいけないことだと思います。
水野:はあー。新たなものが、
小出:はい。
水野:あの・・・急に、原発から出た、ということよりも、
小出:はい。
水野:既に出たものが、
小出:移動している。はい。
水野:どこに存在するかというその風などで、移動してる場所が変わる、という・・・ことの方が可能性としては高いと思われ
小出:(笑)どちらだかよく分からないのですが、
水野:まあどちらの可能性もあるっていうことですね、逆に言うと。
小出:はい、はい、そうです。はい。
水野:で、あの、これ実際にどれぐらいの数値なのかというのをですね、えー文部科学省が、発表しております。インターネットで見られる・・・ホームページで、うちのスタッフが一生懸命探しました。
小出:はい。
水野:これ探すの素人じゃやっぱ難しいん・・・ですよね。
小出:はい、はい。
水野:あたしもちょっと見たんですけど、私には全然分からなくて、探せませんでした。
小出:はい。
水野:でースタッフが一生懸命見ました。
小出:はい。
水野:で見てもですね、その数字が意味することってなかなか分からないんですよ。
小出:はい。
水野:えー・・・小出先生、見られたその数値の高さとしてはどうお感じですか?
小出:えー・・・おそらくこの数値は、
水野:はい。
小出:水盤・・・を、置いておいて、
水野:はい。
小出:そこに一定期間に、えー、降り落ちてくるというかその水盤の、水の面にですね、えー落ちてくる放射性物質を測っている、ということだと思うのですが、
水野:はあー・・・はい。
小出:要するにその、それは空気中にどれだけ漂ってるかということの指標なの・・・ですね。
水野:はい。
小出:はい。でまた雨が降るか雪が降るかということでも変わりますし、えーかなり大きく変動すると思っておかなければいけないと私は思います。えーですから・・・たまに、高くなることもあるし、えー・・・低い、低く過ぎていってくれることもあるという、そういうものだと思って頂いた方がいいと思います。
水野:はあー・・・まあ例えばですね、あの放射性セシウムの、
小出:はい。
水野:セシウム137と、
小出:はい。
水野:いうものを見たときに、
小出:はい。
水野:えー・・・1月1日、の、朝9時から、1月2日の朝9時までっていうのは、検出されないって書いてあるんですよね。
小出:はい。
水野:ところが次の日になったら、2日の9時から1月3日の9時になると、えーこれは、単位が何て言うんですかね?252マイクロベクレル、と読めばいいんでしょうか。
小出:はい、多分そうだと思います。
水野:「検出されない」からいきなり3ケタの数字になったりしたら、ビックリしますよねえ、あたしら素人は。
小出:えーその検出限界というのはいくつぐらいになってますか?他の数字というのを見ていただくと、はい。
水野:ああそうか。そういう風にして見ていくわけですか。
小出:はい。はい。
水野:ただですねえ、その、もうひとつじゃあ前の、12月31日を見ましょう。
小出:はい。
水野:12月31日の9時から1月1日9時までですと、8.10なんですよ。
小出:ああそうなんですか。
水野:8だったもんがね(苦笑)、252って言われるとね、
小出:はい。
水野:そりゃあ・・・私たち素人としては、
小出:はい。
水野:何が起きたんだろうって、思うかと思うんですよ。
小出:はい。それはどこ・・・でしょうか。福島ですか?
水野:これはね・・・福島ですね。
小出:はい。えー、例えばその、じゃあ二百五十いくつの時に、雨が降ったとか雪混じりであったとかいうことはないのでしょうか。
水野:ああ、そうか、なるほど。そうした気象も全部込み・・・込みで考えなきゃいけないんですね。
小出:そうなのです。大変複雑な現象を相手にしていますので、えー、一過性に上がったり下がったりするということはよくあることだと思っていただかなければいけません。
水野:ああ、そうなんですね。
小出:はい。
水野:あのー・・・これ、もちろん不安を煽・・・ってはいけませんし、
小出:はい。
水野:かとゆって、問題があるのに、無いと言うのも間違いでしょうし、
小出:そうですね。
水野:そう意味で言うと、あの、いろんな科学的なものの見方を私たちも身に付けていかないと、
小出:はい。
水野:その・・・両方になりやすいですね。
小出:はい。ですから、そういう・・・えー、放射能の観測というのは、環境条件によって大きく変わりますので、どういう環境条件の下でそれが起きているのかということを、総合的に判断するような視点を持たないといけないと思います。
水野:でもそんなあたしらにそんな、できないと・・・言いたいですね・・・。
小出:そうですね。ですからあの、不思議だと思ったらば、えー担当する部署に問い合わせをして、
水野:あっ、なるほど!
小出:きちっとした説明を有るということがいいと思います。
水野:そうですね。
小出:はい。
水野:で、まあ皆さんお分かりにならないからこうやってたね蒔きジャーナルに、全国から聴いてくださって、
小出:はい。
水野:で、小出先生に質問・・・するという、
小出:すいませんが私自身も個別のことはよく分かりませんので、
水野:もちろんですね。
小出:福島県の担当者の方、あるいはそういう観測をしている部署、の方に、その時に問い合わせてみるというのがいいと思います。
水野:はい。ちなみに先ほど、あのー、先生仰いましたセシウム137の検出限界値ですね。
小出:はい。
水野:検出されずとなるかどうかというところは、5.13マイクロベクレルです。
小出:なるほど、なるほど。
水野:1月8日から9日の採取分の、データ、なんだそうです。
小出:そうですか、はい。なかなかいい測定をしているわけなんですね。
水野:あ、そうなんですか。
小出:はい。はい。
水野:はあー。じゃ、やっぱり数字、を、じゃ次はどう読み取るかと。
小出:そうですね。
水野:こんなことまで私ら考えなあかんように(苦笑)なっちゃってるん・・・ですね。
近藤:(苦笑)
小出:はい。
水野:はい。えーでは、あの、次の質問もさせていただきます。えーと・・・あ、すいません。次の質問はね、あの・・・これです。えー農産物の話なんですけど、日本から海外に輸出される農産物についてなんですが、
小出:はい。
水野:あの、日本産の、食品について、海外で輸入規制措置を取っているところが色々あるんですね。
小出:はい。
水野:それが44もの国、地域に及んでいるん、だと。
小出:はい。
水野:知ってわたくしは、少々、ショックを受けて、いるんです。
小出:はい。
水野:えーだから日本国内では安全だとして流通しているものでも、海外では輸入が、とま、止められていたり、あるいは検査証明書を求められたりしていると。
小出:はい。
水野:何らかの規制措置が取られているときもあるわけですよね。
小出:当たり前ですね。
水野:当たり前ですかこれ!
小出:(苦笑)チェルノブイリの時には日本がそれをやったわけですね。
水野:はあー・・・だけど日本では安全とされているものがですよ?
小出:日本の安全基準が高すぎるから、みんな警戒するだろうと思います。
水野:ああ・・・例えば中国では、福島県より南の、北関東から、東京都、千葉県などの首都圏、そして新潟や長野県を含む10の都と県の全ての食品の、輸入を停止しているんだそうです。
小出:はい。
水野:これも・・・海外から見たら、そんなもんですか。
小出:要するに日本の政府が、それぞれの食品の汚染の濃度を隠してしまっているという状態なのですね。
水野:うーん。
小出:はい。ですから日本の政府がちゃんと測って、この県の物はここからこの範囲にあるというようなデータをちゃんと公表するのであれば、えー外国としても受け止めようがあると思いますけれども、
水野:ああー。
小出:日本の政府が、自分の暫定基準値を決めてしまって、それ以下のものは何の公表もしないという作戦に打って出ているわけですから、
水野:ええ。
小出:私たち日本人も不安なわけですし、もちろん外国の人たちも不安だろうと思います。
近藤:先生、このあの水産物のこの輸出もですね、やっぱりこのー、厳しい対応を彼らがされてるんですけど、この海洋汚染の、こう深刻さというのもデータが全く、出てないんですよね。
小出:そうですね、はい。残念ながら私もそう思います。
近藤:うーん。これは・・・本当に・・・もう日本のこの、水産業の、もう死活問題になりますもんねえ。
小出:そうですよね、はい。
水野:そうか。そうすると海外からの輸入規制措置をひと言であのー、風評被害だと言ってしまえないですよね。
近藤:うーん、そうですね。
小出:えー風評を煽ってるのが日本の政府なわけですから(苦笑)。
近藤:うーん、うんうん(何度も相槌を打つ)。
水野:逆にね。
小出:はい。
水野:あー、それはやっぱり検査をきっちりして全部公表するということでないと、
小出:はい。
水野:そこの信頼は取り戻せないわけですよね。
小出:と私は思います。
水野:うーん、だけどこれ、あの・・・輸出するということについては、まあ・・・濃度は色々ありますが汚染された農産物、を輸出するということについては、どうお考えですか?
小出:えー・・・残念ながら、福島第一原子力発電所の事故が起きてしまいましたので、えー福島を中心として汚染が広がっていて、日本中汚染のない食べ物というのはもうすでに無いわけ・・・ですね。
水野:はい。
小出:で、まあ世界的な広がりで言ってももう福島の、放射性物質はもうどこの世界にももう飛び散っちゃったというそういう状態になってますので、汚染があるのか無いのかという、そういう表現ではもう言えなくなって、いるわけです。で・・・どれだけの汚染のより多いのか、少ないのかと。いうそういう判断しかありませんので、もし日本の政府が本当に風評被害を避けようと思うのであれば、この地域の、こういう食べ物は、こういう範囲にありますという、そういう・・・表示のし方、報告のし方をしない限りは、多分どこの国も納得しないだろうと思います。
水野:はあー・・・。まあ小出先生の仰るような方策を取った方が、日本の生産者も、
小出:はい。
水野:助かる部分もあるということですね。
小出:そうです。特にそれで日本の国は、かなりの汚染のものを、ODAと称して、
水野:ああ。
小出:えー海外にむしろばら撒いてしまおうという、そういうことまでやろうとしている、わけですね。私はそんなことは到底許せないと思いますし、えーやはりきちっと、その・・・汚染濃度を・・・測定して、知らせるということがまず第一にやるべきことだと思います。
水野:はい。どうもありがとうございました。
近藤:どうもありがとうございました。
小出:はい、ありがとうございました。
水野:京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺いました。
【文字起こしここまで】
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