mixiユーザー(id:23621043)

2012年01月09日07:40

102 view

【文字起こし】小出裕章氏講演 高校生たちへのメッセージ 2/7 

石油、石炭、天然ガスなどの資源に対し、原子力を動かすウランという資源はどういうものなのか、また、どれくらいの量があるのかという話です。

次→http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1812417524&owner_id=23621043
前→http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1812413672&owner_id=23621043

2011年11月5日[2/7] 小出裕章助教 高校生たちへのメッセージ



【文字起こし】


100年後か200年後か知らないけれども、必ずなくなります。

では、石油が必ずなくなるから原子力だって言えますか?

そう言えるとすれば、石油よりも、原子力の資源であるウランの方が多くなければ、そう言えないはずです。

本当はじゃあどうかと、言うとこうです。

地下に眠る資源、えー再生不能エネルギー資源と言っていますが、掘ってくればなくなると、いうそういう資源が、地球上にどれだけあるかと、いうことをこれからこのキャンバスに書きます。

いちばん多い、再生不能エネルギー資源は石炭です。この四角・・・ぐらい、四角の大きさぐらいあると言われています。

これは究極埋蔵量、です。究極埋蔵量というのは、この地球という星の、地殻の中に、とにかくあるという、ことが分かっている石炭の量がこれです。しかしあっても、掘ろうと思ってものすごいエネルギーがかかる、お金がかかるんなら掘れない。実際使える石炭はどれだけかというと、これだけだと。確認埋蔵量だと。今は言われています。でもこの確認埋蔵量というのは、掘る技術が進歩すれば、少しずつ広がっていく。上手く行けば、究極埋蔵量全部が使えるかもしれないというのが確認埋蔵量、です。

でも今私はここに四角を書いたけど、この四角の大きさがどれだけか、どういう、何を意味しているか皆さんには分からないと思う。そこで、この右の上にちいちゃな四角を今から書きます。

これです。これは何かというと、今現在の、世界で、一年間に使っているエネルギーの総量です。数字で書くと0.4。石炭の究極埋蔵量は310。確認埋蔵量は25.9です。えー単位が下に書いてありますが、1×10の21乗ジュールと。単位はもう覚えなくても構いません。

えーでも、石炭で、確認埋蔵量だけでも60年70年分はあるし、究極埋蔵量が使えれば約800年分は、あると。いうことが、分かっています。

次のエネルギー資源は何かというと、天然ガスです。私はこの図を30年ぐらい前から書き始めましたが、その頃はまだ天然ガスというのは資源としてほとんど認められていませんでした。ですから四角として書けないぐらい、だったで、だったのですが、最近、天然ガスは使いやすい。ガス田がどんどん見つかると、いうことで、資源量が増えてきて、今や石炭に次ぐ資源、と認められて、います。

えー、この資源はたぶんこれからまたどんどんどんどん四角が大きくなっていって、きっと石炭と同じぐらいの、資源になるだろうと、私は思います。つまり天然ガスだけで、人類の数百年分のエネルギー消費を賄う、というだけの、量があるということです。

そのほか、石油、そして、オイルシェールタールサンドというような今はあまり使ってないという、そういう化石燃料もあります。

これが全部化石燃料、です。はじめに見てもらった新聞広告・・・あの新聞の記事では、化石燃料がやがてなくなってしまうから、将来は原子力だと。書いてあった、のですね。私もそれを信じた。では原子力の原料であるウランはどれだけあるかと。いうと、これだけ。

まことに馬鹿げた資源だった。原子力というのは。石油に比べても数分の1、石炭に比べれば数十分の1しかないというような、本当に貧弱な資源だった、のです。こんなものに未来をかけることはもともとできなかったと、いうもの・・・です。

それでも日本は、今日まで原子力発電所をたくさんやってきました。

いったい原子力発電所って何をやっているかと。言うと、お湯を沸かしているという、ことです。蒸気機関です。

今から200年ほど前に産業革命という出来事が起きて、ジェームス・ワットと呼ばれている人たちが、蒸気機関というものを発明した。水を・・・沸騰させて、蒸気を出せば、その蒸気の力で機械が動くと。それまでは家畜を使って、いた。あるいは、贅沢をする人は奴隷を使っていたけれども、そんなことする必要ない。お湯さえ沸かせば、機械が動くと。いうそういう時代に入って、私たちは大量のエネルギーを使うようになったわけですが、原子力発電所も火力発電所も、単に蒸気きか、蒸気機関です。

火力発電所の場合には、配管の中に水を流して、外側から石油、石炭天然ガスを燃やして、パイプの中の水を温める。噴き出してきた蒸気でタービンという羽車を回して、それに繋がっている発電機で電気を起こすと。いうことをやっています。

原子力発電所も同じ、です。真ん中に、繭のような形の容器が書いてありますが、これが原子炉圧力容器と、呼んでいる鋼鉄製の容器、です。厚さが、えー16センチあるいは、もっと厚いものもありますけれども、ものすごい巨大な、圧力釜、です。その中にウランが入っていて、ここで核分裂をさせて、出てきたエネルギーで水を沸騰させて、噴き出してきた蒸気でタービンを回す。これだけ、です。

ではなぜこの原子力発電所だけが、都会には建てられなかったのかと。言うと、ここで燃やしてるものがウランだから、です。ウランを燃やせば必ず核分裂生成物という放射能ができてしまいます。

それも半端な量、ではありません。今ここに白いキャンバスがあって、私はこの左の下にちいちゃな四角を今から書きます。後ろの方の人は見えないかもしれません。よく見ておいて欲しい・・・ので、あ、あ、ごめんなさい。そうか、その前にこれだけ聞いてもらわなきゃいけない。

えー原子力発電っていうのは、効率の悪い蒸気機関で、その熱効率は約33%。100万キロワットの原子力発電所の原子炉では、300万キロワットの発熱がある。300万キロワットの発熱があって、電気になるのが100万キロだけ。200万キロワットは使えないまま捨てるというたいへん非効率、な、発電装置。それを支えるためには、毎日3キログラムのウランを核分裂させます。

広島の原爆で核分裂したウランは800グラム。長崎原爆というのはプルトニウムという材料でできていたんですが、それで核分裂したプルトニウムは1100グラム、です。

それなのに、100万キロワットの原子力発電所は毎日3キログラムの、ウランを燃やすんですね。つまり、100万キロワットの原子力発電所は、一日ごとに、広島・長崎原爆3発から4発分に相当する、核分裂反応を起こさせながら、電気を起こす、供給するという。

想像できますか?原爆が3発も4発も毎日毎日爆発しながら、電気をつくるという、そういう装置、なのです。一年動いたらどうなるかと。いうとこうなります。

ここに今、ちいちゃな四角を、書きました。これが、広島原爆、で燃えた、核分裂せ・・・あ、燃えたウランの重量、です。100万キロワットの原子力発電所が一年間動くためには、1トンのウラン、が必要に、なります。広島の原爆で核分裂したウランの優に1000倍を超えるほどの、ウランを燃やさなければいけない。そして燃やすということは、核分裂生成物という、放射能を作り出す、ということと、同じです。つまり、えー、ひゃ、ひとつの原子力発電所を動かすためには、大量にウランが必要になってしまうし、動かしてしまえば大量に放射能ができてしまうという、そういうもの・・・なのです。

こんなに大量に使うので、さっき見ていただいたように、原子力の資源であるウランというのは、ものすごい貧弱な資源で、すぐになくなってしまうというそういうものだった・・・わけです。

そして、あんなに大量な、放射能が出てくると。いうことになると、それが環境にばら撒かれたら大変だと。万一でも事故になったら大変だと、いうことは誰でも分かるわけで、原子力を推進する人たちはどういう方策を取ったかというと、非常に簡単な選択をまたこれもしました。

都会に原発は作らないと、いうことにした、のです。

いったいどこに原子力発電所が建ってきたかというと、こんなところです。これが東海第一原子力発電所、関西では若狭湾です。ここに出たのは福島ですね。あっちこっちにこうやって原子力発電所を、たくさん建ててきました。

この・・・場にいる皆さんは、東大とか京大を、志望してる、人が多いと聞きました。東京はものすごい人がたくさん住んでいる、いて、電気をたくさん使うけれども、東京湾の周辺には、原子力発電所を建てませんでした。名古屋の近くの伊勢湾にも建てませんでした。えー・・・京都大学がある近畿は、大阪神戸のあたりがいちばん電気を使うんですが、大阪、大阪湾にも原子力発電所を建てないと。田舎に建てて長ーい送電線で、都会に電気を送るということを今日まで、やり続けてきました。

今青い丸印を書いたのは、青森県六ヶ所村、です。ここには、原子力発電所が一年間かけて、環境に放出する放射能の量と、同じだけの放射能を、毎日毎日放出するという、再処理工場というものを、今六ヶ所村に押し付けようとして、います。新たにまだ原子力発電所を建てようとする計画もあります。青森県の大間、えーそして山口県の上関という、こんなところに日本は原子力発電所を建ててきたし、建てようとしています。

えー・・・これは、知ってますか皆さん。忌野清志郎という・・・んですけれども。えー、ロックシンガーです。皆さんは今受験勉強に打ち込んでるから、こんな、ロックの歌なんてのは聴いてる余裕がないかもしれませんが、一曲、聴いてもらおうと思います。


【続く】

※忌野清志郎 サマータイムブルース

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する