先日、京王線の電車内でカメムシを見かけました。
(デレデ、デレデ、デレデデ♪)
ここで仮にこのカメムシをカメナシと呼ぶことにする。
カメムシは衝撃を与えると放つその異臭で有名ですが、私はいまだかつてそれを体感したことはありません。カメムシに遭遇するたび、巧みな交渉と親切な誘導を行うことで、幾度となくその危険を回避してきました。しかし、体験していないからこそ、その臭さは私の空想の中で、おそらく現実の数倍以上の臭いを放っているのです。
カメナシは私の真正面の通路上を這っていました。グルグル這いずり回って行き先を迷うカメナシ。そして私の方向に向かって真っ直ぐに歩き出すカメナシ!
ギリギリでいーつも生きていたいからー♪
セーッフ!ギリギリの所でカメナシは私の隣に座っていたお姉さんのミュールのつま先に辿り着きました。しかし、それに気付かぬお姉さん。お姉さんのきれいな御素足をよじ登り始めるカメナシ!無意識に足をムズがり始めるお姉さん、頼むからカメナシ様を無造作に扱わないで〜〜!
ギリギリでいーつも生きていたいからー♪
セーッフ!ギリギリの所でカメナシはお姉さんのきれいな素足から自分で転げ落ち、今度は反対側に向かって歩き始めました。そこで、電車が駅に到着。乗り込む乗客達に踏む潰されそうになるカメナシ!
ギリギリでいーつも生きていたいからー♪
ギャ―アーッ!ギリギリの所でカメナシは踏まれず、通路の真ん中で立ち往生していました。尚も増え続ける乗客、尚も闊歩し続ける歩く異臭テロリスト・カメナシ!
ギリギリでいーつも生きていたいからー♪
ギャ―ア―ッ!!ギリギリのところでカメナシは生還しました。そして私の対面にいるお兄さんの靴のつま先に到着。靴をよじ登り、そこでピタリを動きを止めました。
カメナシは安住の地を得ました。
ありがとう、お兄さん。ありがとう、カメナシ。こうして電車内に平和が訪れた。こうして私は今日もカメムシの臭さも知らない生娘として生きている。こうしてカメムシはいまだに私の心の中で今もありえないほどの異臭を放っています。
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