以下は、映画『マネーボール』に触発された妄想です。
映画をご覧になった方にのみ、意味が通ずる内容となっておりますので、あくまで、余興としてお楽しみください。
はらっぱに、2種類の野球選手がいました。
まずは、アリ君。
あんまり、ヒットは打てないので、打率は低く2割くらいです。
でも、打席に立つと粘り強く、なかなか、三振しません。
ついには、緊張の切れた相手投手に四球や死球を誘発させ、なにかと塁には出ます。
結果、出塁率は4割を越えます。
そして、キリギリス君
とにかくバットを振るのが仕事で、打率は3割に届くかどうかくらいです。
しかし、何でもかんでも振りまくるので、三振も多いです。
つまんない球をひっかけてアウトになることも多いです。
結果、被四死球は少く、出塁率は打率に毛が生えた程度です。
両極端な両者の評価は、
打率を重視する評価で、キリギリス>>アリ
というのが常識とされていますが、
変わり者のビリー君は、キリギリス<<アリ
ではないかと思っています。
ビリー君は、こう考えました。
打率は、打者がヒットを放つ率です。
これが高いと、『カキーン!!』が多くなり、歓声が沸くでしょう。
周囲を楽しませたんだから、キリギリスを可愛がろうというのはある意味正解です。
でも、この指標では、地味なアリは浮かばれません。
なぜなら、実際に得点に繋がりやすいのは、アリのほうなのです。
野球は、アウトが3つまで増えない限り攻撃は続きます。
出塁率という手法は、逆から見れば、『アウトにならない率』であり、この率が高い方が、より長い間、攻撃チャンスが続くことになります。
そして、出塁してこそ、得点に絡むチャンスが生まれるという意味では、ヒットだろうが四死球だろうが、同じ価値だといえるでしょう。
おまけに、粘って四球をもぎ取れば、相手を消耗させることも出来るのです。
アリは、キリギリスより『カキーン!!』が少なく、一見して地味です。
でも、より勝てるのはどっちでしょう?
勝つことと、見ていて楽しいことは、どっちが重要なのでしょう?
ビリー君は、見ていてつまらなくても、勝つほうが大事だと思いました。
そして、ビリー君は、アリだらけの野球軍を作ることにしました。
『キリギリスの陰でくすぶってる相手側のアリをお砂糖で吊って味方にしちゃえ!!』
アリ作戦、決行です。
アリ野球軍は、キリギリスだらけの相手に連戦連勝。
しょぼい見かけにもかかわらず、ついに地区優勝を果たします。
しかし、アリ作戦は、やがて相手にも真似されるようになりました。
キリギリスは、いつの間にか賢くなって、アリギリスになっていたのです。
そうなってくると、話は別です。
周りにアリギリスが増えるにつれて、ビリー君のアリ達は苦戦するようになりました。
さらに、相手もアリの重要性に気づいてしまい、簡単に手放さなくなりました。
おまけに、彼等はアリの大好きなお砂糖を沢山持っていたので、ビリー君の大事なアリが、向こうのお砂糖に吊られてしまう始末。
それでも、最初にアリ作戦を考えたビリー君は、お砂糖が少ないながらも、今日も、アリを引き連れ、意地と根性で頑張っています。
<おしまい>
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