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2011年11月13日06:20

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「甦る怪物〜私のマルクス・ロシア篇」

 図書館本「甦る怪物〜私のマルクス・ロシア篇」を読了。佐藤優。前作「私のマルクス」で1度目・2度目のマルクスとの出会いを書いた筆者が、3度目の出会いを描く、ほぼ自伝。

 舞台は、著者が外務省に就職し、赴任したソ連(〜ロシア)の首都モスクワ。そこで著者は、ひょんなコトからモスクワ大でプロテスタント神学を教え始める。それをきっかけにした学生などとの交流や、ソ連時代からの民族学研究所との交流で見えてきたものは...



 ソ連の崩壊、その後に初めて芽生える資本主義、資本主義で広がる格差を見つめる。で「今こそマルクスが必要だ。崩壊までのソ連には、マルクス主義に憧れてはいたもののマルクス主義ではない、レーニン主義・スターリン主義があるだけだった。資本主義を初めて経験するロシアは、マルクス主義から学ばないと、ファシズム国家になってしまう」とする。

 ちなみに、書名の「怪物(リヴィアタン)」は、優秀な人材を多数抱えるロシアと、マルクス主義の2つを含意しているんだと思う。リヴィアタンは聖書に出てくる怪物の名前?ゲームとかではリヴァイアサンの名で知られるヤツ?



 まぁ、マルクス主義と言っても、史的唯物論の部分(革命するぞっ!それが歴史的必然だっ!という部分)ではなく経済学(や疎外論)の部分だと思うけど。アメリカはキリスト教で概ね国家統一出来、資本主義の暴走にも多少制御がかかるけど。内部にムスリムを多数抱えるロシアは、そう言うワケにも行かないし。資本主義の暴走を抑え込みファシズム化するのを抑制する思想が何か必要なのかもしれない。

 ただ、そういう筆者の主張より、ソ連崩壊の裏事情の方が面白かった。相変わらず筆者の超人的な記憶力には脱帽する。
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