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2011年09月16日04:38

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真夜中の散歩

真夜中というには、少し朝に近く、朝というには、あまりに暗い。
そんな、中途半端な午前4時。
私は、そっと散歩に出掛ける。

どの窓にもほとんど明かりはなく、皆が眠っている時間。
目覚めていない、夜の空気。
…夜の時間は音も光もなく、ただ静かに流れる?
否。
夜にも音が、光が、ある。
虫の音。用水路の水の音。新聞配達人のバイクの音。
月の明かり。星の瞬き。マンションの常夜灯。時折走るタクシーのテールランプ。ラスタなライブ照明のように色を変え続ける信号機。
夢や眠りを妨げない音や光が、真夜中には存在する。

夜の空気が好き。
月の明かりが好き。
星の瞬きが好き。
残暑厳しい昼間のような熱気はなく、ノースリーブのシャツでは肌寒いくらいの空気の中、ただ、歩く。

私は、四六時中、何かを考えている。
シナリオの題材だったり。
自分のこと、他人の気持ち。
取るに足らないこと。くだらないこと。
答えの出ることから、出ないことまで。
眠っている時でさえ、夢を見る。
現実的な夢、非現実的な夢。
常に何かを考えながら、生きている。

今年も一作、何か舞台をやりたくて。
書いていたシナリオは、ラストを描ききれず、ファイルを閉じてしまった。
半分だけのシナリオ。
何の意味もない、シナリオ。
再びファイルを開けて、続きを紡がれるのを待っている。
いつも、その続きを考えている。
すでに書き上げた織田教授と鈴木のセリフは、何度も口ずさんで覚えてしまった。
なのに、白紙の行の続きが書けない…。

無心になれるとき。
ライトをあてているとき。
歌っているそのひとに。音楽を奏でているそのひとに。
一瞬の光のシャワーをあてる。
そのひとを照らすのではなく、空気に色を付け、そのひとの音楽に色を添える。
照明のライトのせいじゃなく、そのひとそのものが輝く瞬間、そのひとの心を照らしたような感覚に陥り、無心になれる気がする。
頭で考えず、その瞬間の気持ちが、指先から伝わる。

想いを伝えるのは、いつも指先から。
言葉も、照明も、指先から伝える。

無心になりたくて、黙々と夜の道をひたすら歩いていても、指先が凍っていくように感じる。
頭は常に何かを考えていて、指先にはその言葉は伝わらない。

人の気持ち。
答えを出さなきゃならないこともある。
なのに、未だ答えを出せないでいる。

頭上には、瞬くオリオン座。少し欠け始めた月…。
少しの間、空を見上げていると、星が流れた。
心の中で呪文のように願い事をつぶやく。
でもきっと、私の願いは叶わない。

真夜中の散歩は、まるで迷路に迷い込んだかのよう…。
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