無性にみょうがを食べたくなって。
お夕飯にみょうがご飯を食べていると息子が、
「うぅ…やな匂い〜
」
まあ確かに、子供にはあんまりいい香りではないか…と、
仕方なく息子の風下に移動して食しつつ、
「ねえたっくん、みょうがを食べると忘れっぽくなるって知ってた?」
「え?知らない(驚)」
「京都の昔話でね…」
ご存知の方も多いと思いますが、
京都に伝わるみょうがにまつわるお話をひとつ…
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むか〜し昔ね、とても欲の深い宿屋の夫婦がおりました。
ある日、旅の男がやってきて
「一晩泊めてください。」
と、言いました。
見ると男は旅の荷物の中に風呂敷包みを一つ持っていて、
それはそれは大事そうに胸に抱えております。
男がその包みを厠にまで持って行く様子を見て、
夫婦は、
「きっとあの風呂敷には、
さぞかし沢山のお金が包んであるのに違いあらへん。」
と、思いました。
そこで夫婦は、
「みょうがを食べると忘れっぽくなるらしいで。
ぎょうさん食べさせたらあの包みを忘れていかはるやろ。」
と、おつゆもみょうが、おかずもみょうが、お漬物もみょうが、と、
みょうが尽くしの夕餉で旅人をもてなしました。
翌朝、
「たいそうなおもてなし、大変満足いたしました。」
と、旅人が機嫌よく宿をあとにすると、
二人はそれっ!と部屋に走ってゆきました。
「風呂敷、風呂敷、あの包みはどこや?!」
「忘れてってないか?!」
「あかん、どこにもあらへん。」
「なんや、みょうがは効かんかったんか…」
と、その時、
「あーっ!!」
と、おかみさん。
「どないしたんや?!」
「…あのお客さん、宿賃払うん忘れていかはった。」
ちゃんちゃん
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…と、いうお話。
小学校の修学旅行の時に買った
『京都の昔話』という本に収録されていたのを思い出しながら息子に話しました。
細かいディティールはみなさんがご存知のものとちょっと違うかもです。
みょうがご飯をもぐもぐしながら一通り話し終わると、息子が尋ねました。
「ねえお母さん、たくのこと忘れちゃう…?」
とても不安そうな顔です。
「ああ、そうねぇ、
明日の朝『あなた、だ〜れ?』って訊いちゃったらごめんね〜」
更に不安げな顔をする息子。
「あした、授業参観だよ。だいじょうぶ?」
「ああ、そっか〜。念のために明日の朝も言ってね〜」
更に更に不安な顔をする息子。
「お母さん、早くう○んちした方がいいんじゃない?
」
「すぐには無理だってば。」
「みょうがの忘れさせる力ってどれくらいで体の外に出るの?一週間くらい?」
「だいじょうぶよ、可愛い可愛い我が子を忘れる親なんていないから〜」
と、言いつつ、明日絶対に
「あなた、だ〜れ?」って、言ってやろうと胸に誓う私Ψ(`∀´*)♂
ちょっと寝坊をしてしまったのと息子のうん○ちタイムが長引いたのが重なって、
いつもよりもバタバタと慌しくなってしまった翌朝。
「ほら早く、急げ急げ
」
「おかあさん!今日授業参観だよ、憶えてる?!」
「あ!そーか!(本気)。」
「1時35分からだからね、わかってる?!」
「あ、そうなのね、わかったわかった。」
「3年2組は3階だよ、大丈夫?!」
「大丈夫だから早く学校に行きなさーーーい
」
ふーっ
ドタバタと息子を送り出して一息つき、
紅茶を淹れようとキッチンに戻ってふと…
「あ
『あなた、だ〜れ?』って訊くの忘れてた
」
しまった〜
息子の反応、すっごく楽しみにしてたのにぃ〜
授業参観は忘れてもこういうイタズラだけは絶対忘れない私なのに、
う〜む、恐るべしみょうが力…
でもね、それ以来、
まだ“みょうがの忘れさせる力”は体内から抜けないらしく、
あらゆる“うっかり”を息子に許して貰えているのでした。
便利ですね、みょうが力
今後も定期的に息子の目の前で補給してゆこうと思います
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