全然映画に行けてない。
そんなわけで。新幹線の中で読んだ本の感想。
「アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風」 神林長平
「雪風」シリーズの10年ぶりとなる第3作。
最初の頃の雪風はそらもう細かい描写が鼻息もんの空中戦がメインでした。それもいわゆる「ドッグファイト」ではなく、電子戦を交えた「現代の空中戦」でした。ところが2作目。なにやら様子がおかしい。空中戦を描写させるためだけに設定された「他人に無関心で、自分と雪風以外に興味をもたない」主人公がなにやら語り始めます。おまいはガンダムの脚本家か。しまいにゃ他人に好きだとか嫌いだとか言い始めたり、あろうことか「別れ」を体験したり。ありゃりゃ。
どうしてこうなっちゃったんだろう? とクビをかしげて待つこと10年。どれ、またあの空中戦の描写が戻ってくるかな? と期待しながらページをめくると…。
うーん。
どうしてこうなった。何だな、上で「ガンダムの脚本家」なる言葉を使ったけどさ、まさにそれだよ。コクピットに座ったままで哲学問答をくりかえす、あの展開。あれが延々と。どこまで続くんだ…と思ったらとうとう最後まで。
しかし。しかしだ。これが、一気に読めちゃったんだよなぁ。登場人物がてんでバラバラなことを言って、一人一人のつぶやきと言うか考えてることの言葉がやたらに長くて、えーなんじゃこりゃ? いったいこの(いろんな意味で)バラバラな物語はどこに向かうんだ?
それが。最後の最後。ラストシーン、「おれは人間だ。これが、人間だ。」という台詞にしゅっと収斂します。おおすげえ。文字の快感だ。ああなるほど。30年かかったこの物語は、主人公が自分は人間であるという確認作業だったのか。膨大な文字数でつづられたいろんな人のつぶやきは、それぞれがシュレーディンガーの…いや、やめておこう。何を書いてもネタバレになりそうだ。
ただし。
1作目、2作目を読んだことのあるひと、長文を一気に読める環境にいるひと、ヘンだヘンだと思い始めても、気にせずに読みすすめられるひとでないと、ちょっとキツイ、かな。
ログインしてコメントを確認・投稿する