決して話題の映画ではなく、むしろ地味〜な映画だった。
しかも結末が…あまりにも哀しい…
主人公ヒュパティアは科学者で、天文学者で数学者。そして哲学者
彼女の教えていたのはアレキサンドリア図書館、今でいえば、アレキサンドリア大学の先生、といったところか。
時代は古代ローマ4世紀、キリスト教が台頭し、ローマの国教となる時代、(というとローマのコンスタンティヌス帝より後か)
要するに科学と宗教の対立なのだ。
地球は丸い、星々は円を描いて回っている、と主張するヒュパティア女史
驚くのは、16世紀のケプラーやガリレオ・ガリレイ、ニュートンの地動説や万有引力の法則が、この時代に考えられていたこと。
改めて古代ギリシァの文明の深さに驚かされる。
しかしそれが、キリスト教の反感を買い…捉えられて…虐殺
時代背景を見ると複雑に時代だ。古代ローマで宗教は古代エジプトの神々にユダヤ教にキリスト教…イシスとオシリスの神にヤハウェの神に、キリスト教の絶対神
古代から中世の時代だ。
キリスト教徒たちの言い分にローマ政府も無視できない。古代の知性の集まりだったアレキサンドリア図書館は壊され(勿体ない話だ)学問を学ぶ場所はなくなる。
ヒュパティアは科学の事しか考えていないが、弟子達は違った。
あるものは立身出世を望み、あるものは奴隷の身分からの自由を…
みんな世渡りを考えているのだ。生き抜く事を考えている。
世渡りのために、キリスト教の洗礼を受ける。あり得る話だ。
複雑な時代だからこそ、まず自分が生き抜く事を考える。
世渡りも処世術もある。
弟子たちはキリスト教の洗礼を受けることを勧めるが、ヒュパティアは拒否
信仰はあくまでも自由であるべき、他人からの押し売り宗教は迷惑。
それはそうだけど…
当時のキリスト教は、今のオウム真理教よりははるかにしたたかに立ち回ったと思う。
国家権力に取り入ったのだから…オウムでは国家権力に取り入られない。
弟子たちは(みんな男だ)彼女を守りたかった。敬愛する先生、その中には恋心ももちろんある。
だが守れなかった。結末は…虐殺、あまりにも哀しく、切ない…
重い気持ちが残る映画だった…
さっ今度は気分なおしにバカ映画でも行こうか!
ちふれ
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