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2011年02月08日21:06

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映画【ウォール・ストリート】 バブルを描くお話そのものがバブリーなのはなぜ?

公開初日の金曜日のレイトショーで鑑賞

http://movies.foxjapan.com/wallstreet/

前作は未見、前知識なし。
オリバーストーン監督らしい、硬派で社会派な物語を期待していきましたが、どうにも、これが、痒いところに手が届かないもどかしさでした。

冒頭部の主人公の挫折までが、実にスリリングな一方で、その後が、なんとも惰性的。
数字が数字を呼ぶバブル的構造のスピード感や空虚さという意味では、デヴィッド・フィンチャーの『ソーシャル・ネットワーク』という奇蹟の作品を前に、全くもって、クロック数が遅すぎる印象です。
(ソーシャル・ネットワークの序盤、フェイスマッシュが出来上がるまでの怒涛のドライブ感は、まさに神の画造りです)

おまけに、下手に、ネットワーク上を数字だけが駆け抜けるイメージ映像を重ねた分、かえって、安っぽいTVドラマ的な印象すら帯びてしまい、かなり、がっかりしました。


ほんとに、こんな、画を撮る方でしたっけ?


その一方で、出演陣は実に豪華で隙がないのですが、どうにも、制作費の大半がギャラじゃないの?という憶測が頭をもたげてしまい、いまひとつノレないままに終劇。

全体的に画が豪華なわりに、主人公をとりまく環境変化の影響が見えづらいのは、『法人が破綻しても、中で働く人は一緒』という状況が続くからでしょう。

このあたり、多少あざとくなったとしても、主人公の周辺に『法人の破綻によって、人生そのものを破綻させてしまう人物』をもっと沢山配置して、ドラスティックな展開のたびに、首を吊ったり、路頭に迷ったりさせれば、受けての心象も違ってきたと思うのです。
法人の運営責任と個人のミッション責任が分担されている以上、最初の恩師しか破綻していないのは、もの凄く正確な描写であろうとは思います、しかし、その正確性ゆえに、ドラマとしては、ものすごく退屈になってしまったのも事実ではないでしょうか。

バブルに踊る人々の感覚が『ちょっとアレ』な状況を示す描写が、借金とサラリーの桁数だけというのも、字幕や台詞だけでは弱い印象で、この辺も、主人公の旧友にブルーカラーとかを登場させることで、実生活上の金銭感覚を対比させたりしたほうが、もっと、辛辣に訴求できたのではないでしょうか。


はっきり申し上げて、この作品の登場人物達は、クチでは散々困ってるといいながら、ちっとも人生に窮しているようには見えません。


もちろん、当のアメリカにしてみれば、サブプライム問題というのは、かなりホットで身につまされるネタだけに、周知のものとして描写を割愛しているのかもしれませんが…

アメリカに先行すること10数年、地価バブル崩壊以来、失われた年数記録更新中の日本においてさえも、不親切に感じる脚本であったことだけは、確かだと思います。


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