ポイントを外さない展開、予想通りのハッピーエンド、どこをどう切っても定番のヒーローアクション。
唯一、ヒーローがご老人であることを除いては。
http://www.movies.co.jp/red/
この作品、お話の展開をヒロインの側から眺めると、デジャヴが満タン。
それもそのはず、突然、正体不明の男に拉致られて、全米中のあちこちを連れ回されて、その間に謎の集団から襲撃三昧って、大筋の部分では『ナイト&デイ』のメインプロットそのまんまだったりします。
ところが、『ナイト〜』が世界を股にかけて飛び回る、漫画チックなくらいに過剰なスケール感が、かえって、物語の気分を高揚させていたのに対して、本作のそれは『全米各地』にスケールダウン。
おまけに、演じるのが40台のトムさんに比べて、明らかに還暦オーバーな面々で『ナイト&デイ』っぽいことやって面白いの?
これが、普通に出てくる疑問だと思います。
ワタクシも、開始10分くらいは、かなり不安でした、が…
結論としては、すんごく、面白かったんですよ。
とにかく、ご老人の面々が、おメメきらっきらさせて、アクションシーンを心底楽しんでいる様子が、画面からあふれ出てくるようで、ホントに、素晴らしい。
もちろん、年相応というスピード感やボリューム感なので、絶対運動量で比較すると、まったくもってトムさんには勝ててません(断言)。
もちろん、全速力でかけっこしたりとか、いきなり空から降ってきたりとか、根本的にムリ(そんなことしたら、確実に死んじゃうw)。
でも、そのハンデ分は、飛び交う弾数と潤沢な火炎でカバーして、とにかく、各シーンにおける木っ端微塵度で比較すれば、『ナイト〜』の3倍くらいは派手にぶっ壊してくれてます。
さらには、主人公単体のアクションで見劣りする部分は、出演者同士が、上手にチームワークでカバーすることで、物語に厚みを持たせているんですよね。
喩えは悪いですが、これは、仮面ライダーと戦隊モノを比較するとよいかもしれません。
どちらも、正義の味方が悪の秘密結社の繰り出す怪人と戦って勝利するというメインプロットは同じですが、それを単独で行うのがライダーで、チームで行うのが戦隊モノ。
傍から見ると同じ悪事を追いかけているようで、味付け次第で、全く違うものに化けるわけですから、そもそも、『仮面ライダーと○○ジャーが一緒』なんて醒めた視線の男の子、見た事ないでしょ?
終わってみれば、見事なほどに『オッサンのたわごと』とか『ツンデレ妄想』が炸裂したご都合主義ファンタジーに過ぎないのに、ここまで、気持ちよく描いて頂くと、お茶目にしか見えない、これぞ、老成マジック。
そういえば、現実世界でも、エロ中年が痴漢呼ばわりされるのに、同じトーンの老人は『お元気』と肯定的に捉えられることもしばしば。
やはり、年を重ねることでしか許されないこともあるのよねぇ(しみじみ)。
でも、この映画を観た後に発奮して、全力疾走してしまうようなアラ還が出現したら、その方は、本気で病院にいったほうがいいと思います。
もちろん、診てもらうのは、カラダではなくオツムの方で…
ログインしてコメントを確認・投稿する