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2011年02月02日22:57

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映画【エリックを探して】 貧すれば鈍する、俺、どーする

人生どんづまりの冴えない男、どっこい生きてる藪の中。

地元、チネチッタで上映していたのを意識していながらも、なかなか、タイミングが合わなくて、最終日のレイトショーに滑り込んで観てきました。

http://www.kingeric.jp/

オープニングの衝撃からしばらくたって、延々と続くゆるゆる加減に、ひょっとして、『頑張らなくていい系』の脱力を感じていたのですが、いい意味で裏切られました。

おそらく、劇中のエリック・カントナは、主人公の自問自答のメタファーなのでしょうが、延々とハッパをふかしつつ、ぐだぐだと酒をすすりながらに出てきた結論が、『独りで抱え込まずに仲間を信頼する』という件に至るのは、やけに冷静で真っ当すぎる正論です。

そして、その正論を行使するためのプロセスが、実に見事な映画的寓話になっていて大笑い。(個人的に思い出したのは、ハートブルーの銀行襲撃シーン)
前半がとにかく淀みまくって、痛々しいばかりだっただけに、このハチのひと刺しを思わせる展開の爽快感が抜群でした。

しかし、ぱっと見、能天気なファンタジーに見えるクライマックスですが、一連の流れを『理不尽な圧力に対抗するには、数と団結。結局、世の中は、パワーゲームなんだよ。』というメセージと読み替えてみると、イギリス的『労働階級の闘争史』な匂いも感じられて、なかなか、味わい深い裏読みすらできてしまう造りが侮れません。


『人生は、何事も真剣じゃないとダメ』っていうのを正面きって言われても、照れるかうそ臭いかのどちらかですが、こういう、ウィットに富んだ仕上がりで見せられると、若干、こそばゆいことこそあれ、不思議と嫌な感じはしません。
まさに、そういう造り込みこそが映画的ファンタジーの真骨頂なんだと、改めて納得させられた作品でした。
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