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2010年12月07日22:13

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国分寺探索−無人販売所

 いまの現場がある国分寺市には、野菜の無人販売所が多い。

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 スーパーで買うよりも安くて新鮮なので、仕事の帰りに野菜を買って帰るのが常になった。ほうれん草、赤かぶ、小かぶ、大根、ピーマンなどが主だが、ゆず、きんかん、ぎんなん、はたまた小菊の花束といった野菜以外のものまでが、店棚を花やかに彩っている。
 代金は、備えつけの空き缶に入れる。今日は小松菜を買った。百円也。

 路地や庭先に無人の店舗を構えるという無防備な販売方法。素晴らしい! と手放しで賞賛したい。買ってくれる人はちゃんと代金を払うはずだという信頼の上に成り立っている。人の善意が前提なのだ。無人販売が可能である事実は、安全に暮らせる証でもある。ちゃんと確かめたわけじゃないが、世界的にも珍しい風習ではないか?

 代金を払わない不届き者もいるだろう。ガラス張りのショーケースに野菜や卵を入れたり防犯カメラを設置したりと、盗難対策に苦慮する地域も多いようだ。国分寺は治安がいいのか、野暮な仕掛けを目にはしないけれど。

 輸入農作物自由化が喧伝される昨今である。5%の農業従事者のためにTPPの流れを阻むことは許されない、と外務大臣はいう。宅地転用しか考えてない農家が休耕地にならないよう野菜を植えているだけさ、という皮肉な声も聞こえてきそうだ。
 食品安全近代化法が可決した米国では、大規模経営農場以外の、個人や零細農家が農作物を自由に販売できなくなる懸念があるという。要望にいつも従う日本がアメリカのような農業政策に方向転換する日もそう遠くない。

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 しかし、それがたとえ行政やJAの主導であったにせよ、国分寺の無人販売が美風であることは論を待たない。仏教の施行が根底にあるこの風習がなくならない限り、この国の風土は荒廃から免れられるはずだ。
 おすそわけにあずかる側のぼくも、食文化という側面から、農業のこれからを考え続けてゆきたい。  



【今日の一曲】
 カンタベリー・ツリーの穏健派であるキャラバンの、サードアルバム「グレイとピンクの地」より、「9フィートのアンダーグラウンド」。


 朴訥とした演奏。まるで田舎道をドライブしているような、のんびりした気分になる。プログレ入門盤にどうぞ。
 デヴィッド・シンクレアの歪んだ(ファズ)オルガンが、うねうねと、果てしなく歌いまくるのである。
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