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2010年11月26日21:52

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高低差のある風景

 志村での仕事は今日でおしまい。通うにはちと遠かったが、それなりに楽しかった。

 とくに感じよかったのが、高低差のある地形。
 坂の下にあたる三丁目の駅から、坂上の現場まで、歩いてゆくのが楽しかった。
 おりしも頃は秋のまっただ中。
 紅葉とはいかないまでも、木々はいま黄金色に染まっている。その木立の下をくぐって、坂道をエッチラモッチラ歩いていると、呼吸が自然と深くなり、肺の隅々まで酸素がいきわたる感じがした。

 ここ二日三日は昼休みにちょっと抜け出し、斜面に設えられたジグザグ階段を登り降りし、ブナやイチョウやらの枯れ葉が、はらはらと旋回しながら落ちていくさまを、飽きずに眺めていた。

 ちょっとした「離」の体験だ。

フォト

 眼下には「志村城山公園」というこぢんまりした児童公園があり、駅から坂上に至る車道のゆるやかなカーブがあり、コーナーにはうまいコーヒーが出そうな、いい感じの喫茶店もある(帰りがけに寄ってみようともくろんでいたが、けっきょく入らずじまいだった)。
 坂道やカーブのあるランドスケープ――これが視覚をことさら刺激する。

 武蔵野あたりの住民にとって、この光景はありふれたものだろう。が、ぼくの住んでいる場所の周辺に、さらには故郷の街に、こんな素敵な場所はない。素直に、いいなと嘆じてしまう。

 さて、そろそろ戻る時間だ。
 もう一度、ゆっくり時間をかけて坂を上ろう。
 広葉樹の木漏れ日が頭の上から降りそそぎ、足もとを明るく照らし出している。
「哲学の道」ではないが、思索に耽るにはもってこい。ここでなにか高尚なことを考えてみようか。
 ――「坂の上の雲」と「崖の上のポニョ」は語感が似ている。ひょっとして……
 ダメだ、この程度のことしか考えられないや。
 
 やがて坂のてっぺんにたどり着く。
 カーブミラーの向こうに昼下がりの白々した町並みが窮屈そうに広がっている。
 ここを曲がれば、現場までもうすぐだ、すなわち現実への帰還。

 ちょっとした「離」は――あるいは旅のようなものは――たぶんきみのすぐ傍にある。





【今日の音楽】テーマ:公園
 
 英国を代表する俳優、リチャード・ハリスの「マッカーサー・パーク」。
 グレン・キャンベル、ドナ・サマー、作者本人であるジム・ウェップなど、さまざまな歌手が歌っている名曲だが、やはりオリジナルの壮大なバージョンがいっとう良い。
 オケはロンドン交響楽団、中間部のみごとなスティックさばきはハル・ブレイン。



 やっぱりグレン・キャンベル版も載っけておこう。途中から弾く彼のギターは、なんという機種だろうか?



 ぼくは大人になってようやく、ラスベガス的なショーを許容できるようになった。

  

 
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