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2009年12月23日19:03

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ストーリー自体は陳腐である

J・キャメロン監督最新作『アバター』、初日興収4億円突破 『タイタニック』超えの可能性も
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1059561&media_id=54

『アバター』本日観た。
キャメロンは『タイタニック』もそうだったが、最新のテクノロジーを駆使して、映画という表現形態の革新を行なう監督であることは間違いないと思う。
全編どこからどこまでがCGなのかわからないくらいに作り込まれた映像は見事である。『ジュラシック・パーク』で驚いていた頃のことを思えば、もう隔世の感がある。

でもケチをつけるつもりはないが、ストーリー自体は結構陳腐だと思う。
図式というか構図は、昔々の西部劇みたいな感じで、征服者である騎兵隊と先住民であるインディアンの戦いを、そのまま宇宙の別の星に持って行っただけである。
昔の西部劇であれば、騎兵隊がインディアンをやっつけて、メデタシメデタシということになるが、やはり時代を反映してかそういう風にはならない。
むしろ地球上で環境破壊をし尽くした人類がまた同じ過ちを繰り返す愚を批判的に捉え、自然との共生を図る先住民側に肯定的な目を向けるところは現在の世論というか空気を慮っている。

そういう視点や立ち位置の違いはあるとはいえ、ストーリーというか物語の構造はいたってシンプルであり使い古された感がある。
でも『スター・ウォーズ』もそうだったように、シンプルな話でもおカネを使って徹底的に映像にこだわれば、娯楽作品として成功するものになりうる。否、むしろあまり面倒くさくて複雑でわかりにくい内容でない方が一般大衆受けするのである。
今日のハリウッド映画は、マーケティングの専門家などが構想段階から脚本やプロットを徹底的に分析して、「どうすればカネを稼げる映画になるか」という観点から、緻密な計算を積み上げてつくられているという。複雑でわかりにくい物語は、シンプルでわかりやすい内容に整理しなおされることになり、長すぎる映画はつくり手側の芸術的なこだわりを犠牲にしてでも短くちょん切られることになる。大体に於て「ハッピーエンド」で終わるチンケな内容の作品が多いのもそのせいである。

本作も巨額のおカネをつぎ込んだ映像自体は見事だが、物語自体の骨格はどこかで前にもあったような感じがしてしまうのは、所詮はハリウッド映画だからであろう。

実は今日僕が観た映画館は「通常版」で「3D版」ではなかった。映像が売り物の本作としては、ぜひ「3D版」でもう一回観に行きたいものである。何回もいうが、映像自体は本当に見事であった。でも物語はどうでもいいけど、映像だけもう一回観に行きたいというのは、本当の映画の楽しみ方なんだろうか。尤も「映画の楽しみ方」自体が昔と変わってしまっているのかも知れないが。
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