大昔に買った「イエスのミステリー 死海文書で謎を解く」を読了。1993年9月発行で、少なくとも9カ国に訳されている当時の世界的ベストセラー。神学博士のバーバラ・スィーリング氏が、当時の死海文書の研究を元に、聖書、特に福音書を歴史的に解釈した本。
聖書に載っている各種奇跡も、多くは合理的に説明されている。半分SF小説で、残り半分は研究書のよう。本の過半数のページは付録からなっており、暦の研究、地理の研究、時系列の研究などリファーが細かくされている。
本の結論、要点を言うと、「イエスはクムラン教団(ユダヤ教の一派、エッセネ派とも)第3の家柄(ダビデの家系)で、祭司の地位を異邦人にまで代償なしに解放する、という教義で教団を改革しようとした人である。イエスは十字架では死んでおらず、少なくともAD64年までは生きた。マグダラのマリアなどと2度結婚し、子供もいる」という内容。「エルサレム」だの「馬小屋」だの「処女懐胎」「使徒」「天使」「サタン」などはクムラン教団独特のテクニカルタームで、実際は文字通りとは違う意味で用いられている言葉だとか。
かなぁり研究的な本で興味深い内容だけれど、いかんせん聖書の細かい知識がないと読みにくいし、さらに訳も下手で分かり難い。また、最新の死海文書の研究によれば少なくとも一部は否定されているらしい。到底細かくリファーをおっかける気になれない。
まぁ興味深いSF、という受け止めが良いのかも。「ダヴィンチ・コード」みたいなものか。
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