前夜のあらまし…
新しくこの家の買い手が現れた。その話は本当なのか?本当だとしても、私に賃貸してくれる気はあるのか? 信用できるのは自分だけ、五里霧中のラヴストーリー。
☆ 七夜連続小説 <第四夜>
先日、大家のセキュリティー・ワヤンが言っていた事を整理してみた。と、いう事はこの家を買った人がいたのか…。しかし、買った矢先に私に賃貸契約をするのだろうか?将来土地の値段が上がる事を見越しての投資物件として購入したのであろうか?
ワヤンは以前に誰にも言わないでくれ、といいつつこの家の売値を明かしてくれた事がある。
私は土地付きで700万円なら買ってもいいと話していたのだが、なんと彼が言っていた値段は約2000万円。なんと3倍近い…。しかしながら、土地の値段が急上昇するクロボカン地区ではこういう事はザラだ。土地の値段が上がると先を見越した白人がいる事を、さらに見越して値段を釣り上げるバリ人がいるせいだ。ひょっとしたらたかが5年で10倍以上に跳ね上がるかもしれない。当然、土地家屋査定士みたいな人に値段を出させたら、そんな高い金額は出ないのだが、そのバカ高い値段でも買い手がいて実際に売れるのだから仕方がない。
そんな事を考えながら駐車場から車を出していると、1台の車が横に止まった。そして、その車からは1人の50歳代と思われる白人が降りてきた。ん?下の事務所に用事なのかな?などと思っていると私の方に近寄ってきた。道に迷ったオジサンかな?などと思っていると「ナイス トゥ ミーチュウ。マイ ネーム イズ マイケル。」などと自己紹介してくるではないか!?一通り私もつたない英語で会話してみると、彼の言う内容はこうだった。「私はこの家を買った物だが、アナタのここの家の契約は何月までだ?12月に日本に帰ると聞いたけど、その時に引越してもらえるのかな?」 …むん?ワヤンの言ってた事と話が合わんぞ!! この人が私に賃貸の話をしたがっているのではないのか? と思ったが、ワヤンの思惑があって彼がうまい事やってくれるのであれば、それを私が変な事を言って邪魔する事はないと咄嗟に考え、「良く分からないが、ワヤンがそういうのの調整をしてるんじゃないの?ワヤンを呼んで改めて一緒に話をしましょう。」と言うと「OK」と笑顔で再び車に乗り込み去っていった。
おいおいおい。ワヤン…、これからそういう話をするのか? どっちにせよ12月に日本に帰るまでにどうこうなりそうな話ではなくなった。まずワヤンとマイケル(新しく家を買った白人)の間での調整が先に十分でない内は私の出る幕はなさそうだ。すぐに私が直接、マイケルと話してもいいのだが、まずマイケルが「賃貸をしても良い」「賃貸はこれ位の値段でするべきだ」などに理解を示してくれない事にはどうしようもない。これをまずワヤンに話をつけさせるのが早そうだという事だ。
しかし私にとっていい事はひとつ増えた。マイケルとワヤンとグルで詐欺をしている可能性は低いと感じた事だ。それはわざわざこのタイミングで私にこんな内容の話をするという事はマイケルが本当にこの家を買ったのはウソではないという可能性の高さを示す。長年のバリ暮らしのせいですっかり用心深くなっているので完全な証明がない限り、賃貸に関してビタ一文払わないのはどんな事が起こっても変わらないのだが、気持ちの中でちょっとホッとした部分が出来たというのはかなり大きい。
マイケルは2000万払ってこの家を買ったのかな? う〜ん私なら土地を買って自分で家を建てるなぁ。間違いなく全く同じ物、しかも新築が700万程度で作れる。でも今はその700万円ですらない。あー、まずは金を稼がにゃいかんですねー。
新たな賃貸契約は結べるのか? 高い賃貸料金を言われそうで怖い。一軒屋全部で事務所込み年間50〜60万円以内ならディール(承諾)ですが、どうなる事やら…。
つづく
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