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2026年07月20日19:10

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続DVD日記・マニアック編 第117回「血を吸うカメラ」(ホラー)

…怖がる顔を見せないでくれ。


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ロンドン…
1人の娼婦が殺害された。担当の殺人課警部グレッグは30年のキャリアを誇るが、初めて見る被害者の表情だった。人生最大の恐怖を感じたような怯えた顔だったのだ。

ヘレン・スティーヴンスは、21歳の図書館員。盲目の母と暮らす彼女は、2階に住む青年マーク・ルイスと会話する機会を得た。マークは映画スタジオの撮影助手で、常に小型カメラを手放さない男。その純朴な性格に惹かれるヘレンだったが、ある日彼の勤めるスタジオで女優ビビアンが殺害される事件が起きる…




「血を吸うカメラ」


1960年の英国製サイコホラー。カルト映画扱いする向きもあるけど、俺はカルトだとは思わない。アングラで低予算というわけでもないしシュールでもないし。ただ公開時に猛烈なバッシングを受けてあっという間に消えたからカルト映画と思われているだけで、現代ではメジャーなクラシック作品として認識すべき一本。そして後の映画界に多大な影響を与えた一本と言えるかと。これが無ければヒッチコックは「フレンジー」を撮ってないかもしれないし、デ・パルマが時代の寵児になることもなかったかも。本作を怖い・怖くないで評価する人は、この映画の価値が全くわかっていない人だと認定する。

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「映画は暴力であり、カメラは凶器である」というのが本作のテーマ。世界的に斜陽だった映画業界を揶揄する場面も多い。映像作品の稼ぎ頭はやはり「エロ」だし、映画会社は予算を削ってスタジオで完結する安あがりなメロドラマしか作らないなど、映画を滅びゆくメディアのように描きながらも、同時に映画の危険性…もっと刺激的なものを観たいという欲求に従いエスカレートしうる…について警鐘も鳴らしている。プロットは単純で、場面転換も実にオーソドックス。ある人物が飲みものに手を伸ばすと場面が変わり別の人物が酒を注ぐカットにつながるというような教科書的な部分も多い。サスペンス的に面白いのは殺害凶器の描写。これは二段階になっていて、第一段階はビビアン殺害時に観客に提示されるけど、第二段階はクライマックスまで不明のまま。この引っ張り具合が何とも言えず巧い。古いサイコホラー映画を観る、というお気楽気分で鑑賞しても普通に楽しめる要素が多く、退屈はしないのでぜひ。


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犯人が最後まで撮らなかったヘレンを演じたアンナ・マッセイは、でかい目が特徴の女優。本作の彼女を見てピンときたのが「フレンジー」の被害者役だ。ヒッチコックは、パウエル監督が「血を吸うカメラ」で鳴らした警鐘をガン無視してアンナ・マッセイを堂々と殺害し、「血を吸うカメラ」でタブー的に映さなかった死体の顔を正面アップで撮っている。ヒッチコックというジジイは相当性格が悪かったに違いない。あるいは「のぞき趣味」を肯定的に作った「裏窓」を貶められた気分で復讐したかったのか。いずれにせよ、「血を吸うカメラ」以降、映画はどんどん過激になり、進化し、そして斜陽どころか衰退し、AIの効果もあって観る側の脳も退化していってるのはご承知の通り。「映画オワタ」と宣言した「血を吸うカメラ」はある意味予言書みたいな作品だったのだ。

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