モスクワ…
アメリカからやってきた監督アンディ・クラークが低予算スラッシャー映画を撮っている。現地スタッフ・キャストを起用しているためコミュニケーションが取り辛く、撮影は遅滞気味だ。現場で奮闘する特殊効果係の女性ビリーは、アンディが連れてきた唯一のアメリカ人スタッフである。彼女の姉カレンはアンディの恋人で、撮影にも同行。ビリーが発声障害を抱えているため、カレンは手話で彼女の通訳も務めていた。
現地のルールで強制的に午後6時で撮影終了となり、アンディとカレンは撮影所を後にするが、忘れ物をしたビリーは独り撮影所に取り残されてしまう。正面入り口を施錠されてしまったため、誰かスタジオに残っていないかと歩き回ったビリーは、カメラマン・リオシュと犯人役俳優アルカディを発見。どうやら2人は、寝室シーンのセットに女優を入れて、こっそりポルノ映画を撮っているようだが…
「ミュート・ウィットネス」
以下、ネタバレ・ウィットネス。



1996年に日本公開されているが、ちょうど人生で一番余裕が無かった時期で、セブンやヒート、ブロークンアローやイレイザーといったメジャーな映画しか劇場に行っていなかったから完全ノーマーク。ただ序盤のシーンは記憶にあるので観た記憶はある。当時加入していたWOWOWで見たのかなぁ…いずれにせよ、大部分は全く覚えがないので新作鑑賞のように楽しめた。
声が出せない女性が殺人を目撃してしまうというスリラーなんだけど、異国かつ現場が映画スタジオというのがミソ。言葉の壁と、リアルだったのかフィクションだったのかの揺らぎが主人公を悩ませるんですね。ヒッチコックやデパルマのような展開と逃走劇は本当にスリリングで没入できます。でも、個人的に残念なポイントが二つあって、一つはコメディ要素。アンディ&カレンのポンコツカップルがあまりに漫画的で軽すぎる点。もう一つは、犯人側の設定が盛り過ぎな点。単なる「スナッフ撮ってた鬼畜2人組」がいつしか「ディスク奪還を目論む闇の犯罪組織」になり、ラルセン刑事の立ち位置もコロコロ変わって複雑過ぎますよ。いったん2人組が捕まって「あーひと安心」となってからの犯罪組織に追われる展開になるよう整理した方が見やすい気も。俺がA型のせいかな。
ともあれ、「声が出なけりゃ顔で訴える」というあのショットをラストで使用する幕切れは見事だったし、撮影所内の逃走劇は本当に素晴らしいので見る価値充分のスリラーなのは間違いない。劇場で観られる好機を逃す手はなし。
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