熱海市 盛り土排水工事完了で現場公開
06月03日 18時58分
静岡県熱海市で大規模な土石流が発生してから3日で11か月です。
土石流の起点にあった盛り土の造成場所に残されている大量の土砂が崩れ落ちるのを防ぐため、県が行った排水対策の工事が終わり、3日現場が被災者や地元の住民に初めて公開されました。
去年7月に起きた土石流の起点にあった盛り土の造成場所には、県の推計で2万1000立方メートル分の土砂が残っているとみられ、県は今後の大雨などで再び崩れるおそれがあるとして、今年4月下旬から現場で排水対策の工事を進めてきました。
この工事が2日で完了したことから、県は盛り土を含む土地の今の所有者の了解を得て現場を被災者や地元の住民に初めて公開し、約30人が参加しました。
現場では、県の担当者が地下水を集めるための小さな穴を開けた排水管を地中に設置したり、地表面に排水路を設置したりしたことなどを説明した上で、「雨水の流入と地下水の上昇が抑えられるので、応急対策ではあるが一定の安定性が確保されたと考えている」と述べました。
現場に残された大量の土砂をめぐっては、熱海市が5月末、盛り土が造成された当時の土地の所有者側に、土砂の崩落を防ぐための安全対策を講じるよう措置命令を出しています。
経営する製麺所を兼ねた自宅が被災した中島秀人さんは、「これだけの高さや傾斜で土砂が落ちてくるとあれだけの事故になるんだと、現場を見てぞっとしました。できるかぎり安全対策はしてほしい」と話していました。
また、土石流で自宅が全壊した志村信彦さんは、「こんな場所に盛り土を造ろうとしたことに怒りがこみ上げてきました。措置命令を受けた元所有者がこの土砂を撤去するのは当然だと思う」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20220603/3030016132.html
【フレンズ訪ね旅】タウシュベツ川橋りょうに魅せられて
06月03日 18時57分
地域にディープな人脈を持つ人をローカルフレンズと呼び、その人の視点で地域を見つめるローカルフレンズプロジェクト。放送にとどまらず、地域活動やイベント展開など、地域の人が主体になってさまざまな取り組みを進めています。
放送としては2020年に「ローカルフレンズ出会い旅」としてスタートし、2021年からは毎週木曜日にディレクターが地域に1か月滞在する「ローカルフレンズ滞在記」、金曜日にはローカルフレンズが地域のニュースを発信する「ローカルフレンズニュース」を放送しています。2022年からは「滞在記」「フレンズニュース」に加えて、不定期で「ローカルフレンズ訪ね旅」も放送しています。
「訪ね旅」はローカルフレンズプロジェクトを通じて知り合った人たちの元を瀬田宙大アナウンサーが訪ね、地域の魅力とその人の活動の様子を記録し、放送とWEBで伝えていく企画です。第1弾は上川町と遠別町を取材し、第2弾の今回は十勝を訪問しました。大雪山国立公園の山中、上士幌町ぬかびら源泉郷にあるタウシュベツ川橋りょうの撮影を17年続けているカメラマンの元を訪ねました。
【橋に魅せられたカメラマン】
タウシュベツ川橋りょうを撮影しているのは、埼玉県出身で2005年に十勝に移住した岩崎量示さんです。
まだ橋の存在が今ほど知られていなかった当時、「あと数年で崩れてしまう」と聞き、記録として残そうと撮影を始めたのがきっかけでした。
以来、いつ崩れるか分からない橋を17年にわたって撮影しています。
岩崎さんは「廃線後、地域の歴史を語り継いでいく一つのフォーマットになればうれしい」と話し、今後も橋の記録を続けていくと語りました。
【タウシュベツ川橋りょうとは】
タウシュベツ川橋りょうは上士幌町ぬかびら源泉郷にある1937年に完成したコンクリートアーチ橋です。
全長130メートルで、かつては旧国鉄の士幌線が走っていました。
役目を終えた今も、その形をとどめています。
現在はダム湖の中にあり、水位の変化で見えない時期もあることから「幻の橋」とも言われています。
橋は展望台から眺めることができるほか、有料のガイドツアーで近くまで歩いて行くこともできます。
見学方法や注意点は上士幌町のホームページで事前にご確認ください。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220603/7000047159.html
悔しさ胸に再び世界の舞台へ パラ競泳・小野智華子選手
06月03日 18時49分
東京パラリンピック、競泳の視覚障害の最も重いクラスに出場した帯広市出身の小野智華子選手(27)。全種目予選落ちに終わった東京大会の悔しさを跳ね返そうと再び世界の舞台に挑む姿を追いました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220603/7000047147.html
北見市のパートナーシップ宣誓制度 1組目のカップルが申請
06月03日 18時17分
性的マイノリティーのカップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入している北見市で、制度を活用する1組目の同性カップルが3日、申請を出しました。
北見市のパートナーシップ宣誓制度は、性的マイノリティーのカップルを日常生活のパートナーとして結婚に相当する関係と市が認めるもので、今月から受け付けを開始し、3日、制度を活用する1組目の同性カップルが市役所を訪れました。
1組目となるのは北見市に住む森谷毅さん(60)と齊藤春生さん(57)です。
窓口で2人は職員とともに宣誓書などの必要書類を確認するなど手続きを行いました。
そして2人は、北見市の辻直孝市長に「互いにその人生のパートナーとすることを宣誓します」と読み上げて宣誓書を提出しました。
市役所の外には友人や会社の同僚が待っていて、フラワーシャワーが舞う中2人の門出を祝福していました。
齊藤さんは「これだけの人が祝福して1人じゃないと感じた。北見ももっと住みやすくなると思います」と話し、森谷さんは「表に立ちたくないという人も多いと思いますが、みんなに祝福されることを知ってもらいたい」と話していました。
2人にはパートナーである証明書の受領証と受領カードが交付され、住宅ローンを組む際の必要書類として使えるほか、公営住宅に入居する際にも利用できます。
北見市市民生活課の大越清美課長は「人それぞれ価値観や個性の違いがあり、誰もが尊重される住みやすいまちにしたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220603/7000047169.html
観光船沈没事故 陸揚げした船体調べと周辺海域での捜索続く
06月03日 18時17分
知床半島沖で観光船が沈没した事故は、発生から4日で6週間になります。第1管区海上保安本部は事故原因の解明に向けて陸揚げされた船体を調べるとともに、周辺海域での捜索を続けています。
ことし4月に知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」(19トン)が沈没した事故は、乗客14人が死亡、今も12人の行方がわかっていません。
3日も、陸揚げされた船体のある網走港近くの保管場所では、海上保安庁の職員が船の状況を詳しく調べています。
「KAZU 1」をめぐっては甲板の下にある倉庫を仕切る壁に人為的に作られたとみられる穴が開き、大きな空間ができていたことが関係者への取材でわかっていて、海上保安庁は船首側から浸水したとみられる今回の事故との関係を詳しく調べることにしています。
一方、4日で事故の発生から6週間になりますが、行方不明者は4月28日を最後に見つかっていません。
海上保安本部などは3日も現場の周辺海域で巡視船や航空機による捜索を行っていますが、午後5時現在、新たな手がかりは見つかっていないということで、今後も、長い期間にわたって捜索を続けられる体制をとることにしています。
【同業3社への運輸局監査結果】
知床半島沖で観光船が沈没した事故を受けて、北海道運輸局は、斜里町ウトロにある同業の小型観光船の運航会社3社への監査の結果、安全管理の記録などについて不備を指摘したことを明らかにし、運航再開までに是正されたか改めて確認するとしています。
運航会社3社への監査は、先月26日から順次行われ、3日まで事務所での聞き取りや船内の設備の確認を行いました。
北海道運輸局は3日、監査の結果を明らかにし、▽安全管理体制を継続的に改善することや、▽その記録を保管して有効活用すること、それに▽安全教育を定期的に実施して記録することや▽労務管理の記録簿の様式を見直すことなど、3社に対してあわせて12件の不備を指摘したということです。
北海道運輸局の法月一博首席運航労務監理官は「3つの事業者ともに指摘事項については是正していくと話していた」と述べ、運輸局は運航再開までに是正されたか改めて確認し、再開後も安全管理の状況を確認するとしています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220603/7000047168.html
熱海土石流から11か月 被災者らが犠牲者悼んで黙とう
06月03日 12時26分
静岡県熱海市で大規模な土石流が発生してから3日で11か月です。
土砂が流れ下った現場近くでは被災者などが犠牲者を悼んで黙とうをささげました。
去年7月3日、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流の被害では、これまでに災害関連死も含めて27人が亡くなり、いまも太田和子さんの行方がわかっていません。
発生から11か月となる3日、被災者や近くの就労支援施設で働く人たちあわせて11人が被災現場近くに集まり、消防に最初の通報があった午前10時半ごろに黙とうをささげました。
そして、慰霊のために設置した小さな台の前で1人1人が順番に線香を手向けて静かに手を合わせていました。
犠牲者の遺族や被災者でつくる「被害者の会」の副会長の太田滋さん(65)は、「ほとんど毎日のように現場に足を運んでいますが、どうしてこんなことになったのだろうといつも思っています。行方不明の方も早く見つかってほしいです」と話していました。
熱海市は土石流の発生から1年となる7月3日に、伊豆山地区の小学校で犠牲者を追悼する式典を開催する方針です。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20220603/3030016124.html
警察は土石流でいまも行方不明の1人を捜索
06月03日 12時26分
静岡県熱海市で起きた土石流の発生から11か月となる3日、警察はいまも行方がわからない1人を捜すため、土砂が流れ込んだ港の周辺などで捜索を行っています。
去年7月3日、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流の被害ではこれまでに災害関連死も含めて27人が亡くなり、いまも太田和子さんの行方がわかっていません。
土石流は、地区内を流れる川を海まで流れ下っていて、警察は住宅が流された現場に向かって黙とうをささげたあと、約100人態勢で土砂が流れ込んだ伊豆山港やその周辺を捜索しています。
3日は潜水士8人が海の中に入って、港付近の海底を念入りに捜すとともに、これまで港から投入していたカメラを搭載した水中探査装置を初めて船の上から投入し、港の外側の海に範囲を広げて海底の映像を確認していました。
また、3日は、住宅地から撤去した土砂を重機を使ってふるいにかける作業を行い、隊員たちは、土砂の中に太田さんの手がかりがないか、目視で確認していました。
静岡県警察本部の高橋誠警備部長は、「7月で発災から1年になります。必ず見つけ出すという強い信念をもって捜索にあたりたい」と話していました。
3日の捜索は午後3時ごろまで行われます。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20220603/3030016123.html
「盛り土条例」施行で情報の一元管理システムを県が整備へ
06月03日 12時26分
盛り土の規制を強化するいわゆる「盛り土条例」が7月施行されるのにあわせて、違法性が疑われる盛り土の位置情報や写真などのデータを一元的に管理するシステムを、県が新たに整備する方針を固めたことが、関係者への取材でわかりました。
去年7月に熱海市で起きた土石流では崩れた盛り土が被害を拡大させたとみられ、県は条例による規制が十分ではなかったとして、盛り土の規制を強化するいわゆる「盛り土条例」を制定しました。
この条例が7月から施行されるのにあわせて、県内に造成された盛り土のデータを一元的に管理するシステムを県が新たに整備する方針を固めたことが、関係者への取材でわかりました。
このシステムでは、住民からの通報や県の盛土対策課のパトロールで把握した違法性が疑われる盛り土の位置情報や現場の写真、造成についての許可申請の有無などのデータを地図上に落とし込むことが想定されているということです。
その上で、このシステムで管理する情報を県庁内の関係部署だけでなく県内の市や町とも共有し、連携して対応することを検討しているということです。
県は、このシステムの整備に必要な費用などを盛り込んだ今年度の補正予算案を、6月14日に開会する予定の県議会の6月定例会に提出する方針です。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20220603/3030016122.html
元島民らの「洋上慰霊」 来月から10回程度実施で調整
06月03日 12時20分
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、北方四島との交流事業が当面見送られたことを受けて、元島民らでつくる団体は船から慰霊する「洋上慰霊」を来月から10回程度行う方向で調整しています。
「北方墓参」や「ビザなし交流」などの北方四島との交流事業は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、今年度の実施は当面見送られることになりました。
これを受けて、元島民らでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」は船から慰霊する「洋上慰霊」の実施を調整しています。
専用の船「えとぴりか」を使い、7月下旬から8月上旬にかけてあわせて10回程度実施する予定です。
いずれも根室港を発着し、国後島方面と歯舞群島方面の2つのコースでいわゆる中間ラインの手前まで近づき、船上で慰霊を行います。
夏は海が荒れにくく、夏休みの期間にあたるため、元島民の子や孫の世代も参加しやすいと判断したということです。
新型コロナの感染対策として、参加人数は各回、船の定員の半分にあたるおよそ40人を上限とするほか、事前にワクチン接種やPCR検査を求める方向です。
千島歯舞諸島居住者連盟の代表らは2日、岸田総理大臣と面会して国の支援を要望し、岸田総理大臣は「交流事業が当面実施できない中で、別の事業を考えていかなければならない」と述べていました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220603/7000047150.html
熱海土石流から7月3日で1年 市が追悼式開催へ
06月03日 10時06分
静岡県熱海市で大規模な土石流が発生してから3日で11か月です。
熱海市が、発生から1年となる7月3日に、甚大な被害を受けた伊豆山地区で犠牲者を追悼する式典を開催する方針を固めたことが、市の関係者への取材でわかりました。
去年7月3日、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流の被害では、災害関連死も含めて27人が亡くなり、いまも太田和子さんの行方がわかっていません。
土石流の発生から1年となる7月3日に、熱海市が伊豆山地区にある伊豆山小学校の体育館を会場に、犠牲者の遺族を招いて追悼の式典を開催する方針を固めたことが、市の関係者への取材でわかりました。
式典は、消防に最初の通報があった午前10時半にあわせて黙とうを行えるように午前中に開催する方針で、斉藤栄市長や川勝知事が出席する方向で調整が進められているということです。
また、式典後に会場を開放し、参列できなかった人からも献花を受け付ける方向で検討が進められているということです。
熱海市が土石流の犠牲者を追悼する式典を開催するのは、発生から100日目となる去年10月10日の追悼式以来、2回目となります。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20220603/3030016118.html
苫小牧沖で漁船から転落か 74歳の男性船長が死亡
06月03日 06時09分
2日夜、苫小牧市の海岸に無人の漁船が乗り上げているのが見つかり、近くの海で船長の男性が救助されましたが、病院で死亡が確認されました。海上保安署は、誤って海に転落したとみて当時の状況を調べています。
2日午後9時半ごろ、苫小牧市有明町で海岸に漁船が乗り上げていると近くの人から118番通報がありました。
苫小牧海上保安署によりますと、乗り上げていたのは1人乗りの刺し網漁船「第二十八漁紀丸」で、見つかったときエンジンはかかっておらず、無人の状態だったということです。
海上保安署などが周辺の海上を捜索した結果、市内に住む船長の小田紀之さん(74歳)が救助されましたが、運ばれた病院でまもなく死亡が確認されました。
小田さんは2日の夜、1人でカレイ漁に出ていたということです。
海上保安署は、小田さんが操業中に誤って漁船から転落し、無人となった船が海岸に乗り上げたと見て、当時の状況を調べています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220603/7000047145.html
【再エネ王国・北海道】牛の“ふん尿”が宝の山に?
06月02日 18時56分
北海道の基幹産業・酪農で出る牛の“ふん尿”が、再生可能エネルギーとして注目されています。
牛のふん尿は長い間、多くの酪農家を悩ませてきましたが、このところ、ふん尿からバイオガスを生産し、燃やして発電に使うという地域が増えてきています。それにとどまらず、いま、次世代のエネルギー、「水素」や「メタノール」さえも取り出すこともできるというのです。
【ふん尿の水素でクルマを動かす】
十勝の鹿追町の中心部近くにある、一見するとガソリンスタンドのような設備。この水素ステーションで、水素の供給を受けられます。
ことし4月から一般向けの利用が始まり、専用サイトで予約すれば、燃料電池車向けの水素を誰でも購入できます。
燃料電池車は酸素と水素を反応させることで電気を取り出し、モーターを回す仕組みで、二酸化炭素を排出しません。
ステーションで満タンにするための「充填時間」はおよそ3分と、ガソリン自動車とほぼ同じです。1回の充填で鹿追町から180キロ離れた札幌市と往復できるといいます。
この水素のもとになっているのが、牛などが出すふん尿です。
【電力販売と悪臭対策 一挙両得】
鹿追町では人口の5倍にあたるおよそ2万5000頭の乳牛や豚が飼育されています。
これまで町内では夏場を中心にふん尿から発生する悪臭が漂い、周辺には観光地も抱えることから、対策が求められていました。
そこで町は、バイオガスプラントを設置することにしました。農家から集めたふん尿を発酵させてバイオガスを作ることで、においを緩和。さらにガスを燃やすことで発電もでき、電力会社に販売し、施設の維持費を賄うことができました。
しかし、電力を決まった価格で買い取ってもらえる国の制度では、発電によって得られる収入は、将来的に少なくなる見通しです。
先を見据えて町は、バイオガスの活用の幅を広げようと、7年前に環境省や大手産業ガス会社などとともに、国内初となる家畜ふん尿由来の水素事業に着手していました。
《鹿追町 喜井知己町長》
「ただ水素を作るだけではなく利用して、それによって収入を得て、事業をきちんと継続できるようにする仕組みを検証するのが一番大きな目的だったと思います。7年間事業が行われ、ある程度道筋ができました」
【牛1頭でクルマが1万キロ走る】
乳牛などのふん尿から水素を作る仕組みです。
水素ステーションに隣接した施設では、集めたバイオガスからメタンガスを抽出。メタンガスを水蒸気と反応させ、水素を作り出します。乳牛1頭が1年間に出すふん尿から製造した水素で、燃料電池車をおよそ1万キロ走らせることができるといいます。
製造した水素は、高圧ガスボンベに充填し利用者に届けることもできます。
町は、今年度、水素の活用を推進するため、燃料電池車10台を公用車として購入しました。さらに水素の製造・輸送・利用までを一貫して行い、水素のサプライチェーン構築を実現したい考えです。
《鹿追町 喜井知己町長》
「家畜ふん尿というのは、農業・酪農を続ける限り永遠に出てくるものなので、必ず処理しなければなりません。小さな町ですが、少しずつでも水素を製造して使っていくという取り組みを粘り強く進めていくことが大変重要だと思っています」
【貴重な「メタノール」もふん尿から】
一方、同じく酪農が盛んなオホーツク海側の興部町で注目されているのが、「メタノール」です。
5月、メタノールを牛のふん尿から作ることができるというプラントが興部町内に完成。報道関係者に公開されました。
このメタノールは、近年、注目されています。衝撃や熱に強い高機能のプラスチックや合成繊維、接着剤など、さまざまな製品に利用されているほか、燃料電池などの新たな用途にも需要が拡大しているからです。
メタノールは天然ガスに高い圧力をかけたうえで、高温に熱して取り出す必要があるため、国内では生産コストが非常に高くつくということです。このため輸入に頼っているのが現状です。
【興部町と阪大のタッグで】
貴重なメタノールを牛のふん尿由来のバイオガスから取り出すことができないか、町は2019年に大阪大学と協定を結び、研究に協力してきました。
そして翌年の2020年、特殊な液体とバイオガスを混ぜて一定の光を当て取り出すことに世界で初めて成功。年間で最大6トンのメタノールの精製を目指しているということです。
《大阪大学高等共創研究院 大久保敬教授》
「実は捨てる物からエネルギーを作り出すことができて、それを自由自在に加工できる技術があります。それをうまく使いこなせば日本はエネルギーを輸出するような国に変わるのではないかと思っています」
ふん尿由来のバイオガスからは、「ギ酸」と呼ばれる物質も製造できます。
ギ酸は牛のエサの品質を安定させる添加物として知られているほか、水素を利用するための物質としても幅広く活用できると期待されています。
【各地でメタノール生産の可能性も】
さらに今回のプラントの開発は、道内の酪農地域に広げることができる可能性を秘めています。
プラントの設計は、道内の大手産業ガス会社と大手建設会社が手がけました。
このプラントは、常温で圧力をかけずにメタノールを精製できるため、従来の設備に比べて半分以下の投資で済むということです。企業は将来的には興部町だけでなく全道そして全国に広げていく狙いです。
《エア・ウォーター北海道 加藤保宣社長》
「今回のような常温・常圧の化学プロセスはなかなかありません。国家間の問題とか紛争の問題が起こるとメタノール自体が入ってこないということになる。そうすると、ほかの産業にも影響することになるのでいろいろな選択肢を日本として持っておくのは大事なことです」
大阪大学の大久保教授の試算では、全国の酪農地域にこのプラントを導入すれば、輸入メタノールの1割以上にあたる年間20万トンを生産できるとしています。
今後1年をかけて製品の質や実際の生産量を検証して2030年までの実用化を目指します。実用化した場合、町では、メタノールを町内の公共施設やトラクターなどの燃料として活用を検討しているということです。
《興部町 硲一寿町長》
「メタノールはいま全部輸入ですので、北海道の新しい産業になってくる。北海道として売れる物になってくれる。こんなにいい話はないと私は思います」
【再エネは地域活性化にも寄与】
鹿追町と興部町の例が示すように、再生可能エネルギーは二酸化炭素を出さないだけでなく、各地に広く分散していることから、地域独自のエネルギー源として利用できるという特徴も備えています。
「地球温暖化を防ぐだけでなく、地域の活性化にも役立つ」。再生可能エネルギーの拡大を図る上で、欠かせない視点です。
(帯広放送局・前嶋紗月、北見放送局・五十嵐菜希)
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220602/7000047132.html
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