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2017年05月08日22:05

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【尊号一件】意見書送付

天皇陛下の御譲位に関する皇室典範特例法案の骨子が先日公表されていますが、そのネタ元となった「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の最終報告(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/pdf/saisyuhoukoku.pdf)に対する意見書を作成し、各方面に速達郵送致しました。

皇室の御尊厳を毀損しかねない、簡略化や新奇な造語による御称号のゴリ押しを憂慮される方は、是非ご意見を表明されますよう。法案は、今月二十日前後にも閣議決定〜国会に提出される模様です。


○首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

○内閣官房
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/cas_goiken.html

○自民党
https://www.jimin.jp/voice/

○e-Gov
https://www.e-gov.go.jp/policy/servlet/Propose




ご参考までに、私が送付した意見書の全文を載せておきます。

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「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」最終報告についての意見

 平成二十九年四月二十一日に総理大臣官邸にて開催された、第十四回「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」に於いて決定され、同日公表された「最終報告」について、以下意見を陳べるものである。天皇陛下の御譲位を法制化するにあたって参考とされたい。

い.総論

 天皇についての、「日本国民の総意に基」く「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」との日本国憲法の規定は、歴史と伝統の存在を前提としなければ成立し得ないことは明白である。

 「最終報告」が想定する各措置は、皇室の御制度に大きな転換を齎すものであることから、国民の意識に混乱を来たしたり、皇室の象徴としての権威に疑義を生じたりすることの無いよう、歴史・伝統との整合性に最も留意するべきである。

ろ.各論

一、御譲位後の天皇陛下の御身位について

 「上皇」ではなく「太上天皇」陛下と申し上げるべきである。但し、一般に「上皇」陛下と申し上げることを特に妨げるものではないこととするべきである。

 イ.「上皇」は、一般によく知られた語ではあるが、歴史的には「太上天皇」の略称とされる語なのであって、「上皇」を正式な御称号として、御譲位後の天皇陛下を「太上天皇ではない上皇」としてしまえば、持統太上天皇から光格太上天皇までの歴史上の「上皇(=太上天皇)」とは似て非なるものとなり、「一見伝統的であるかのようだが、実は伝統を偽装したもの」という疑義を生ぜしめかねないばかりか、歴史上の「上皇(=太上天皇)」と比して“下位”にあるかの如き印象を生ぜしめかねない。

 ロ.「太上天皇」という称号には、即位した新帝が孝心から先帝に贈り奉る「尊号」として、「禅譲」から「受禅」へという一連の皇位継承儀礼の中に位置づけられて来た歴史的経緯があることから、御譲位後の天皇陛下を「太上天皇ではない上皇」としてしまうことによって、新たに御即位される次代の天皇陛下に対し、卑近な言葉で言うなら「恥をかかせる」ことになりかねず、延いては新制度による皇位継承そのものの正当性に疑義を生ぜしめかねない。

 ハ.「最終報告」は、「II 退位後のお立場等─1 退位後の天皇及びその后の称号─(1)退位後の天皇の称号」に於いて、「新天皇との関係で、象徴や権威の二重性の問題を回避する必要があることを踏まえれば、退位後の天皇の称号に『天皇』という文言が含まれることは、別々の『天皇』が並び立つかのような印象を与えることから、避けることが望ましい」としているが、「皇」の一文字(「上皇」の場合)なら問題ないが、「天皇」の二文字(「太上天皇」の場合)が入ればたちまち「別々の『天皇』が並び立つかのような印象を与える」と飛躍する主張はいささか説得力に欠け、ご都合主義的であると言わざるを得ない。そもそも「新天皇との関係での象徴や権威の二重性の問題」なるものは、御譲位実現後の四陛下(天皇・皇后・太上天皇・皇太后)の御姿や御活動、そして内閣の助言や政府の対応によって解消されるものであって、御称号の問題ではない。また今回の御譲位が、御高齢による実質的な「御引退」であることからすれば、「象徴や権威の二重性」を懸念すること自体が不必要であると考えられる。

 ニ.「最終報告」は、「II 退位後のお立場等─1 退位後の天皇及びその后の称号─(1)退位後の天皇の称号」に於いて、「『上皇』は、『太上天皇』の略称として用いられた経緯はあるものの、一般にはこれまで特に略称と意識されることなく、退位後の天皇の称号として広く受け入れられ、定着したものであったと考えられる」としているが、一定の教育を受けた国民にとって、「上皇」が「太上天皇」の略称であることは常識であると思われるのだが、そのような、現状でどの程度意識されているか/意識されていないか、といった議論よりも、「上皇」が「太上天皇」の略称であることが歴史的事実である以上、「略称を正式称号にした」「従来の上皇(=太上天皇)とは異質なものとした」という事実が、拭うことの出来ない“汚点”として、歴史に永久に刻まれてしまうことこそが問題なのである。

二、天皇陛下御譲位後の皇后陛下の御身位について

 「上皇后」ではなく「皇太后」陛下と申し上げるべきである。

 イ.皇室が、歴史と伝統に象徴性や権威の由来を持つのである以上、その御制度の改定にあたっては、象徴性や権威の毀損を防ぐため、歴史・伝統からの逸脱を極小化すべきであって、御身位・御称号といった、御制度の中でも極めて重要な事柄に、全く新しい造語を採用することは避けなければならない。「上皇后」のような、聞き慣れない新奇な造語の採用は、一般国民にも強い違和感を与え、延いては皇室の象徴性や権威を毀損しかねない。

 ロ.「皇太后」は、現行御制度においても先代天皇の皇后の御身位として定着しており、終身御在位の制となる以前には、御譲位された天皇の正妃の御称号としても使われてきたことから、天皇の崩御を前提とした御称号ではないことは明らかであり、「上皇后」のような違和感を一般国民に与えることもなく、天皇陛下御譲位後の皇后陛下の御称号として最も適当である。

 ハ.「最終報告」は、「II 退位後のお立場等─1 退位後の天皇及びその后の称号─(2)退位後の天皇の后の称号」に於いて、「天皇の退位後において、その嫡妻30方のうち、天皇在位時の称号を継続した方が 13方、女院号に変更した方が9方、『皇太后』に変更した方が6方、(「中宮」から)『皇后』に変更した方が2方おり、退位後の天皇の后の称号について、一般的なルールはなかった」「天皇の退位後、その后は、歴史上、『皇后』、『女院』、『皇太后』など様々な称され方をしており、称号に関する統一された考え方が存在するわけではない」としているが、一般的・統一的なルールが有ったか無かったかということよりも、そこに見られる先例を参考にすべきであって、それらの先例を現代に採用出来るか否か検討するならば、天皇にも院号を用いなくなった現代に「女院」は不適当であり、「天皇在位時の称号を継続」及び「『皇后』の使用」も考えられないことから、「皇太后」が最適であると考えられる。また、「皇太后」の御称号が、天皇の崩御を前提としたものではない(いわゆる「未亡人」を意味しない)ことも、歴史的事実に徴して明確に証明される。

 ニ.「最終報告」は、「II 退位後のお立場等─1 退位後の天皇及びその后の称号─(2)退位後の天皇の后の称号」に於いて、「『皇太后』という称号については、近代より前は、特段未亡人の意味合いを有していたわけではなかったが、明治の皇室典範の制定以降、皇位継承事由が崩御に限られたことから、崩御した先代の天皇の后、すなわち未亡人との意味合いを帯びたものとして受け止められるようになった。実際、皇室典範制定時に官報(昭和22年1月16日)に掲載された英訳においても、『皇太后』は『the Empress Dowager(未亡人)』とされている」としているが、「皇太后」の御称号が、いわゆる「未亡人」の意味を帯びることとなった理由が「皇位継承事由が崩御に限られた」からである以上、「崩御に限らない皇位継承事由(=御譲位)」の法制化によって、その理由は直ちに消滅するのである。そもそも「皇太后」の御称号が、「未亡人との意味合いを帯びたものとして受け止められるようになった」との主張自体が極めて疑わしいのであって、歴史上、いわゆる「未亡人」ではない皇太后が数多いらっしゃる事実は周知のことであり、多くの国民は「皇太后」の御称号に、いわゆる「未亡人」の印象など持ってはいないのである。もしそうした誤った認識が一部にあったとしても、御譲位が実現し、太上天皇陛下・皇太后陛下御二方を拝すれば、そのような誤解は即座に払拭される。なお、英訳などは全てが決まってから考えれば良いのであって、御身位・御称号といった歴史的重大事を検討する上で考慮する必要のある事柄ではない。

 ホ.「最終報告」は、「II 退位後のお立場等─1 退位後の天皇及びその后の称号─(2)退位後の天皇の后の称号」に於いて、「『皇太后』の称号は、退位後の天皇の配偶者であることが分かりにくく、また、常に御夫妻として御活動を重ねられてきた天皇皇后両陛下に係る称号としてふさわしいものなのか疑問がある」としているが、「上皇后」のような聞いたことのない造語による御称号よりは、一般国民によほど分かりやすいと思われるし、実際に太上天皇陛下・皇太后陛下と申し上げるようになれば、一般国民は何ら「疑問」を抱くことなどないであろう。

 ヘ.「最終報告」は、「II 退位後のお立場等─1 退位後の天皇及びその后の称号─(2)退位後の天皇の后の称号」に於いて、「退位後の天皇の称号については、現行憲法下でのお立場を踏まえた新たな称号として『上皇』が適当であることを踏まえれば、これまで天皇陛下と常に御活動を共にされてきた皇后陛下にふさわしい称号としては、『上皇』という新たな称号と一対になる称号とすることが望ましい」「皇室典範及び皇室経済法(昭和22年法律第4号)は、天皇及び男性皇族との婚姻により皇族の身分を取得した女性皇族の称号は、『皇后』、『皇太子妃』、『親王妃』、『王妃』など、天皇及び男性皇族の称号と、その配偶者であることを表す文字(后、妃)を組み合わせたものとしている」「これを踏まえれば、退位後の天皇の后については、退位後の天皇の称号と、その配偶者であることを表す文字を組み合わせた称号とすることとし、『上皇』の后として『上皇后』とすることが適当である」としているが、このような、「一対になる」とか「配偶者であることを表す文字を組み合わせ」等といった機械的な決定方法こそ、皇室の御制度改定を論ずる上で最も不適切な態度であり、「上皇后」という造語が強い違和感を抱かしめる理由を如実に示しているではないか。皇室の御制度を論ずるにあたっては、そうした機械的論理に依るのではなく、歴史上の事例に真摯に向き合わなければならないのであって、御譲位後の天皇の正妃の御称号として「皇太后」が用いられたという史実の前では、機械的論理などなんら意味をなさないのである。大体にして、「天皇及び男性皇族の称号と、その配偶者であることを表す文字(后、妃)を組み合わせたもの」が后妃の御称号の原則だとすれば、天皇の后は「天皇后」となってしまうではないか。

 ト.「最終報告」は、「II 退位後のお立場等─1 退位後の天皇及びその后の称号─(2)退位後の天皇の后の称号」に於いて、「『上皇后』という称号は、歴史上使用されたことのない称号であるため、この称号に込められた意義が国民に正しく理解されるよう努めていく必要がある」としているが、新奇な造語による御称号で国民各層に広く生じるであろう違和感は、政府が「正しく理解されるよう努め」る程度では、容易に払拭されることはない。しかし「皇太后」という最も適切な御称号を採用するならば、歴史の積み重ねによって形作られた国民的英知が、その意義を必ずや深く理解するであろう。

三、皇族方の減少への対策について

 昭和二十二年に皇籍を離脱された旧皇族及びその男系御子孫の皇籍御復帰を実現するため、具体的な方策・制度を速やかに検討するべきである。

 イ.「最終報告」は、「おわりに」に於いて、「皇族数の減少に対する対策について速やかに検討を行うことが必要であり、今後、政府を始め、国民各界各層において議論が深められていくことを期待したい」としているが、これには同意する。但し、その前段に於いて、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」との皇室典範第十二条の規定を引用する等、「皇族数の減少に対する対策」とは、いわゆる「女性宮家」創設であるかのように示唆していることについては、皇統の万古不易の原則が男系継承であることに鑑み、同意できない。いわゆる「女性宮家」創設は、皇族の御公務御分担や、皇族たる皇室会議議員及び予備議員の員数確保といった、皮相的・短期的な対策とはなり得るのかも知れないが、皇統の存続や、皇位の正統的な継承といった、本質的・長期的な対策とはなり得ないばかりか、むしろ将来的な皇統の存続や、皇位の正統的な継承に混乱を齎しかねない危険性を孕んでおり、断じて採るべきではない施策である。

 ロ.皇統の永久不変の原則が男系継承であることに鑑みれば、皇族方の減少への本質的対策は、昭和二十二年に皇籍を離脱された旧皇族及びその男系御子孫の、何らかの形での皇籍御復帰以外にあり得ないことは明白である。その方策の具体化にはなお課題が多いが、直ちに検討が開始されるべきである。

以上

平成二十九年五月八日

住所

氏名

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