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2017年03月18日16:27

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土曜ギリギリ日記239:わたしは、ダニエル・ブレイク


イギリス、ニューカッスル。40年も大工として活躍した爺さんダニエル・ブレイクは、心臓を患い主治医に就業禁止と言われてしまった。そこで休職期間の生活費を得るため支援補助金の申請を行った。イギリスの役所業務の幾つかは民間に委託されており、福祉部門もその一つ。彼らは独自の医療スタッフによってダニエルの問診を行い、就業可能と判断する。よって補助金は支払われないこととなった。納得のいかないダニエルは役所に文句を言うが、「それなら不服申立てを行うか、求職期間手当を申請してください」と言われてしまう。不服申立ては手続きが煩雑で、しかも決定が覆る可能性は低いらしい。仕事探し中の人を援助する求職期間手当なら、申請が通ればすぐにカネが貰えるとのことで、ダニエルはとりあえずそちらを選んで申請する。しかしこちらも厄介で…求職サイトへのアカウント登録/履歴書講座に参加して役所が推奨するワープロ履歴書を作成/週数十時間の求職活動が必要だと言う。これまでパソコンに触れたことのなかったダニエルは、四苦八苦の末なんとかサイト登録を済ませ、履歴書を作り、足で歩いて町工場などをいくつも訪ね履歴書を手渡していく。これで役所も納得するだろうと申請結果を聞きにいくと、役所の返事は「求職期間手当は支払わない」というものだった。履歴書を手書きにしてしまったことと、町工場などに履歴書を渡した証拠がないことが理由だった。「何故、履歴書手渡しの場面をスマホで写真に撮らなかったの?」と役所職員に詰られたダニエルは、呆れかえって返す言葉もでない。
そんな彼は、不毛な役所通いのなかでケイティというシングルマザーと知り合っていた。ロンドンの仕事とアパートを追われ、ニューカッスルにやってきたばかりのケイティは、幼い子供2人を抱え支援補助金を申請に来たのだが、福祉スタッフとの面会の時間に遅刻してしまい支援を打ち切られたのだった。ホームレス施設での配給で飢えをしのぐケイティの家族に同情したダニエルは、自らが困窮しつつあるのに、彼らを助けてやろうとするのだが…
フォト



「わたしは、ダニエル・ブレイク」。キャッチ22のような役所の申請システムと戦いながら、より困っている家族に手を差しのべた男。ひとはいつから、「思いやり」とか「融通」って言葉を忘れてしまったのだろうか。病院で電話代を貸して貰えなかったばかりにタクシーを呼べず患者が亡くなってしまったという、つい最近のニュースを例に出すまでもなく、この映画に描かれた「システムの冷酷さ」は身近なものになっています。ケイティの強さと脆さ…フードバンクで缶詰開けちゃうとこなんか、胸が詰まりそうになりました。俺の目が鑑賞後も赤く腫れているのは花粉のせいではありません。傑作!
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