小学四年生の雪男くんは、担任のみのり先生が出した宿題に頭を悩ませていた。お家にいるオトナをテーマに作文を書きなさいというものなのだが、公務員のお父さんや専業主婦のお母さんのことを書いても面白くはない。そこで、居候の〈おじさん〉をネタにしてみることにした。
おじさんは、お父さんの弟で哲学者だ。といっても週に1時限だけ大学で講義する非常勤講師で、残りの時間は家でゴロゴロ、マンガとタバコで時間を潰すだけという我が家の〈お荷物〉だった。ある日、そのグータラ具合に業を煮やしたお母さんが、お見合い話をおじさんに持ってきた。早く結婚して家を出ていって欲しいというお母さんのプレッシャーで、おじさんは渋々、ハワイ出身の写真家だというエリーと会うことに。結婚する気など毛頭なかったおじさんだったが、エリーは超のつく美人で、会った途端に一目惚れしてしまう。しかしエリーは、カメラを捨ててハワイに移住する決意を固めていた。最愛の祖母が残したコーヒー園を継ぐつもりなのだ。というわけで、会ったばかりのエリーさんはおじさんの前から消えてしまったのだが、彼女を諦めきれないおじさんは、自分もハワイに飛ぼうと思い立つ。カネもなく、働く意思もないおじさんは、なぜか確固たる自信を持って荷作りを開始。果たしておじさんの、ハワイに行くための奇策とは?
「ぼくのおじさん」。松田龍平がおじさんを飄々と演じています。監督は山下敦弘です。
…完璧な「昭和の空気」に感動しましたね〜。ケータイと本屋のビニールカバーさえ出なければ、時代設定が昭和でもおかしくないですよ。まさにサザエさんの家を見ているような奇妙な感覚。キャストの衣装はもちろん、言葉遣いやギャグのセンスやリアクションに至るまで、徹底的に昭和なんです。だからこそ、「おじさん」のキャラに実在感が生まれました。パソコンやスマホが出てくる空間にあのおじさんみたいなキャラがいたら、タイムスリップSFになってしまいますからね。もちろん、あえての演出です。この作品、コンセプトが凄くしっかりしています。「もし、今も車寅次郎が生きてたら」というコンセプト。男はつらいよのリメイクを狙ったとしか思えません。東映なのに(笑)で、その狙いは私的には正解と感じました。イマドキの邦画に慣れた目で見ると、結構新鮮なんです。老いた山田洋次がスゲー無理して現代の空気を作ろうとしているのに、若い山下監督は真逆のアプローチでさらりと寅さんを描いてみせたのです。
子役の演技なども含め、観て損のない佳作でした。エンドクレジット後も、Dont miss it!
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