アメリカ、ニューポート。地元大学の哲学科教授として赴任したエイブ・ルーカスは、鬱でインポの暗い中年男。向かいに住む同僚で欲求不満の人妻リタに迫られても勃起しないし、学内一美しい女生徒ジルに告白されてもときめかないしで、常に自殺願望に苛まれていた。そんなある日、ファミレスで後ろの席に座っていた客の会話がたまたま耳に入った。その客は、友人たちと食事をする貧しいシングルマザー。離婚したDV夫と、子の親権を巡って裁判沙汰になっているらしい。DV夫の弁護士が判事スパングラーとグルになっているので、裁判は出来レースで彼女の負けは確実らしいのだ。判事が死んでくれたらいいのに…と友人たちの前で泣くシングルマザーの声に、エイブはかつてない興奮と活力を実感する。可哀想な彼女のために、私が判事を殺したらどうだろう。人知れず善行を働くなんて、なんて素晴らしいんだ!
というわけで、見知らぬスパングラー判事を殺害する計画に没頭し始めるエイブ。おかげで鬱は改善し、リタやジルとのラブライフも充実していく。しかし妄想はやがて実現の時を迎えてしまい…
「教授のおかしな妄想殺人」。理由なき殺人というわけで、「冷血」みたいな実録物にしやすい題材。しかしウディ・アレンが弄ると、カラッと明るいブラックユーモアに仕上がります。アレンの新たなミューズ、エマ・ストーンの可愛さがまず100点。まさかのアレがエイブの足をすくうとは!の驚きでさらに100点。前半やや退屈ですが、トータル的には大満足の出来。ハズレないよな、アレンさん。


ニューヨーク。話題の銘柄と最新の市場ニュースを伝える財テク生バラエティ番組「マネーモンスター」。司会のルー・ゲイツは、長年コンビを組んでいるディレクター・パティと共に、いつもどおりスタジオに入った。今日の目玉ネタは、昨日急激な株の下げを記録し数億ドルの損失を出した企業「アイビス」のCEOキャンビーとの対談だ。しかしキャンビーはスイスからの移動が遅れて生放送に間に合いそうにない。そこでパティは、アイビスの広報と中継を結び、ゲイツが質問していくという構成に変更した。ピンマイクも取り付け、キューが振られて放送が開始。饒舌なゲイツのパフォーマンスで幕を開け、アイビスとの中継に移るところで…スタジオに銃を持った男が乱入。ゲイツに爆弾ベストを着せて「キャンビーを連れてこい!」と叫んだのだ。男はカイルという低所得層の若者。母の遺産6万ドルを、マネーモンスターを見てアイビスに投資した挙句、昨日の大暴落でまるまる失ってしまったのだ。その恨みを晴らし、謝罪させるためにゲイツとキャンビーを標的にしたらしいが……
「マネーモンスター」。スピーディな展開で綺麗にまとまっているので、退屈はしない一本。ジョディ・フォスター、タイトなサスペンスを演出する腕もなかなかです。
しかしスピーディすぎて、観終わったあとにいくつも「?」な点が出るのも確か。たとえ一社だけでも、あれだけの大暴落を起こしてたら連鎖的に他の企業や証券会社も倒れたりしないもんかね?証取委が関与してないってのも納得いかないし、アレが法に触れてないってのも理解できない。まぁ、法ではなく倫理の問題を提起するのが意図なのはわかるんだけど…コマーシャルはどうなってんだ問題とか、そもそも株式操作しかねないマネーモンスターという番組自体現実味がないとか、言いがかりはいくらでもつけられる映画でもあります。恋人に超絶なディスりを受けてから、カイルがデクノボー化してしまうのも残念ポイント。しかしクルーニーとロバーツは素晴らしい。二人のスター映画としては観て損はありません。
ログインしてコメントを確認・投稿する