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2015年11月07日21:07

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プレミア12の各国の本気度とは



いよいよ、明日8日の日本vs韓国戦(札幌ドーム)を皮切りに野球の国際大会「プレミア12」が始まる。藤波晋太郎(阪神)、内川聖一、柳田悠岐(ともにソフトバンク)らが故障のため、出場を辞退。また、メジャー組は参加できないが、メジャー移籍が視野に入る前田健太(広島)、大谷翔平(日本ハム)らが出場するなど、「プレミア12」に臨む日本のメンバーからは、十分に本気度がうかがえる。現状ではベストメンバーだろう。

 ただ、他チームのロースターを見ると、日本とは温度差がある。
 6月の会見で熊崎勝彦NPBコミッショナーは、「12球団が結束し、最強チームを編成します。負けるわけにはいきません」と力強く話したが、本気で言ったのだとしたら、少々おめでたい。

 韓国にはまだ、投手陣に不安があるものの、李大浩、朴炳鎬らが出場し、それなりの意気込みが感じられる。だが、特に中南米のチームのメンバーは、「本当にこのメンバーで戦うつもりなのか?」と目を疑いたくなる。

 国際大会となると俄然力が入るキューバでさえ、今回は派遣選手が微妙だ。野手はまだいい。DeNAでもプレイしたユリエスキ・グリエルとその弟で、メジャーも注目するルルデス・グリエル Jr.、また、将来性のある19歳のフリオ・マルチネスがメンバー入り。15ヶ月後に迫ったWBC(ワールドベースボールクラシック)を見据えて、という意図も感じられる。
 ところが投手となると、巨人にいたエクトル・メンドーサが目立つ程度。先発陣の層も薄く、メジャーに行きそびれたベテランがほとんどだ。

 ベネズエラ、プエルトリコ、ドミニカ共和国のメンバーは、さらに厳しい。

 ベネズエラなど、フレディ・ガルシアが登録されている。メジャー156勝の実績があり、マリナーズ時代はイチローともチームメートだったが、過去2年は、メキシカン・リーグなどで投げた記録が残るだけ。正直なところ、もう引退したかと…。

 野手の中心は、ホアン・リベラだが、調べても彼が今季、プレイした形跡がない。他にはオリックスのフランシスコ・カバライヨがいるが、彼に期待がかかるようでは…。

 強化試合で対戦したプエルトリコも似たようなもの。

 6日の試合に先発したランディ・フォンタネスは、日本を2回まで無失点に抑えたが、彼は今季、昇格した3Aで1勝4敗、防御率6.04と打ち込まれた投手である。 

 キャッチャーのオミア・サントスは2009年にメッツで96試合に出場したが、その後は、15試試合に出場したのみ。今季はプレイ記録がない。他の野手では、ホセ・リベラ、ホワン・シルバら3Aまで昇格している選手もいるが、メジャーに上がるほどではない。ホルヘ・ヒメネスは2Aまで順調だったが、すでにレールを外れている。

 前回のWBCで優勝したドミニカ共和国には、懐かしい顔がある。

 2012、13年に中日に在籍した先発候補のダニエル・カブレラは、メジャーで48勝を挙げた投手だが、最近は、マイナーリーグ、メキシカン・リーグなどを転々。捕手のミゲル・オリーボも同じような道を歩み、メジャーで1124試合の出場経験があるが、昨年、ドジャースのマイナーにいた時、チームメートの耳を噛みちぎって解雇された。

 アイェンディ・ペレズ、アヌーリー・タバレス両野手には今後、まだメジャー昇格の可能性がありそうだが、“ひょっとしたら”というレベルではないか。


 各国、そうして苦しさが覗くが、では、どうしてこんな顔ぶれになってしまったのか。

 キューバの場合は、主力選手が次々と亡命し、有望な人材を欠く、という面がある。本来ならエース候補だったノルヘ・ルイスは今年の春に亡命。ブラディミア・グティエレスも今年2月のカリビアン・シリーズの最中に亡命した。結果、特に投手の構成は、無理を強いられている。

 ドミニカ共和国などは、メジャーリーガー、また、マイナーにいても、将来有望と目され、各球団の40人枠に登録されている若い選手らの出場が認められず、こういう陣容になった。

 もっともこれは、プレミア12の構想が持ち上がっていたときから分かっていたこと。6月の会見で小久保裕紀監督は、「MLBの考えがまだ出ていない」と話したが、その時点で決まっていなければ、実現するはずはなく、そもそも選手派遣に関して、アメリカで話題になったことはない。

 こんな話がある。今年1月に「プレミア12」の開催概要が東京で発表されたとき、FOXスポーツのジョン・ポール・モロシ記者が、大リーグ選手会の理事を務めるジェレミー・ガスリー(ロイヤルズ)に連絡を取った。大会に参加するのかどうか、選手会のスタンスを問うためだ。

 ところがガスリーは、記者から教えられるまで、「プレミア12」の開催を知らなかったそうだ。

 モロシ記者は、「大リーグ機構と選手会は、WBCには、各国にベストメンバーで望むよう要請をしておきながら、プレミア12に、大リーガーを派遣しないというのは、プレミア12を主催する世界野球ソフトボール連盟に失礼ではないか」と批判し、ガスリーも、「ぜひ、出たい」と話したが、現実的な問題もあるよう。

 ガスリーはこう言っている。

「WBCだけでも、毎回、選手の派遣でもめるんだ。それでもまだ、ほとんどの試合が米国内で行われるから、なんとか形になる。しかし、試合が日本と台湾で行われるとなると、超えなければいけない障害がいっそう高くなる」

 モロシ記者も、本当にメジャーリーガーが参加したら、それはそれで問題となると指摘した。

「選手の保険料だけで、1000〜2000万ドル(約12億円から24億円)になる」

 それを払えるのか、というわけだ。

 こうした事情があるとなると、次回大会もメジャーリーガーの参加はハードルが高い。選手会内で話し合われた形跡がなく、そもそも大リーグ機構から、選手会に相談が持ちかけられたかどうかさえ、怪しい。

 翻弄されたのは、多くの大リーガーを輩出する中南米各国だ。
 こんな選手を選んだのか? と批判されても、「俺たちに言うな」といったところだろう。
 
 ほぼベストで臨む日本と、かろうじて体裁を整えた、本来なら優勝を争える中南米各国。極端な温度差の裏には、この大会が抱える根本的な問題が投影されている。






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