兵庫県宝塚市。私立豊中若葉学園の小学一年生・三田村英之ちゃんが帰宅途中で誘拐された。医師である両親の元に身代金3000万円を要求する電話が入り、県警の剣持捜査一課長指揮の下、捜査員が行動を開始する。県警の極秘会見で報道協定を結んだマスコミ各社だが、手をこまねいているだけでなく、事件が動いたときに備えて不眠不休の総動員体制を敷いていく。読売新聞大阪本社社会部は、最前線の神戸支局に応援を派遣。神戸支局長は宝塚直配所に指揮所を設け、自ら陣頭指揮を執るのだった。
誘拐犯は、喫茶店経営に失敗した男・古屋。見栄で娘かおりを私立に入れアウディを乗り回していたが、ついに借金で首が回らなくなり、娘の同級生名簿から医者の子供に狙いをつけて誘拐を実行したのだった。しかし、カネの受け取り場所に警察が張り込んでいたことから、なかなか取引を遂行できない。誘拐を知らない妻の追求も精神的プレッシャーに働き、古屋は追い詰められていく。そしてついに、アウディのトランクに監禁しつづけていた英之ちゃんの体調が急変してしまうのだった…
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今さら言うこともない名作なんですが、感じたことをひとつ。
事件に関わった立場の異なる人間たちを、均等・フェアに活写しているのが大きな魅力ですよね。新聞記者も刑事たちも、単なる駒ではなく、キチンと人間として描かれているのが気持ちいいんです。ドキュメンタリータッチと言えなくもないんですが、前半=警察・報道サイド、中盤=古屋、後半=古屋&報道と、ストーリーの視点をスムーズに切り変え、エンタメ映画として飽きがこない構成なのも上手いです。
キャストは…
問答無用の閉塞感演技を見せるショーケンがとにかく凄いですよね。さらに、妻役の小柳ルミ子ね!会社側は大原麗子推しだったそうですが、伊藤監督とショーケンの推しで小柳さんになったとか。これが大正解。美人なだけでなく、あれだけの生活感を出せる女優はいないでしょう。高橋かおりの健気さも胸を打ちます。ラスト、協定フライングで記者クラブ除名の憂目に遭いながらも、それを勲章として清々しい顔を見せる記者たちを映して終わるんだけど、彼らは果たして、かおりの「うち、お父ちゃん好きや!」という声を拾ってくれるのでしょうか?事件報道の在り方とか意義についても、ちょっと考えてしまうエンディングでしたね。とりあえず観るべき一本でございました。
(通算992タイトル)
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