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2015年04月12日11:56

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黒田2勝目の裏に新井との友情夢物語


 広島の黒田博樹(40)が11日、甲子園で行われた対阪神1回戦に先発。メジャー時代に対戦経験のある福留孝介(38)に同点アーチを浴びるなどしたが、元阪神の新井貴浩(38)の勝ち越しタイムリーなどで大量のリードをもらうと本来の粘り強いピッチングで6回を116球、7安打6奪三振2失点にまとめ2勝目を手にした。広島は3連勝。この黒田の2勝目の裏には、新井と黒田の知られざる友情の夢物語があった。
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 時の人、黒田以上の大歓声が起きたのが、2回、去年まで7年間、縦ジマのユニホームを着ていた「6番・一塁」の新井が打席に入ったシーンだった。阪神側応援席にも阪神時代のままの新井の応援ボードが並ぶ。FAでチームを去った男ではない。ゴメスが4番に座ることで出番をなくし、年俸を半分に落とされ、事実上の戦力外通告をつけられ古巣に拾われた。そういう経緯がわかっているだけでに虎ファンもブーイングではなく拍手で出迎えた。

「暖かく迎えてもらってうれしかった」
 だが、感傷に浸っている余裕はなかった。

1−1の同点で迎えた6回だった。無死一、三塁の勝ち越しのチャンスでメッセンジャーのインサイドのストレートに力負けしなかった。打球はレフトを越える。盟友、黒田への援護弾だった。「クロさんが、粘っていたので、なんとかしたい、走者を返したいと思っていた。インハイのストレートですが、前の打席からタイミングは取れていたんです」。

気持ちで打った。

「ずっとピッチャーが頑張っているのに点を取れずに迷惑をかけていたので」

 連敗中は、大瀬良やジョンソンの好投を見殺しにしていた。黒田にも、この2試合、援護らしい援護がなかった。メジャー時代は、巡り合わせが悪く《ムエンゴ》で有名な投手だったが、その再来を広島でも……という危惧はあった。嫌なジンクスは1試合でも早く振り払っておきたい。新井の一振りは、ナインの気持ちを代表するものだった。この回、田中、そして「打者・黒田」にもタイムリーが出て、一気に4点。

「新井? いいところで打ってくれた。よくつないでくれたよ」
 黒田も新井の“恩返しの一打”をそう讃えた。

 大量援護をもらった黒田は、点差を計算にいれながら組み立てた。6回に、ゴメス、マートン、福留に3連打を浴びて1点を失い、なお一死満塁のピンチを背負ったが、代打の新井良を冷静に、見えていなかった外のスライダーで三振。関本には、148キロのツーシームでセンターフライに押し切った。

「あそこは、ひとつひとつアウトカウントを増やすことだけを考えた」

 メジャー時代の対戦成績でも3割を超えて打たれ、相性の悪かった福留には2回に同点アーチ、6回にも2点目のタイムリーと打たれた。ライトへ強く吹いた風に乗ったホームランは、甘いゾーンに入った「フロントドア」だったが、記者に「フロントドアでしたね?」と聞かれると、「フロントドアかどうかは、わからないが、うまく打たれた。フォアボールになるよりも打たれてもいいという感じでいった」とプライドをのぞかせた。この日の6回に116球を要したピッチングは、全体的に「細かいところの出し入れがボールになった。スライダーもよくなかった」と反省含みの総括をした。

黒田と新井。2人には、知られざる友情の夢物語がある。

 黒田の広島でのラスト登板となった2007年9月27日のヤクルトでは、新井が「4番・三塁」だった。そのオフ、黒田がメジャーへ、新井が阪神へいずれもFAでチームを離れた。それぞれ理由は違ったが、広島愛にあふれた2人にとって苦渋の決断であったことに違いはなかった。新井は黒田の2歳下だが、新井は、いつも黒田のいじられキャラで、公私において仲良しコンビとして有名だった。お互いに行く道は違えど、オフに黒田が帰国する度にゴルフをして酒を酌み交わし、旧交を温めてきた。 

8年ぶりの広島での再会は運命だった。 

「今回の僕の広島復帰は、誰にも相談もしませんでしたし、2人で連携していたわけでもなく、本当に偶然なんです。それも縁の深さなんですかね」。新井は、黒田の広島入団が決まると国際電話をかけて「まだ一緒に野球ができますね」と伝えた。

 開幕前に新井は、THE PAGEの取材にこんな夢を口にしていた。

「僕はレギュラーを狙う立場。クロさんはメジャーでの耀かしい実績を持った大黒柱としての復帰です。お互いの立場は、全然違うけれど、クロさんが抑えて僕が守って打ってチームが勝てば、それは夢みたいなドラマですよね」
 その夢みたいなドラマが、開幕13試合目にして早くも実現したのだ。

 だが、これが終わりではない。

 黒田は、この日、勝負どころの6回に上本に対して、凱旋復帰後、最速となる152キロのストレートを投じた。「いつ腕が飛んでもいい。大事な場面では、めいっぱい腕を振っている」。壮絶なる40歳の覚悟だ。新井も、また「怪我をしたらしたとき。抑えるなんてことをせずに全力でプレーする」という覚悟を口にしていた。そして「広島で黒田さんと共に最終章を優勝で飾りたい」とも語っていた。

「ビジターでは連敗していたからね。それを止められたのは大きいね」とは、黒田のメジャーリーガーらしい意見。40歳の黒田と38歳の新井。投打のレジェンドコンビの最終章ドラマは、まだ序章に過ぎない。



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