パレスチナ自治区の人道支援団体・赤新月社…
2024年1月29日午後、ヨルダン川西岸ラマッラー本部の緊急コールセンターにドイツから電話が入った。ガザ北部にいる親戚がクルマに乗ったまま身動きが取れないようだから、携帯にかけてみてくれという。応対したオマールがその携帯にかけてみると、少女の声が出る。助けを求めるその声の背後に銃声が被る。そして電話が切れた。少女は銃撃で亡くなったのだ。ショックで言葉を失うオマールに同僚ラナとカウンセラーのニスリーンが気遣いの言葉をかけるなか、またドイツから連絡が来た。クルマにはまだ6歳の子が残されているというのだ。オマールとラナがもう一度携帯にかけてみると、6歳の女の子、ヒンド・ラジャブ・ハマダが出た。幼い声で「むかえにきて」と訴えるヒンド。両親も弟も家にいてここにはいないが、叔父叔母と従姉妹たちがクルマの中にいて…皆死んだと教えてくれた。間断なく続く銃撃のなか、狭い車内で死体に囲まれて6歳の子が怯えて身を伏せている……自分たちも泣きそうな思いを抱えて励ますラナとオマールは、上司マハディに救急車派遣を要請。マハディは直ちに〈調整〉に入り、現場であるガソリンスタンドまで10分足らずの距離にある救急車を押さえた。しかし出動には、ルートの安全確保と保健省の許可がいる。この許可が下りるまで、永遠と思える時間を過ごすオマールたちだったが……
「ヒンド・ラジャブの声」





2023年秋、イスラエルの野外音楽フェスがハマスに襲撃され数百人が犠牲になった時、日本でも大々的に報道された。ここまで大規模なテロは9.11以来だろうと驚いていたら、いつのまにかテロどころか泥沼の戦争へと雪崩れこんでいった。今となっては、イスラエルがキレたのも解るが、やり過ぎたのは間違いない。とにかくこの戦争で1番の犠牲になったのは、何の罪もないパレスチナの民間人たちなのだ。
そんな中でのこのヒンド・ラジャブのSOS。この小さく短い映画は、どんなコンテンツよりも大声で戦争に対する怒りと哀しみを叫んでいる。本作の劇映画としての面白さ…メインキャラ4人の性格分けやデッドリミットサスペンスな展開などについては正直どうでもいいや、というのが今の気持ち。見終わった俺はつくづく今の世界が嫌になってきた。この映画の叫びに応える声も力も何もない俺は、下を向くしかないし、これからの世の中に不安しか抱けない。
だが今こそ、「戦場にかける橋」の軍医が吐き捨てたセリフを戦争を仕掛けた国・戦争を仕掛けようとしてる国に向かって叩きつける時だとも思う。
「狂ってる!」(madness!)
以上。
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