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190兆円が殺到した「ユニツリー上場」の裏側|ロボット人気ではなく中国株の歪みが原因?
なぜ利益半減のロボット会社に190兆円が集まるのか?ユニツリー上場から見えた中国市場の罠
手元に入るのはたった1,440億円?ユニツリーIPOの熱狂と「190兆円行列」のからくり
190兆円の申し込みが集まった「ユニツリー社IPO」の真相
中国のヒューマノイドロボット企業「ユニツリー(Unitree / 宇樹科技)」の上場(IPO)において、個人向けに190兆円分(約980万件・倍率5,500倍)もの申し込みが集まりました。しかし、これは「ロボット産業への期待」ではなく、「中国の株式市場の仕組み(制度の歪み)」によるものです。
主なポイント
1. 「190兆円」の正体(実際にお金は動いていない)
事前入金が不要な仕組み: 中国のIPO抽選(個人向け)は、申し込む際にお金を払う必要がありません。当選した人だけが翌日までに購入資金(約180万円)を振り込むシステムです。
190兆円は「名目上の数字」: 「希望株数 × 公開価格」の合算に過ぎず、現金が集まったわけではありません。実際に会社に入った資金は売り出し全体で約1,,440億円です。
株を売らせない設計: 抽選権を得るには「上海市場の株を一定金額・20営業日平均で保持」している必要があります。不動産不況が続く中国において、投資家に中国株を売らせない(保有し続けさせる)ための強力なインセンティブとして機能しています。
大口株主の存在: 売り出し株の約2割は国有系ファンドや年金、そしてAI企業のDeepSeek(ディープシーク)などが確保しており、AIとロボットの資本提携が進んでいます。
2. なぜ人々はこの行列に並ぶのか?(ノーリスクの宝くじ)
「当たれば確実に儲かる」仕組み: 今年(2024年)前半に中国で新規上場した70社のうち、初日の平均値上がり率は+280%。公募価格を割った会社は0社でした。
ノーリスクで参加可能: 外れても1円も損をしません(「タダで引ける宝くじ」)。そのため、条件を満たす人は全員が申し込みます(この抽選行動は中国で「打新(ダーシン)」と呼ばれています)。
誰が損をしているのか?:
会社側は「もっと高く売れたはずの資金」を取り逃しています。
当選者が利益を得て、その後に市場で高値で買うのは「上場後に参入する投資家」です。
行列に並ぶ人々は、ロボットの未来ではなく「値付けの歪み(公募価格が実勢価格の1/4程度と極端に安いこと)」に並んでいます。
3. 「PER 219倍」という評価と会社の実態
同業平均の6倍近い高値: 公募価格は去年の利益に対して219年分(PER 219倍)。同業平均(38年分)と比べて極めて割高な「将来のストーリーを買う価格」です。
業績の減速:
直近の売上高伸び率は+68%(前年同期は+330%超から減速)。
本業の利益は前年同期比で半減(開発費の増加や値下げ競争が要因)。
会社の正直な姿勢: 会社側は目論見書で「競争激化による成長鈍化」や「ヒューマノイドの実用化には技術・コストの制約がある」と明記しています。市場の熱狂と会社側の冷めた現実にはギャップが存在します。
経営権は渡さない: 今回売り出されたのは全体株の1割程度のみ。創業者(王氏)が特別な議決権構造により約7割の決定権を握り続けています。
結論・解説者の見立て
上場後の株価を支える「無料の燃料」: 外れた投資家(190兆円分の需要)は1円も使っておらず、「買えなかった悔しさと熱狂」だけが残っています。この熱量が上場後の初値を買い支え、当選者が売り抜けるための「燃料」となります。
実際に事業を動かすのは「1,440億円」: 市場がつけた時価総額(約1.4兆円)や190兆円という数字に関わらず、工場建設や研究開発に使えるのは手元に入った1,440億円だけです。今後の会社の価値を決めるのは、行列の長さではなく「この1,440億円で何を作り出せるか」にかかっています。
190兆円の申し込みは「タダで引ける宝くじ」?ユニツリーIPOに資金が急集した本当の理由
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