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2026年07月31日13:15

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剱岳 / ガスと降雨の決死山行!

「5年後に剱岳に登りたいです!」
義妹の友人、残念嬢のこの言葉からスタートした我等がにこさわ山岳会(仮称)。これまで五竜、奥穂、槍、北岳と岩場の多い高峰を踏破してステップアップを図ってきた。今年は5ヶ年計画のいよいよ本番の年、ついに念願の剱岳へ挑戦の時がやってきた。
オレとひるねは9年前に剱岳へは登っているが、この4人で国内一般 登山道最難関とも称される山へ立ち入るのはかなりの冒険でしょでしょ?である。なので今回は余裕を持って三日間の日程を組み、初日に室堂から立山を縦走し剣山荘に宿泊、二日目は時間をめいっぱいとり剱岳を往復して剱澤小屋に宿泊、三日目はみくりが池温泉などに立ち寄りながらゆっくり下山という計画を立てた。ところが。

オレとひるねは夫婦でここしばらく夏風邪をひいていたのだが、出発前日にひるねの症状が悪化して38度台の熱が出てしまった。どうにかして一緒に行きたかったのだが、さすがにこの体調で剱岳に挑むにはリスクが大きすぎる。非常に非常に残念な決断ではあったが、3日後に回復していそうなら下山後の宿で合流することにして、今回はひるねは涙を呑んで山行には参加せず自宅で体調回復に専念することとなった。

堺を夜中0時に出発、アニソン爆音で鳴らしながら1人で夜中の高速を爆走する。名神から北陸道に入り富山へ。5時半に立山駅近くのペンションで前泊していた義妹・残念嬢と合流する。
ケーブルカーの予約の時間までまあまああるので先に朝メシをすますことに。立山駅の構内にレストラン・アルペンというフードコートがあり、夏季シーズンは朝6時から営業している。と聞いていたのだが・・・ない。白エビかき揚げそばを楽しみにしていたのだが。
仕方がないので明日の昼メシ用に購入していた富山名産の寿司を半分食って朝食とする。一旦駐車場に戻って 登山装備を整えてからケーブルカー乗り場へ。

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7:30のケーブルカーに乗車、美女平で高原バスに乗り継いで一気に標高2,450mの室堂まで上がる。9年前にここへ来た時は室堂は横殴りの雨だったが、果たして今日は・・・雨降ってるー!!ダメだこりゃ!!

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仕方ない、今回は剱岳の登頂に目的を絞ることにして立山は諦めることにする。レインウェアに身を包んで雨の中出発。地獄谷から硫黄の香りが上がってくる中を雷鳥沢キャンプ場に向かって降りて行く。

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浄土沢の橋を渡って別山乗越へと登る。真正面に見えるのは標高差500mを2時間かけて一気に登る雷鳥坂。雨に打たれながら登って行く。降り続く雨に足元はいつか川のようになり、それもその内に濁流へと変貌する。そうかと思うと時々ピカッと光ったかと思うと遠くの方でゴロゴロゴロ・・・と雷鳴がする。山中での雷はシャレにならないのだが、稜線に上がるすこし手前ではまあまあ近くで光った。いやホント勘弁して下さい。
11:40に剱御前小舎の建つ別山乗越に到着。あまりゆっくりと休憩するよりも身体を冷やすのがイヤだったので行動食を1つ2つ口に入れてすぐに出る。
剱沢をトボトボと下りて行く。思っていたよりも早くに剱沢キャンプ場、そして明日宿泊予定の剱澤小屋が見えてきた。そこから今夜の宿、剣山荘は20分とあるが、傾斜のきつい雪渓のトラバースやゴーロ帯の通過に手間取り、13:30にやっとの事で剣山荘に到着。
この剣山荘は9年前にも宿泊したのだが、暖かい便座の水洗便所にシャワー室の存在と、山小屋としてはトップクラスではなかろうとかと思われるレベルの設備を誇る。この天気だからか宿泊客も少なく、部屋も個室貸し切り状態で、非常に快適な環境の中ゆっくりと休むことができた。明日は晴れますように・・・。


二日目。

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あたり一面には濃いガスが立ち込めており、ご来光も何も見えず。まあ雨が降っていないのはありがたい。準備をして6時半に剱岳に向けて出発する。
未明出発組の人たちが前剱で強風に阻まれて諦めて戻ってきたとか言いながら降りてくる。まあ行けるとこまで行こう。

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30分ほどで一服剱を通過、ガレガレの浮石だらけの急登を経て前剱へ向かう。前剱大岩の下のクサリ場でストックを片付けて登攀モードへ。前剱の山頂に吹く風は強く冷たいが、登頂を断念するレベルではなさそうだ。

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前剱から先がいよいよ別山尾根ルートの核心部。

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まずは左右が崖になっている4mの鉄のブリッジ。こういう掴まるところのない平均台状の場所は苦手は人は苦手なようだ。足元は安定しているので、強風さえ吹かなければ全然大したことはないのだが。

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崖に張り付くような高度感のある絶壁のトラバースをすぎて前剱の門の鞍部に下りる。

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平蔵の頭に向かって垂直の岩場を鉄杭を頼りに登り、さらにまた高度感ある一枚岩を下る。別山尾根ルートは要所要所で 登山路と下山路が別になっており、こういう時に下山者とすれ違わずに自分の通行のみに集中できるのはありがたい。
平蔵のコルから少し進むと、岩壁に9番目鎖場を示すプレートが現れる。剱岳の代名詞のひとつ、難所「カニのタテバイ」だ。

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カニのタテバイは高さ30mの垂直の岩場。クサリや鉄杭などが整備されており、スタンスもホールドも豊富にあるので落ち着いて三点支持をしっかりしながら登れば登れないことはない。しかし時には力づくで突破する度胸と勢いも必要でもある。

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タテバイをクリアして、打ち付けられたステップを頼りに岩壁を登攀し、30分ほど山頂に向けてガレ場を登って行く。山頂から降りてきた人たちが「もうすぐですよ〜」を声をかけてくれるが、降りて来る人の言う「すぐ」ほどアテにならないものはない。

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10:50、剱岳(2,999m)登頂。
周囲は真っ白のガスガスで眺望はゼロ。晴れていれば後立山連峰から富山湾、剱沢の向こうには立山から槍方面まで見渡せるのだが。って、まあオレは以前に晴れた山頂に立ったことあるからねー。くっ悔しくなんかないんだからね!!
しかし5年前に残念嬢が剱岳を目標にしたいと言った時は果たして5年でそれが果たせるのか疑問ではあったが、よくぞここまで辿り着いたものである。胸を張るべきである。
あまり長居してもガスが晴れる様子はないので諦めてとっとと下山に取りかかる。下山路も難所がてんこ盛りで気を抜けない。

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さっそくカニのタテバイと並ぶ難関、カニのヨコバイが現れる。垂直の崖に横一文字に穿たれた割れ目を足場にして文字通り蟹のごとく横歩きして進む高度感のあるトラバースである。以前は最初の第一歩目の場所がわかりづらかったようだが、現在は崖っぷちに赤ペンキで矢印や目印などがが書かれており、あまり迷わずに第一歩目を踏み出すことができる。ありがたい。

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しかしここでとうとう雨が降り出してきた。マジかー。ヨコバイで降らんでもええんちゃうの。仕方ない、ハゲ良くなる前にさっさと通過してしまうに限る。
身体を反転して右足を先ほどの足場へ下ろし、左足をもう一段下の足場へ下ろすとあとはなるべく下を見ずに横歩きだ。

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さらに急な岩場を下りると真新しいハシゴが現れる。ハシゴを下りて携帯トイレブースを過ぎると平蔵のコルに戻ってくる。

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来た時は難所だと思ったがタテバイ・ヨコバイを経験した後だとそれほどとは思えない平蔵の頭の登り返しを越え、さらにいくつものクサリ場を通過しながら剱沢へ向かう。雨は降ったり止んだり。

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14:40、剣山荘に戻ってくる。デポった荷物を回収し、暖かい飲み物を頼んで遅めの昼食を摂る。

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そしてまたゴーロ帯や雪渓を越えて今夜の宿、剱澤小屋へと向かう。
剱澤小屋は剣山荘よりは小ぢんまりしているが、ここもシャワーが使えるのは大変ありがたい。乾燥室もとても強力で濡れた装備がみるみる乾いていく。そして今日も個室貸し切り状態。食事も美味しく、ゆっくり身体を休めることができた。明日こそは晴れますように・・・。


三日目。

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小屋の前からは剱岳の雄姿がババーンと推参のはずなのだが、一服剱くらいから上は濃いガスが一面を覆っていて何も見えない。結局この3日間、ついに剱岳様がそのお姿を我々の前にお見せあそばされることはなかった。
いつ雨が降って来るかわからないのでさっさと出発する。別山乗越に向かってダラダラと登って行く。50分ほどで剱御前小舎に到着。あの雷鳥坂をまた下るのはイヤだという女性陣の意見が採用され、新室堂乗越を経由して少し遠回りして降りることに。

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やがてはるか下の方にに雷鳥沢キャンプ場や浄土沢、上の方には室堂周辺の施設や不毛の灰色が広がる地獄谷などが見えてくる。

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ところでここから見ていると、地獄谷から吹き上げる火山ガスが延々と雷鳥荘に吹き付けているように見えるのだが、アレは大丈夫なのだろうか。今からあそこに行くんですけど、あの道は通れるのだろうか。雷鳥荘の中の人、燻製になってたりしないのだろうか。

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浄土沢の橋を渡る。と、まあまあ大粒の雨が降ってきた。いや急やな。

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横殴りの雨に晒されながらずぶ濡れでみくりが池温泉に駆け込む。地獄谷をはじめとする室堂周辺は今も活動している火山地帯である。2,400mの高所にも関わらず温泉がボコボコと湧き出しており、日本一高所にある天然温泉を謳うみくりが池温泉などいつくかの温泉施設が点在している。眺望もない中頑張って剱岳登ってきた我々にこれくらいのご褒美あってもいいよね?
温泉でゆっくりと疲れと汚れを洗い流し、ついでに昼メシもすませる。外はやみそうもない大雨、ここから動きたくないのは山々ではあるが、仕方なくまたビショビショのレインウェアに身を包んで室堂ターミナルへ雨に打たれながら向かう。

高原バスとケーブルカーを乗り継いで立山駅へと戻ってくる。下も雨降っとる。
少しだけ時間があったので立山カルデラ砂防博物館を見学する。大変に興味深い展示が多く、時間全然足りんかった。
それから二日静養して熱が下がったひるねを富山駅まで迎えに行き、下山後の宿である富の環へ。料理も温泉もとても良かった。
四日目は朝から付近の酒蔵を何軒か回って富山の地酒を買い回る。くそう、運転手のオレを差し置いて美味そうに試飲しやがって・・・。
そこから東海北陸道を爆走、岐阜の本巣でジビエレストランに立ち寄って鹿肉ランチをいただいたりしながら大阪へと帰ってくる。
予定外の欠員や全日程通して眺望ゼロなど残念な部分はあったものの、5年越しの大目標でもあった剱岳登頂を無事に果たさせてあげられて何はともかく良かった良かった。
来年はどうしよう。4年前にコロナ禍で断念した白馬もいいなと思っているが、義妹は西穂に登ってみたいらしい。西穂か・・・焼岳から縦走とかも楽しいかな。
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