大企業の映画製作部門で活躍するプロデューサー、ローラ・パーマーは、社の会長スネイルに呼び出されアラスカまでやってきた。何でも、有能な選ばれし社員だけがここに集められたらしい。現れたスネイルは、ローラたちに新設する慈善事業部で働いて欲しいと語る。給料もアップし高級住宅も提供、さらにはストックオプションで自社株も手に入るぞというスネイル。強欲だった社長も、老いたら手に入れた富を分配するというポリシーに転向したようだ。狂喜したローラが株譲渡契約にサインを済ませると、バッキンガム宮殿で開かれる絵画競売に参加するよう命じられる。とにかく大金を叩いて絵を買ってこいというのだ。支払ったカネは慈善団体に寄付されるらしい。
というわけでロンドンに向かったローラ。その頃はまだ、超富裕層だけが感染し死に至る奇病〈リッチフルエンザ〉の存在には気づいていなかった…
「億万長者の不都合な終末」
以下、ネタバレフォビア。



富裕層だけがかかる感染症というアイデアは秀逸で、コロナによる分断・差別と格差による分断・差別をミックスした設定。ただし被差別側は逆で、富裕層のほう。色んな金持ちが何とか財産を手放そうと躍起になっていくサマを楽しむブラックコメディかと思いきやそうではなく、感染者=諸悪の根源とばかり庶民が暴徒化して富裕層を襲い始めたために、主人公一家が病気と暴力に怯えてひたすら逃げる話…となっていきます。これがなかなかのハードモードで全く笑えない。最終的に無一文で暮らすユートピアに辿り着くも、やはり物欲は無くならないという物質主義とキャピタリズムを皮肉ったオチにはなるも、別に爽快感もないんだな。
ま、正直さして面白い映画じゃなかったんだけど、プルートフォビアという言葉の存在を知れたのは収穫であった。「まんじゅう怖い」ではなく「ガチで大金怖い」という意味らしいけど、転じて本作では富裕層嫌悪のスローガンとして使われていた。リッチフルエンザが現実に存在したら、SNSで金持ちアピール投稿しているコイツやアイツなんか、真っ先に攻撃されるだろうな…と想像したら少し溜飲下がって爽快感が得られたので、本作の存在意義は確かにあるかと(笑)。
あ、そうそう序盤のローラさんですけど「ツインピークス」ネタにピンときてない表情してたのは何故だろうか。あまりに擦られてきた名前イジリにウンザリしていたのか、それとも本当にツインピークスを知らないのか。後者なら映画プロデューサーとしてどうかと思うね…
ログインしてコメントを確認・投稿する