1950年代の台湾。反政府活動で逮捕された兄が処刑されたと知り、嘉義で暮らす少女・阿月が台北にやってきた。だが右も左も分からず、遺体が安置されている斎場へもどう行けばわからない。声をかけてくれたお兄さんの親切に甘えて輪タクに乗せてもらった阿月だが、そのお兄さんに連れていかれた民家でいきなり拉致られ売り飛ばされそうになる。助けに入ってくれたのは、輪タクの車夫・趙公道。彼と共に斎場に急ぐ阿月だが…
「霧のごとく」
以下、「ネタバレ斎場はどこですか?」



白色テロで投獄・処刑された者たちの受難ドラマと言えば、「流麻溝十五号」が記憶に新しい。官憲の横暴さと治安の悪さで悪夢的な台北なんだけど、台湾映画はなんかゆったりして暗くない。やたらとやかましい公道と世間知らずで危なっかしい阿月の擬似兄妹ドラマです。
亡くなった兄が残した霧の〈お伽話〉や時計を進めて見る夢など、歴史の重みと、歴史に埋没していく名もなき人々への鎮魂に胸が痛くなる。台湾ほど作品にハズレがない国は無い気がするな。昔の日本の特高やナチのゲシュタポを想起させる刑事の悪役造形もいいし、ややコミカルな謎の大泥棒の存在も良かった。小さな水滴が雲になって乾いた地に雨を降らせても所詮は景色。雲にすらなれず霧で終わる人生だってある。市井に生きる小市民たちの辛い過去に寄り添ってくれる名画と言えますね。オススメ。
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