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2025年11月01日20:04

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【国東が呼ぶ】天念寺

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国東は、分け行っていくところだ。
山へ、里へ、暮らしの中へ。

しかし、天念寺はまだ近いうちだ。
坂もそんなにきつくない。

車は「鬼会(おにえ)の里」の駐車場に置かれた。

天念寺は無住だ。
そのせいか本堂という感じがしない。

本尊が売られた(資金化)されたことがあるという。 
異例の寺だ。

自動テープの音声案内が流れ出したが、
鏡子さんは聞いていない。

有名な川中不動も一瞥しただけで、修正鬼会(しゅじょうおにえ)が催される講堂に上がった。

鬼会は正月の行事で、半島のあちこちでやっていたが、現在では、ここ天念寺と岩戸寺だけに残っているというしかない。

このがらんとした講堂は、奥と左右に壁があるだけ。正面は完全にオープンである。

僕は、川中不動から無明(むみょう)橋へ視点を移した。

暴れ川が鎮まるように川の中の巨岩に彫られた不動様は、不思議なほど傷みがない。

無明橋は目もくらむほどの高さに架かるが、手摺りがない。
山伏(厳密には違うが、イメージとしてはこれでいい)だけが渡る橋だから、それでいい。

「ほんとに見るべきものが多いわ。もう、ここで旅行を終えましょうか」

鏡子さん、本気じゃないのはわかってますけどね。

「それから──鬼会は、ここで生まれた人たちだけのものよ」

鏡子さんは、がらんとした講堂から降りてきた。

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