静岡県・大善市…
大手メーカー「大帝ハウス」営業部のベテラン社員・山縣泰介は、ある日外回りの帰り道に通行人がやたらスマホを自分に向けていることに気づく。その理由を、彼は帰社して知ることになった。地元の公園で若い女を刺殺した犯人が「たいすけ」というアカウントで死体の写真をSNSにアップし大炎上していたのだ。「たいすけ」の投稿を見た意識高い系大学生インフルエンサーの住吉がリツイートしたおかげで死体写真投稿が多数の目に触れ、数時間後には特定班が山縣泰介を犯人と断定し社報に載っていた顔写真が拡散されたのだ。SNSなんかやっていない山縣は困惑するが、上司に自宅謹慎を言い渡されてしまう。だが帰宅しようにもYouTuberだかなんだかが自宅の前で動画を撮っていて…
「俺ではない炎上」
以下、「ねたばれなくさ」の家。




阿部寛主演の松竹映画。「思い込み」と「責任」についての話です。
思い込み……そもそも、「SNSで殺人犯扱いされたオジサンが世間の誤解を解いていく奮闘コメディ」と思い込ませるユルい予告編からして確信犯。単に社会の流行に乗っかった話ではなく、ガチのミステリだったんですねこれ。特定大好きネット民の思い込み、住吉が「さくら(んぼ)」に抱く思い込み、そして山縣自身の自己評価の思い込み。あらゆる思い込みの渦に、観客も巻き込まれるんです。小学生の娘・ナツミのパートが〈現在〉ではないというトリックも、観客の思い込みを誘導する編集の技ですよね。ナツミが同級生と自宅に入るシーンで鍵の在処を示すため玄関を映しちゃってるのがちょっとミス。〈現在〉なら第二の死体発見直後だから警察の規制でテープが貼られ、家に入れるわけが無いんですよ。あたしゃここでピンと来ましたねぇ。
邦画に多い説明過多(からにえなくさの家にあった3人目の死体が佐倉と明示したりとか)もなく、芦田愛菜の正体をギリギリまで提示しない演出や阿部寛を文字通りに「炎上」させようとする犯人のキチガイセンスも素晴らしい。山縣さんの姿に我が身を正さなくてはと思いつつ、いや俺はあんなに「昭和」してねーよなとも思ったり。責任逃れの言い訳探して生きている人生なのは変えられない気もするが、とにかくヒトに嫌われないようにしようと決意新たにした53才でした。面白かったです。
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