私の手元に紺色の一冊の手帳が在る。昭和12年の祝日が裏表紙に記載されている。
奥付に機械工具商 遠州中泉 鍋芳商店とあるので、このお店がお得意先に贈呈した
手帳だろう。父が養子に入った石川家の嫡子だった吉十氏が持ち主だったと推測。
記載内容は住所録として数件の記載が残る。県内・愛知県・広島県の方の住所だ。
84年も前の住所録だから、既に故人となっている可能性が大。他には次ページから
4ページ余にわたり、香典を頂いた方の名前と思しき名前が、びっしりと書かれている。
父の父(私の祖父)の名前もある。147人の名簿である。手帳の後は全て空白である。
日支事変に召集されて戦死を遂げたと聞いているので、北支と呼ばれた中国東北部にて
戦死したようだ。私が「石川姓」になったのも、この戦死によって嫡男を亡くして家を
継ぐべき者を失い、祖母の実家に私の父を跡取りに縁組したことが、切っ掛けだ。
この手帳もいつまで保存すべきかな。
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