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2019年01月03日19:11

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人の刑事事件について捜査官と相談しながら虚偽の供述内容を創作するなどして供述調書を作成した行為が証拠偽造罪に当たるとした最高裁平成28年3月31日決定

他人の刑事事件について捜査官と相談しながら虚偽の供述内容を創作するなどして供述調書を作成した行為が証拠偽造罪に当たるとした最高裁平成28年3月31日決定
弁護士 岡本哲
刑集登載の決定です。捜査官の共犯性も認めたかなり思い切った事実認定ではあります。捜査官の暴走や腐敗がある地域だと、刑事弁護人も主張を忘れないようにしないと。

刑法104条 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、または偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の懲役または30万円いかのばっきんに処する。
 参考人の虚偽供述って伝聞法則の関連もあって裁判上の証拠にはなりにくい場合もあり、直接の文言にはあてはまらないようにもみえます。本来は証人になるひとがおかしなことをいった場合は偽証罪がある(169条 3月以上10年以下の懲役と法定刑が偉い重いのと宣誓後の証人の供述にしかあてはまりませんが)

起訴されて処罰された参考人は、なんだか気の毒なようにも思われます。捜査官と協力してでっちあげたネズミといった印象でしょうか。

判例の射程が問題ですが参考人と捜査官の共謀にもとづいて虚偽内容の供述調書などが作成された場合には、基本的に証拠偽造罪が認められると解せられるが、それ以外の場合については、参考人らが積極的に虚偽の証拠を「新たに作り出した」と評価できるだけの例外的事情が必要であろう(西田;刑法各論 第7版 弘文堂・2018年・490頁 橋爪補訂部分)


詐欺,証拠隠滅被告事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷決定/平成26年(あ)第1857号
【判決日付】 平成28年3月31日
【判示事項】 他人の刑事事件について捜査官と相談しながら虚偽の供述内容を創作するなどして供述調書を作成した行為が証拠偽造罪に当たるとされた事例

【判決要旨】 参考人として捜査官に対して虚偽の供述をし,それに基づき供述調書が作成された場合とは異なり,第三者の覚せい剤所持という架空の事実に関する令状請求のための証拠を作り出す意図で,捜査官と相談しながら虚偽の供述内容を創作,具体化させ,それを供述調書の形式にした本件行為(判文参照)は,刑法104条の証拠偽造罪に当たる。

【参照条文】 刑法104
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集70巻3号58頁
       裁判所時報1649号141頁
       判例タイムズ1436号110頁
       判例時報2330号100頁
       LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】 金沢法学59巻1号77頁
       警察学論集69巻7号149頁
       論究ジュリスト25号192頁
       ジュリスト1511号115頁
       捜査研究65巻6号53頁
       法学教室430号152頁
       法学セミナー61巻7号125頁
       法曹時報69巻10号360頁
       刑事法ジャーナル50号114頁
       主   文
 本件上告を棄却する。
       理   由
 弁護人後藤貞人,同宇野裕明,同鈴木一郎の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであり,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は事実誤認,単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論に鑑み,本件における刑法104条の証拠を偽造した罪の成否につき,職権で判断する。
 1 原判決及びその是認する第1審判決並びに記録によれば,本件証拠偽造の事実関係は次のとおりである。
 (1) 本件は,被告人が,平成23年12月19日,Aと共に警察署を訪れ,同署刑事課組織犯罪対策係所属のB警部補及びC巡査部長から,暴力団員である知人のDを被疑者とする覚せい剤取締法違反被疑事件について参考人として取り調べられた際,A,B警部補及びC巡査部長と共謀の上,C巡査部長において,「Aが,平成23年10月末の午後9時頃にDが覚せい剤を持っているのを見た。Dの見せてきたカバンの中身をAがのぞき込むと,中には,ティッシュにくるまれた白色の結晶粉末が入った透明のチャック付きポリ袋1袋とオレンジ色のキャップが付いた注射器1本があった」などの虚偽の内容が記載されたAを供述者とする供述調書1通を作成し,もって,他人の刑事事件に関する証拠を偽造した,という事案である。
 (2) Aは,被告人と相談しながら,Dが覚せい剤等を所持している状況を目撃したという虚構の話を作り上げ,二人で警察署へ赴き,B警部補及びC巡査部長に対し,Dの覚せい剤所持事件の参考人として虚偽の目撃供述をした上,被告人らの説明,態度等からその供述が虚偽であることを認識するに至ったB警部補及びC巡査部長から,覚せい剤所持の目撃時期が古いと令状請求をすることができないと示唆され,「適当に2か月程前に見たことで書いとったらええやん」などと言われると,これに応じて2か月前にもDに会ったなどと話を合わせ,具体的な覚せい剤所持の目撃時期,場所につき被告人の作り話に従って虚偽の供述を続けた。C巡査部長は,Aらと相談しながら具体化させるなどした虚偽の供述を,それと知りながら,Aを供述者とする供述調書の形にした。Aは,その内容を確認し,C巡査部長から「正直,僕作ったところあるんで」「そこは流してもうて,注射器とか入ってなかっていう話なんすけど,まあ信憑性を高めるために入れてます」などと言われながらも,末尾に署名指印をした。
 2 他人の刑事事件に関し,被疑者以外の者が捜査機関から参考人として取調べ(刑訴法223条1項)を受けた際,虚偽の供述をしたとしても,刑法104条の証拠を偽造した罪に当たるものではないと解されるところ(大審院大正3年(れ)第1476号同年6月23日判決・刑録20輯1324頁,大審院昭和7年(れ)第1692号同8年2月14日判決・刑集12巻1号66頁,大審院昭和9年(れ)第717号同年8月4日判決・刑集13巻14号1059頁,最高裁昭和27年(あ)第1976号同28年10月19日第二小法廷決定・刑集7巻10号1945頁参照),その虚偽の供述内容が供述調書に録取される(刑訴法223条2項,198条3項ないし5項)などして,書面を含む記録媒体上に記録された場合であっても,そのことだけをもって,同罪に当たるということはできない。
 しかしながら,本件において作成された書面は,参考人AのC巡査部長に対する供述調書という形式をとっているものの,その実質は,被告人,A,B警部補及びC巡査部長の4名が,Dの覚せい剤所持という架空の事実に関する令状請求のための証拠を作り出す意図で,各人が相談しながら虚偽の供述内容を創作,具体化させて書面にしたものである。
 このように見ると,本件行為は,単に参考人として捜査官に対して虚偽の供述をし,それが供述調書に録取されたという事案とは異なり,作成名義人であるC巡査部長を含む被告人ら4名が共同して虚偽の内容が記載された証拠を新たに作り出したものといえ,刑法104条の証拠を偽造した罪に当たる。したがって,被告人について,A,B警部補及びC巡査部長との共同正犯が成立するとした原判断は正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 池上政幸 裁判官 櫻井龍子 裁判官 山浦善樹 裁判官 大谷直人 裁判官 小池 裕)

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