新今宮の駅前に、観光客をターゲットにした大型ホテルが誕生する−。
4月下旬、大阪市内でこのプロジェクトを正式発表した星野リゾート(長野県軽井沢町)の記者会見には、50人を超える報道陣が詰めかけた。「(同社の会見で)大阪でこれだけ人が集まったのは初めて」と星野佳路(よしはる)代表は目を丸くしたが、大阪になじみ深い人ほどこのニュースへの驚きは大きかったのではないか。
ホテル経営の重要な3要件は…「ロケーション、ロケーション、ロケーション」
建設予定地はJR新今宮駅北側に隣接する約1万4千平方メートルの土地。駅のホームから一望できるだけに、30年以上前に大阪市が購入してから塩漬けの状態が続いていた現状は経済的にも景観上もマイナスだった。
星野リゾートはこの土地を約18億円で取得。20階建てで、滞在型を想定したゆとりのある客室約600室を備える都市観光に特化したホテルを平成34年春に完成させる予定だ。
会見で質問が集中したのは大方の予想通り、「なぜ新今宮に?」という素朴な疑問に対してだった。
市内中心部の駅前に残る数少ないまとまった土地だが、駅南側には日雇い労働者や路上生活者が多い「あいりん地区」が広がる。府警や地域の努力で改善しているが、薬物密売やごみの不法投棄などマイナス面のイメージが拭いきれない地域でもある。
そのような場所で観光客向けのホテル運営が成り立つのか−。この問いに、星野代表は著名なホテル経営者の格言を引いて答えた。
いわく、ホテル経営で重要なのは3つ。「ロケーション(場所)、ロケーション、ロケーション」と。立地が全てというわけだ。
大阪ならではのディープさも
通天閣やあべのハルカスといった名所への近さや、関西空港から電車1本で来られるという利便性だけでなく、下町風情が色濃く残る新世界などで「大阪ならではのディープさ」を体感できるのが新今宮の強みだと強調。周辺の環境についても、「海外の人が危険を感じる地域ではなく悲観的になる必要はない。チャンスはある」と力強く語った。
ポジティブで押しの強さが売りの大阪人だが、この地域の課題については確かに悲観的になりすぎていたのかもしれない。地の利を再認識し、新今宮の「ええとこ」を売り出していくべき時期を迎えているのだろう。
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