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2016年01月19日14:52

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なぜ星野氏は殿堂入りできないのか?




 平成28年度の野球殿堂入りの5人が18日、発表されたが、監督、コーチ退任後6か月以上、引退後21年以上を経過した人を対象とするエキスパート部門で、殿堂入りが有力視されていた元大洋(現在横浜DeNA)のエースで通算201勝を挙げた平松政次氏、監督として3球団で優勝した楽天の星野仙一球団副会長(68)の両氏が落選した。

 平松氏は次点の70票、星野氏は69票で、それぞれ13票と14票が75パーセントの得票ラインに足りなかった。候補者初年度となった昨年度の星野氏は、53票で4位。今回は16票を伸ばし、昨年3位だった権藤博氏を6票上回ったが、殿堂入りとはならなかった。

 星野氏は、中日、阪神、楽天の3球団を率いて優勝監督となった。3チームで優勝を果たしたのは故・三原脩氏、故・西本幸雄氏に次ぐ、史上3人目の快挙である。しかも、監督としての通算1181勝は、歴代10位の記録。三原氏、西本氏はもちろん、上位の9人全員と、通算勝利数では13位の故・仰木彬氏も2004年に殿堂入りしている。闘将と呼ばれる強いリーダーシップだけでなく、GM的にチーム編成にまで手を出して、チームを抜本的に改革する手法で、低迷していた阪神、楽天という2チームを優勝に導いた手腕と、その功績は、殿堂入りにふさわしいものだ。今回、選出された故・榎本喜八氏と同時選出されても不思議ではなかった。

 なぜ星野氏は殿堂入りできないのか。
 
 ある関係者の一人は、「選出方法に問題がある。殿堂入りの約30人が投票権を持っているが、どうも、その票が入っていないようだ。そもそも殿堂入りに明確なガイドラインがないのだから“虫が好かない”というような個人的感情が生まれることはある。投票委員の顔ぶれが、ほとんど変わらないのも原因。入れる人が一緒なんだから、投票の中身も大きくは変わらない」という。

 エキスパート部門の選出方法は、殿堂入りしている約30人と、競技者表彰委員会の幹事、野球報道年数30年以上の経験を持つ記者約70人によって、5人連記で投票が行われ、75パーセント以上を得票した人が殿堂入りとなる。かつては、複数名を書かない人が多かったが、今回は4.1人平均の記入があった。それでも星野氏が選ばれなかったのは星野氏の名前を5人連記でも書かない委員が少なくなかったということだ。原因としては、好き嫌い。投票者には、殿堂入り紗も含めて、年配者が多く監督として若い時代にベンチ内で暴れたり乱闘騒ぎの中で退場処分を受けるなどした星野氏の態度が、殿堂入りにふさわしくないと判断している人がいると考えられる。

そもそも殿堂入りには、ガイドラインがない。メジャーでは、投手が300勝、打者は3000本安打もしくは500本塁打が目安とされている。日本では、プレーヤーズ表彰は名球界入りがひとつの基準とされているが、エキスパート部門は、榎本氏のように、1.過去に殿堂入りから漏れた功労者の掘り起こしと、2.監督、コーチとしてプロ野球の発展に大きな貢献をした人の殿堂入りを目的にして、2008年に制定された。メジャーの殿堂で、ベテランズ委員会が掘り起こしを行っているのに習ったものだが、対象者の選出理由が、1.2.と二つに分けられているため、さらに基準が曖昧になっている。

 前述の平松氏は201勝で榎本氏も2000本安打を打ちながら時間がかかった。

 より投票者の主観、つまり、好き嫌いが影響を及ぼすのである。投票による表彰には、多様性があってしかるべきで、時には、メジャーのようにドーピング疑惑のある選手を選ばないという“見識”も必要になってくる。だが、個人の価値観の相違が、必要以上に大きく反映される手法に問題はないのだろうか。

 エキスパート部門は、2008年、2012年、2014年、2015年と該当者がなく、過去8年間に表彰されたのは、故・青田昇氏、故・江藤慎一氏、故・皆川睦雄氏、外木場義郎氏の4人。2013年以降は、投票の資格者を増やし、連名記入も3人から5人とし、候補者の人数を絞るなどの規約の微調整を試みてきた。その効果があってか、今回、3年ぶりに75パーセント以上の得票を榎本氏がクリアした。委員会は、毎年、選出方法の見直しを議論するが、選出者が出ただけに、おそらく現状の選出方法に変更はないだろう。

 来年度は、今回、榎本氏が獲得した83票が、ばらけるため、次こそは星野氏の選出が確実だろうという見方もある。だが一方で来年度は、星野氏の新たなライバルが資格を得る。プレーヤー部門で、なぜか殿堂入りを逃していた元巨人監督の原辰徳氏が、候補者として加わることになるのだ。巨人での監督実績だけでなく、WBCの優勝監督でもある原氏が資格を得た初年度に多くの票を集めると、再び星野氏が落選する可能性もある。

 西本幸雄氏が、生前に「長池こそ阪急という球団を変えた功労者。殿堂入りすべし」という手紙を殿堂入り委員会宛に、毎年にように送っていたのは有名な話。殿堂入りの基準と、価値観が、それほど、人それぞれによって違うことを端的に現しているエピソードだが、その長池徳士氏は今回も26票で落選した。

 筆者はエキスパート部門の殿堂入りは決して狭き門である必要はないと考えている。いっそのこと、エキスパート部門では、必要得票のパーセンテージをもう少し下げて、代わりに委員会の候補者選びをもっと慎重に吟味すればどうだろうか。




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