伊藤 進先生古稀記念論文集
担保制度の現代的展開
2006年12月10日発行
編 者:堀 龍兒・鎌田 薫・池田眞朗・新美育文・中舎寛樹
発行者:林 克行
発行所:株式会社 日本評論社
ISBN−4−535−51455−0
目 次
巻頭言 伊藤 進教授のこと………椿 寿夫
第一部 抵当権・法定担保の現代的展開
担保不動産収益執行制度 ―――物上代位との関係………生熊長幸
一 はじめに
二 抵当権の抵当不動産の生み出す賃料への関わり方
1 わが民法の系譜(民法旧三七一条)
2 抵当権に基づく賃料債権への物上代位をめぐる議論
3 担保不動産収益執行の制度の創設
4 抵当権の抵当不動産の生み出す賃料への関わり方
三 担保不動産収益執行制度の仕組みとその問題点
1 担保不動産収益執行の仕組み
2 賃料債権への物上代位や賃料債権に対する債権執行に基づく差押命令との関係
3 賃料債権への物上代位と担保不動産収益執行の制度の比較
4 担保不動産収益執行制度の問題点
5 担保不動産収益執行制度の実際の機能
四 担保不動産収益執行をめぐる解釈論上の若干の問題
1 抵当権者が優先弁済を受けうる賃料債権の範囲
2 賃料債権に対する一般債権者の差押え・転付命令、賃料債権の譲渡と担保不動産収益執行との関係
五 終わりに
抵当権消滅請求制度………織田博子
一 はじめに
二 滌除の機能
三 滌除の問題点
1 滌除金額の相当性
2 増価競売の問題点
3 抵当権者の実行時期選択権に対する侵害
4 滌除権者への抵当権実行通知
5 第三取得者側の不利益
6 滌除権濫用の問題
四 今回の改正で滌除制度はどうなったか
1 抵当権消滅請求権者の限定(三七八条)
2 抵当権実行通知義務の廃止(旧三八一条・三八七条の削除)
3 抵当権消滅請求ができる時期の見直し(三八二条)
4 増価競売の廃止等(三八四条)
5 抵当権者の競売申立ての取下げ等の効果(三八四条二号〜四号)
6 抵当権者の競売申立ての取下げに対する承諾要件の廃止等(旧三八六条の削除)
五 改正法の評価
個別執行と留置権 ―――抵当権との衝突事例をめぐって………田�盍乙�
一 はじめに
1 留置権をめぐる近時の動向
2 問題の所在と本稿の目的
3 本稿における考察の対象
二 他の債権者による執行手続での留置権・その一 ―――引受主義の妥当範囲
1 留置権における引受主義の正当化根拠
2 被担保債権の範囲について
三 他の債権者による執行手続での留置権・その二 ―――売買契約に起因する留置権の処遇
1 交換価値を被担保権とする場合とは
2 裁判例の検討 ―――抵当不動産の売買契約の解除
3 抵当権の留置権の先後による類型的考察
4 小 括
四 留置権者による執行手続
1 引受主義説と消除主義説の対立
2 私見 ―――留置権者による換価の制限
五 結 語
1 留置権の効力に関する類型化の必要性
2 「牽連性」の用件論から効果論への転換
3 損害賠償請求権等について
4 商事留置権について
労働債権と先取特権………田山輝明
一 民法三〇八条の立法史
二 「雇用関係」の意義
1 「雇人」に関する判例・学説
2 商法の旧規定との関係
3 使用人兼取締役について
三 先取特権の基本的意義と必要性
1 労働者の生活資金の確保
2 労使間における労働者の社会・経済的地位の弱さ
3 労働者による企業財産形成への貢献
4 経営環境などの情報量のギャップ
四 先取特権の効力と労働債権の法的位置づけ
1 先取特権と民法・関連法
2 労働債権の優先順位と他の特別先取特権
3 労働債権の種類と先取特権
4 労働債権の先取特権の活用
5 権利実行手続
五 まとめ ―――立法論的検討
1 一般先取特権の強化
2 労働債権の特別先取特権の優先順位を引き上げるための方法等の検討
動産売買先取特権の現状と課題………荒木新五
一 はじめに ―――動産売買先取特権をめぐる問題状況
二 目的動産に対する動産売買先取特権の実行(動産競売)
1 平成一五年改正前の状況
2 平成一五年改正の内容
3 動産売買先取特権の実行による、動産競売許可に基づく競売手続
4 改正後の目的動産の保全
三 動産売買先取特権に基づく物上代位権行使
1 被担保債権と目的債権(被差押債権)の適格
2 物上代位権行使の方法
3 物上代位権行使による差押えと目的債権の譲渡との優劣等
四 終わりに ―――今後の展望
1 動産売買先取特権の目的動産に対する実行について
2 その他
不動産工事の先取特権 ―――アメリカ合衆国における統一建設リーエン法の検討………執行秀幸
一 本稿の課題
1 不動産工事の先取特権
2 不動産工事の先取特権の立法論の必要性
3 アメリカ合衆国におけるメカニクスリーエンの検討
二 メカニクスリーエン法の背景
1 メカニクスリーエン法の歴史
2 統一法への模索
3 メカニクスリーエン法をめぐる諸問題
三 統一建設リーエン法
四 所有者のリーエン責任
1 基本的スキーム
2 住宅所有者の保護
3 統一建設リーエン法の解決方法
五 第三者との優先順位の基準時
1 はじめに
2 開始・目に見える開始準則
3 リーエンの登記
4 開始通知の登記
六 結 語
第二部 人的担保・包括担保の現代的展開
保証類型論 ―――「機関信用保証」の学説における位置づけを中心として………三林 宏
一 はじめに
二 信用保証協会保証の仕組み・内容
三 「機関(信用)保証」論
1 伊藤教授の「機関保証」の特質
2 伊藤教授の「機関保証」論提唱の目的
3 「機関保証」から「機関信用保証」へ
4 伊藤教授の「機関信用保証」の具体的特質
四 機関保証・機関信用保証論と学説の展開
1 伊藤教授の機関信用保証論の特徴
2 保証主体の観点からみて「機関保証」を捉える見解
3 保証主体の観点に加え有償性を加えて「機関保証」を捉える見解
4 信用保証協会による保証の意味で「機関保証」を捉える見解
5 國井説による「機関信用保証」批判
6 法人保証論からの「機関信用保証」批判
7 潮見教授からの「機関信用保証」批判
五 結 び
保証制度の改正が保証協会実務に与える影響………吉田光碩
一 保証制度の改正
二 保証協会の対応とその問題点
三 立法担当者の理解と学者・実務家の理解
四 従来の議論
五 以上の議論から導かれるもの
六 約定書整備にあたっての留意点
七 極度根保証の求償保証は根保証か
経営指導念書 ―――その法的効力………平野裕之
一 はじめに
1 経営指導念書の背景および法的問題点
2 多様な経営指導念書
3 これまでの学説・判例についての一般論 ―――問題点の確認
二 経営指導念書をめぐる判例の状況
1 判例の紹介
2 判例の分析
三 経営指導念書をめぐる研究状況
1 保証契約と認定する可能性
2 保証以外の法的効力が認められる場合
四 私見の提言
1 契約とは認められない場合
2 契約と認められる場合
集合債権論………堀 龍兒
一 はじめに
二 東京高判 平成16・7・21について
三 集合債権譲渡担保にかかる本論文に関連する主な判例の動向
四 集合債権譲渡担保にかかる本論文に関連する主な学説
五 動産・債権譲渡特例法について
六 集合債権論の展開
1 集合動産譲渡担保と集合物論
2 集合債権論に特に影響のある判例・学説
3 集合債権論
七 おわりに
第三部 担保関係の現代的展開
ABL等に見る動産・債権担保の展開と課題 ―――新しい担保概念の認知に向けて………池田真朗
一 はじめに
二 「担保」概念の新しい見方
1 「担保」形式の広がり
2 新しい「担保」概念
三 新しい担保の具体例
1 CFL
2 ABL
四 アメリカにおけるABLの現状
五 新しい担保の法的位置づけ
六 結びに代えて
担保的予約………藤田寿夫
一 はじめに
二 法形式としての予約
1 債権的予約
2 完結型予約
3 予約と対抗要件
4 譲渡前の債務者対抗力
5 譲渡前の第三者対抗力
6 予約の締結意思と確定性
7 処分行為の特定性
三 担保的予約か譲渡担保か
四 まとめ
一括支払システム ―――その発展と効力………鳥谷部 茂
一 はじめに
二 一括支払システム(一括決済方式)の推移
三 債権移転方式
1 債権譲渡担保方式(一括支払システム)の意義と効力
2 一括ファクタリング(真正債権譲渡)方式
3 一括信託方式
四 併存的債務引受方式
1 併存的債務引受方式の仕組み
2 併存的債務引受方式の機能
五 優先的効力の検討
1 国税等債権の滞納処分との競合
2 抵当権・先取特権の物上代位との競合
3 既発生債権・将来債権に対する債権譲渡・差押えとの競合
4 相殺との競合
5 対象債権(将来債権)の瑕疵(取消・無効・不発生等)
6 支払企業の破産
六 むすび
多数当事者間相殺契約の効力………中舎寛樹
一 問題の所在
二 三者間相殺契約の類型と法性決定
1 ABCの合意による場合
2 ABの合意による場合
3 ACの合意による場合
4 BCの合意による場合
三 三者間相殺契約の対外的効力
1 ABの合意による場合
2 ACの合意による場合
3 BCの合意による場合
4 ABCの合意による場合
四 債務の連鎖による相互保証という構成の可能性
1 相殺契約・予約の限界
2 相互保証による連携の強化
賃貸住宅の修繕・補修費用の負担と敷金特約・敷引特約………千葉恵美子
―――賃貸借契約の本質的債務関係から見た特約条項の効力
一 問題の所在
二 従来の判例・学説の考え方と最近の判例の動向
1 従来の判例・学説の動向とその考え方
2 特約条項をめぐる最近の判例の動向
三 修繕・補修に関する特約条項の効力とその判断基準
四 敷金契約における被担保債権の範囲の特約と敷引特約の効力
五 おわりに
民事再生手続と実体担保制度………河野玄逸
一 はじめに
二 民事再生手続の信託的理解
1 再生債務者の受託者的地位
2 再生債権者の受益者的地位
3 共益債権者の信託債権者的地位
三 別除権者および一般優先債権者の信託的理解
1 別除権者の信託的理解
2 一般優先債権者の信託的理解
四 集合動産譲渡担保と民事再生
1 従来型の集合動産譲渡担保(自動固定定型・当然帰属型)
2 動産譲渡登記にかかる集合動産譲渡担保(非固定型・処分清算型)
3 集合動産譲渡担保と共益債権与信との相克
五 集合債権譲渡担保と民事再生
1 従来型の集合債権譲渡担保(通知留保型)
2 債権譲渡登記にかかる集合債権譲渡担保
3 集合債権譲渡担保と再生債務者・共益債権与信との相克
4 第三債務者不特定の集合債権譲渡担保
六 権利留保型担保権と民事再生
1 動産留保型担保権と民事再生
2 所有権留保売買
3 信託法理利用の新型担保
あとがき
伊藤 進先生 略歴
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