年齢詐称と婚姻無効
構成
1 チャゲ&飛鳥の飛鳥涼夫婦のなれそめ
2 年令詐称と婚姻の成立あるいは無効
―――なつかしいラジオ番組のはなしから婚姻における詐欺のはなしになりました――
1 チャゲ&飛鳥の飛鳥涼夫婦のなれそめ
渡邉一雄「ヤンタンの時代」という本が角川書店から2005年7月にでた。1967年からはじまった大阪の毎日放送ヤングタウンの歴史を1967年から1990年にかけてふりかえったものである。ヤンタンというのはヤングタウンの略称である。
このなかでチャゲ&飛鳥の、飛鳥の結婚に関するエピソードがでてくる。
チャゲ&飛鳥は昭和50年代にデビューした男性二人のデュオであり、個人としてもデュオとしても数々のヒット曲をもつ有名ミュージシャンである。
チャゲ&飛鳥は、1983年から1984年にかけて毎週火曜日のヤングタウンのパーソナリティであった。1984年3月まではふたりだけでやっていたのだが、1984年4月からアシスタントをいれよう、ということになり、八島洋子さんがはいることになった。八島さんはふたりよりちょっと年上であった。
4月のはじめての顔合わせの日に、チャゲと飛鳥は羽田から大阪にむこう飛行機が雪のため欠航になり、チャゲと飛鳥は東京、八島さんは大阪で放送ということになった。
そこでスタッフがいたずら心をだし、矢島さんについて八島たね70歳という設定でやろう、ということにした。チャゲ&飛鳥のふたりにはおばあさんがきょうはきてます、ということであり、矢島さんもそれに応じて、へー、年寄りなのに音楽シーンに詳しいですねえ、などと感心させたうえ、見事に放送をおえた。
飛鳥は八島たねさんを気に入ったようであった。
次の週の放送で大阪で顔合わせがあり、たねさんはどこ?と話題になって、ショートヘアの30少し前の女性が先週はだましてごめんなさい、と挨拶をした。ふたりはあっけにとられていたが、飛鳥はじっと彼女をみつめていたらしい。その後1年間3人のいきるあった放送が続けられた。
飛鳥と八島さんの結婚はチャゲあすのヤンタンがおわって2年半のちであった。八島たねの年になっても飛鳥は愛しつづけるだろうと、さきの本にはかかれている。
八島さんは、当時フリーだったのか、つボイのりおのハイヤング京都で「あー、すごくいい」などのわりとセクシーな効果音もやっていて、器用なひとだったとリスナーは記憶していた。二人の結婚自体はそう意外ではなかった。相性のよさは当時から感じられてものがあった。いまもいい家庭を築かれているようである。
2 年令詐称と婚姻の成立あるいは無効
さて、飛鳥のなれそめの場合はほほえましい年令詐称といえるが、結婚の場合に年令詐称や学歴詐称がある場合はいろいろある。
この場合、婚姻無効や婚約取消の正当な理由になるのであろうか。
基本的にはならないというのが答えである。
結婚の場合には一般の取引法の詐欺の規定は適用されない。これは結婚の場合は手練手管を用い、少々の詐欺的手段があるのがあたりまえだから、と説明されることもある。
民法742条は、婚姻の無効について
婚姻は左の場合に限り、無効とする。
1 人違その他の事由によりて当事者間に婚姻をする意思がないとき
2 (省略)
と規定している。年令詐称や学歴詐称の場合は、人違と同様なレベルの錯誤があるとはいえない。婚姻は有効である。
それでは取消ことは可能であろうか。
民法747条は、詐欺・強迫による婚姻の取消について
1 詐欺または強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消を家庭裁判所に請求することができる。
2 前項の取消権は、当事者が詐欺を発見し、若しくは強迫を免れたあと3カ月を経過し、又は追認したときは、消滅する。
と規定している。
通常は2項の制限にひっかかることであろう。
制限にひっかからない場合は、人事訴訟の手続で離婚とほぼ同様の手続にのっていくことになる。このようなこまかい規定を知らない当事者は離婚を申し立てているのが通常と思われ、婚姻取消はあまり利用されていないようである。
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