1945年、東京。
田舎の疎開先から戻った12歳の少女・茅野琴子は、自宅の焼け跡で復員したばかりの兄と再会。だが直後、精神を病んだ兄が死んでしまった。天涯孤独の身となった彼女は、駅ガード下の靴磨きから再出発。髪を切り男子に扮し、不良集団の一員として生きていく。
そんな琴子の元担任・曾根文美子は、赤子を抱えて必死に生きようとしていた。進駐軍相手のダンスホールで望まない仕事をしながらも、自身が「見捨て」た琴子の身を案じていた……
「わたしの知らない子どもたち」
以下、わたしの知らないネタバレたち。



西川美和監督作品。戦災孤児ドラマだが、地上波TVのお涙頂戴感動系が避ける闇にもちゃんと踏み込んだ良作。朝鮮人差別も出てくるし、「女」であることのハンデも直接的に描かれている。ただ、教師の責任については曖昧だ。愛国を説いたその口で、民主主義の風を吹かせる大人たちの変わり身。子供の目から見たら、そんな世界は信用できないだろう。琴子の目線とは違う、将吉目線の戦後も見てみたかった。
菊沢組の下っ端としてつるむ少年たちを眺めていて、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を思い出した。1920年代のNYの移民街も、1945年の東京も、現代の世界のどこにでもある団地(プロジェクト)も、みな同じなのかも知れない。貧困と、行政と教育の欠落が作り上げた子供たちの世界には希望がない。それが痛いくらいに解った2時間強だった。
キャスティングは皆素晴らしかった(というか贅沢)。特に、戦地で子供を失っている田中裕子の言葉はいちいち重い。良作。
ログインしてコメントを確認・投稿する