青森…
高校を中退して回転寿司店で働く21歳の和(のどか)は、ある日サラリーマンの遠藤将一と交際することに。だがその矢先、和にステージ4の大腸癌が見つかった。切除不能なため抗がん剤治療のスケジュールを組むことになるが、そんななか、凍結卵子を使って妊娠も可能であることを知り子供を持ちたいと思い始める和。だが治療が遅れることで将一は猛反対して……
「ママがもうこの世界にいなくても」
以下、ネタバレ1、ネタバレ2、おねえちゃん1。



川口春奈と高杉真宙が主演する実話系映画。典型的お涙頂戴プロットに美男美女カップルという、普段の俺なら敬遠するタイプの映画だが、時間の都合上こちらをチョイスした。いわゆるミニシアターのアップリンク吉祥寺、平日の夜なのにほぼ満席。普段ここに来ないタイプの若者たち(男子高校生4人組とか)がいて落ち着かず賑やかなまま上映が始まったが、ちゃんと静寂。啜り泣きも漏れるなか、私語も着信音もポップコーンの音さえも一切聞こえなかった。それだけ惹きつけ集中させる力があったのは確かである。
恋愛映画ではあるが、家族映画でもある。愛し合う若者2人だけで完結する余命映画は「ある愛の詩」など一部の名作を除くと白々しく嘘くさい映画になると思うが、家族にきちんとスポットを当ててくれると感情移入度が上がるし、他の患者についての描写があるとヒューマンドラマとしての格も上がる。本作はまさにそれで、2人の妹たちとの関係性や両親の個性で存分に愛情が伝わり、ドラマに奥行きが出ていた。
個人的には、病院ロビーで和が別れを告げるシーンが好き。将一が追いかけて階段で抱きしめるとこまでいく長回しは、本作最初の泣けポイントだから相当計算されたと思うんだけど、まぁ見事でしたよ。顔のアップが多い時もあれば、車椅子で桟橋デートするシーンのように画面の端に人物を配置するショットもあったりする。キャラクターの感情に沿ったカメラワークが多く、泣かせることにだけ注力した映画では無いのは確か。芸術性を持ちながら、実話であることをちゃんと意識して真摯に撮っているのが分かるのだ。余命映画のクオリティが格段に上がったと「余命10年」の時に思ったが、本作もそれを踏襲した一本と言える。泣ける泣けないはヒトそれぞれだし、演者の演技の好き嫌いもあるだろうが、これほど万人に響く映画も珍しいと思う。単に美男美女を愛でたい人、恋愛映画が好きな人、身内のケアと仕事を両立してる人、10-20代の娘をもつパパとママ、闘病中の人、妊娠・出産・子育て真っ最中の人…誰が観ても時間の無駄には絶対にならないはず。
副題どおりの日記についての映画でもあり、「書き残すことの意義と重さ」もちゃんと伝わり「さとこはいつも」と通ずる面もある。そして今年の一大トレンドである〈ワンコ映画〉であることも見逃せない点。ブラピもいいけど春奈もね、とオススメしたい作品。ぜひ。
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