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2026年10月06日07:49

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水曜クビ×4日記1528:ストーリーオブザトゥルーストーリー


1990年代。近田貴子は夫・マサキを殺害し、かねてから恋愛関係にあったタカシを家にいれ「近田マサキ」の身分を着せた。これにより夫殺害は露見しなかったが、新たな情夫ができると今度はタカシを殺害し、新たな男を「マサキ」に仕立てあげる。このサイクルを繰り返したが、5人目の男が警察に駆け込んだことで事件が発覚。マスコミに「配偶者身代わり連続殺人事件」として騒がれ、貴子は死刑判決を受けた。

現在……
有名劇団「加藤鶏冠手」がこの「配偶者身代わり連続殺人」を舞台化することになった。演出家・加藤と脚本家・垣内がオーディションで選んだマサキ役は演技未経験の夛田という男。夛田はとある企業のコンピュータプログラマーで、浮気しまくりの妻に去られた過去があった。嫁に裏切られたマサキはまさに自分だ、と考えてオーディションに参加したらしい。イマイチ芽が出ない女優・米良が貴子を演じることになり、本読み・稽古も始まるが……



「本当にあった話(の話)」


以下、貴子にとって手はネタバレ器の象徴。


引き算引き算引き算引き算引き算引き算

映画好きを公言しているとよく訊かれるのが「舞台も好きですか?」というやつ。どんな媒体でも役者の芝居を見るのが好きだから多分ハマる気もするが、どうしても生の芝居を観る気にはなれない。それはハプニングが怖いから。映画やドラマは完パケだから最後まで演技のハプニングはないけど、舞台劇にはあり得るでしょ。それが嫌なんですよ。ずっと余計なドキドキを抱えて観なくちゃいけないから。そんな俺からしたら、この映画の不穏さには堪らないもんがありました。


フォト



平たく言ってしまえば、素人俳優の夛田くんがマサキという役にのめり込み現実と虚構の境界を見失っていく話なんだが、「インランド・エンパイア」とか「バードマン」みたいに虚構が現実世界に侵食するほどの不条理さやダークファンタジー味はない。リアリティとしては「Wの悲劇」の方が近いかも。確かに夛田は気持ち悪いし、憑依演技に「野獣死すべし」の優作さんが見え隠れするんだけど、単純な頭がおかしい人というわけではない。米良さんが「夛田さんで来て」と頼めばマサキをOFFできるんだから。本作、劇中でも夛田が言ってたけど、些細なボタンの掛け違いから始まった「役の解釈差」が雪だるま式に膨らんで弾け飛ぶブラックコメディで、怖い映画とは言えないかな。不快にはなるだろうけど。加藤は「センセーショナルでウケるだろうし女優も食えるし」で演出をやって、垣内は「貴子カッコいい」だけで脚本を書いている。ちなみにこの垣内という人はクールで知的な印象を与えるが、結構矛盾した人でもあった。男性上位社会へのカウンターとして貴子を讃美しているくせに加藤のセクハラは見ぬフリだし、貴子はマサキを愛していないと断言していながら芝居のタイトルは「貴子とマサキの恋物語」になっていたな。ま、何であれ芝居が無事公演できてかつ好評ならそれで良しと全員が考えている中に、役を真剣に理解しようとしている人間が1人入ってきて異物化したら、確かにそれはコメディだし、そいつが暴走したらホラーにもなる。ジャンルミックスしやすい物語なんだよね。

執着を持つ男…ストーカーと置き換えてもいいんだけど、こいつの撃退法が2つ提示されているのも面白い。一つは現実的に「結婚して子供できました」と告げること。もう一つは、究極的……自分が死ぬこと。これにより夛田はアリサに振られ、マサキ(夛田)は貴子(米良)に振られるんですね。見事な反撃で見事なオチでした。


水上くんの演技は確かに素晴らしかったけど、俺的MVPは黒木華。ゲロに疑似フェラ謎ダンス…彼女にあんなことさせたら、この映画の監督も佐々木蔵之介も山田洋次に怒られるぞきっと。


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