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2026年08月29日21:02

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<時を越えて響き合う現在地:ZARD 35th Anniversary LIVE「What a beautiful memory 〜forever moment 〜」体験記> 8月30日(日)午後7時 BSフジにてZARD特集。

  <8月30日(日)BSフジ午後7時からZARD特集>

時を越えて歌い継がれるZARDの名曲の数々、2026年8月30日(日)BSフジにて午後7時から8時55分の放送枠<サンデープレミアム>内にて、特集が組まれた。タイトルは『輝き続けるZARD』、トリビュートバンドとして2019年に世に送り出されたSARD UNDER GROUNDの神野友亜を初め、ゲスト陣らが思い出深い曲を厳選して、プレイリストとして紹介する。

 番組サイト https://www.bsfuji.tv/zard/pub/index.html



坂井泉水がこの世を去ったあとも、次世代への「継承」の形で、ZARDのプロジェクトは続けられてきた。2026年2月6日は大阪フェスティバルホールで、2月10日には東京国際フォーラムAで、フルバンドによるライブが開催された。東京国際フォーラムA公演を中心に収録した映像作品「ZARD 35th Anniversary LIVE“What a beautiful memory 〜forever moment 〜”」は、7月8日にリリースされた。形態はDVDとBlue-ray。2025年の初夏にBillboardで開催されたアコースティックライブの模様も特典映像として収録している。
2026年2月10日(火曜日)、私自身もあの場に身を置いていた。東京国際フォーラムAの大空間にこだました幾重もの記憶と現在が交錯する奇跡のような一夜の模様を、ここに紐解いていきたい。

 写真 映像作品のスリーブケース仕様 掲載元 WEZARD https://wezard.net/35th/wabm-fm-bd-dvd/
フォト


<時を越えて響き合う現在地:ZARD 35th Anniversary LIVE「What a beautiful memory 〜forever moment 〜」体験記>

必:写真出展不記載 ORICON MUSIC 2026年3月6日午前11時付
https://www.oricon.co.jp/news/2440189/



• <前置き ライブ入場へ先駆けて>
• 第1章 不在を抱えて生きる現在地
• 第2章 スクリーンと生演奏の交錯
• 第3章 プラネタリウムの静寂と、躍動するバンドの息吹
• 第4章 響きあう現在、そして色あせぬ日々へ
• あとがき 不在の向こう側にある真実

35周年ライブの主題は、坂井泉水の歌声を現代のステージで蘇らせることにある。本人の不在を抱えたまま、現在の演奏と観客が同じ時間を生きることにあった。なお2024年12月28日には、長くZARDサウンドを支えてきたサックス奏者・鈴木央紹も逝去している。(享年52歳)継承の歩みを担ってきた側の喪失もまた、この夜の背景に静かに差していた。

 <前置き ライブ入場へ先駆けて>

私は今回鑑賞に当たって、一人の知人にZARDサウンドについて説明した。その知人は、本人不在のライブがどのような展開を迎えるのか、演出に期待を抱いていたのである。その知人は、入場口を確認した際、一人のファンのトラブルを目撃していた。運営側に駆け込んだそのファンは、チケットを自宅に忘れていたと訴えていたとのことである。運営側は、寛大な措置でそのファンの主張を受け入れた。初めに、その場でチケット代を一旦収めてもらう。そのうえでファンが口頭で説明したチケット券面の座席に、開園5分前まで空席であれば入場を認める。なお二重徴収を避けるため、後日自宅に忘れていたチケットを送り返せば、会場にて支払った金額を返金するとのことである。

 主役の坂井泉水は、一人でも多くの人に、音楽のメロディーに乗せて、詞(ことば)を届けたいとの思いを抱いていた。運営側も坂井泉水の意思を汲み取っていた。そのファンの言葉を信用して、受付の入り口の通過を許可したのである。チケットを忘れたファンは、無事に気持ちよく鑑賞することができたようである。

 第1章 不在を抱えて生きる現在地

会場の東京国際フォーラムAは、収容5500人、もちろんチケットは完売。ステージには、過去の映像を映し出す特大サイズの紗幕が設置されていた。その奥にドラムセットやキーボードが並ぶ。ZARDの曲を聴いて青春を送った年配層を中心とした観客が席に着くと、定刻よりやや遅れて、照明が一段暗くなった。スポットを浴びるのは、ステージの中央に据えられた坂井泉水が使用したマイクである。観客の焦点が一点に定まる中、「ZARDのライブにようこそ、今日はゆっくり楽しんでください」と本人の肉声で始まりの合図を告げる。
35周年記念ライブの幕開けを飾ったのは、デビュー曲「Good-bye My Loneliness」だった。ステージ前面の紗幕に、荒涼とした空き地に立つ坂井泉水の姿が映し出された。茶色いコートと黒髪の佇まいは、デビュー期の空気をそのまま運んでくる。
その映像は、35年を経たいま見ることで、当時の女性像や時代の感触までも呼び戻していた。

写真=Good-Bye My LonelinessのMVの一幕(必:再生中に静止画として切り取り)
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「Good-bye My Loneliness」は本来、恋の孤独を歌う曲である。今夜に限っては、不在となった坂井泉水と観客が出会い直すための序章として響いていた。Bメロのサビを終えると、ダークな雰囲気が漂う「こんなに愛しても」へとメロディーラインがつながる。紺色のジャケットを羽織った坂井泉水は、マイクの前で体をゆっくりと揺らしながらテンポを保つ。シンセサイザーの重厚な音色とダンサブルかつ少し硬質なリズムを持つ。明朗で開けたポップスとは一線を画す「都会的な夜の暗がりや冷たさ(ダークさ)」を醸し出していた。ステージに立つバックのバンドメンバーが時折シルエット上に映る。あくまでも主役は坂井泉水。昭和の強い女をコンセプトに掲げて送り出された平成初めのバブル期、その系譜は令和時代にも受け継がれている。ミディアムバラードの「Boy」では、オルゴールのメロディーに、胸を打つような躍動を覚える。


1991年から時を刻むごとに切り替わっていく映像越しに、時代を回顧する。そして、見逃せないのは彼女が残した数少ない肉声によるエピソードだった。唯一本人が参加した2004年のWhat a beautiful moment Tourの大阪フェスティバルホールでのMCである。彼女は黒のスーツ姿にて、マイクを握りながら冷静に話す。
「時間ギリギリで新幹線に乗りこんだら焦ってしまって、大阪で下車しなければいけなかったのに間違って京都で降りてしまった」と明かした。「駅の様子がおかしくて、違うことに気付くと、スタッフにメールを送った」と続けた。リハーサル時のスタジオを抑えていたので、定刻どおりに間に合うのか焦っていたとのことである。多少言葉に支えられながらも「自分の言葉で説明しました」と続けた。そして彼女の音楽生活の核心に触れた。「その言葉ですけれど、いつも音楽を作るときに、言葉を大事にしています。これからも貫き通します」

 第2章 スクリーンと生演奏の交錯

 ステージに照明が当たると、ギタリストの大賀好修がセッティングした。スクリーン上には2004年のツアー時の坂井泉水が、アカペラで「もっと近くで君の横顔見つめていたい」を歌う。大賀好修は、一弦ずつ爪弾きながら、スクリーン映像を確認する。そのやさしい音色は、坂井泉水の切ない声と相まって物悲しく響く。彼は22年の歳月を経て自分の立ち位置を振り返っているようだった。

写真=大賀好修 2026年7月5日(日)に島村楽器が主催するギターセミナーの開催を告知するビジュアル 
掲載元 島村楽器 https://www.shimamura.co.jp/shop/kofu/article/etc/20260605/8426
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 一転して紗幕が上がり、バンドメンバーが姿を現す。以降坂井泉水の姿はバックスクリーンへと変わる。

一人ぼっちのクリスマスの切ない若者の気持ちを表現したYou and me(end...)。クリスタルのステージにて、たった一人青一色のセーターで歌う坂井泉水、一つ一つの言葉を喉の奥から搾り出すように発することで、主人公の気持ちを代弁する。失恋ソングの余韻が残る中、はじけるような空気へと変わる。続く「あなたを感じていたい」は、洗練された洋楽ポップス(AOR)の空気感をまとったメロディーライン。どこか切なさを帯びながらも、解放感を打ち出す。ようやく表に出てきたバンドメンバー。キーボードの大楠雄三は、弦を一つずつ打ち込む。同じキーボードの北川加奈は、滑らかな指使いを駆使して主旋律を担当する。イントロのメロディーは、リリース時1994年のJ-POPシーンにおいても非常に斬新でスタイリッシュだった。

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静寂と切なさに満ちた空間から、一転して情感に訴えるバラードナンバー『Just believe in love』へとつながっていく。硬質なガラスのように、曇りのない、繊細で明度が高い歌声は、強弱をつけることで、物語性を帯びる。失恋した若者の気持ちを綴った同曲、彼女のより深い孤高の表現力が発揮されていた。

スクリーンに照明が当たると、1998年に撮影された映像がアップされた。舞台は野外のバスケットコートである。黒のブーツを履き、NIKEの紺色のTシャツの下に水色の長袖のセーターを着用する彼女は、座った状態でバスケットボールを携える。コートでは数人の若者が、汗を流していた。坂井泉水は、足を広げながら、手のひらでボールを地面に向って跳ね返す。マイクの感触を確かめながら歌のリズムに乗るように、ボールを右手、左手と交互に持ち変えることで、手ごたえをえているようだった。ブルーモーメントの空を背景に、ひときわ背の高い椰子の木の葉っぱが、こすれるようにゆれていた。ステージ上では、ゲストコーラスの山本ピカソが右手を左胸に当てて、お辞儀をする。

山本ピカソの全ての写真 掲載元 Xユーザー ポンゴレ 2026年3月21日付
https://x.com/vongole_biancoo/status/2035040795796111646

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彼女のソロステージのように、観客も温かい拍手で迎え入れた。往年のファンが予想したとおり、「息もできない」のイントロメロディーが流れる。山本ピカソは、藤百合香と北野沙由美とともに、それぞれパートを担当する。夜明けを告げるかのように斬新な高音ハーモニーを奏でた。コーラスワークによってそれぞれ異なる声が重なり、厚みをくわえていく。

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ドラマーの車谷啓介が、切り込むと、一気に熱を帯びた。森丘直樹、その隣の栄先思希、大賀好修によってギターの調べが重層的に響く。ステージはまるでアクセルを踏んだ車が一本道を力強く駆け抜けるように高揚感を帯びる。続く「突然」では、アコースティックギターを携える大田紳一郎とのユニゾンによって、会場全体に瑞々しい空気を運んでいく。大田紳一郎は、独特のハスキーな声で、メインヴォーカルを支える。対してゲストコーラスの山本ピカソは持ち前の低音ヴォイスで、底から持ち上げた。前曲息もできないにおいても、サビのパートにおいても味わい深い声を出していた。マイクを口に近づけながら、時に体を少し左右に振ってリズムをとりながら、細やかなアクセントをつけていたのである。その身体感覚に根ざした豊かな歌声は、楽曲全体に重厚な奥行きと瑞々しいばかりの息を吹き込んでいた。リズミカルなメロディーに乗ったまま、1993年生まれの森丘直樹、2005年生まれの栄先思希が、横並びで高音キーを鳴らしてセッションする。スクリーンに映るのは寄せては返す波、誰もいないビーチ、人声が立たないとはいえ、音に溢れる空間だった。「揺れる想い」 口ずさみたくなるような、イントロのメロディー。初夏の青空や爽やかな風を会場いっぱいに呼び起こす。

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軽快なサウンドを底から持ち上げるのは、麻井寛史の紡ぐ太くしなやかなベースラインだ。楽曲のグルーヴをしっかりとグリップしながら、ボトムを温かく支えていく。変ロ長調のリズムを、大楠雄三の細やかなキーボードタッチによって築き上げる。3人のコーラスワーカーに、大田紳一郎氏の伸びやかな声を入れることで、より音域の幅が広がっていく。主旋律を熱唱する坂井泉水の声質を生かし、現場のステージから新たな響きを吹き込むいつまでたっても色あせない彼女の透明性を、最新のデジタル機器を駆使して、アレンジする。フィルムコンサートの目的の一つ、現代へと更新を果たしていた。
 

第3章 プラネタリウムの静寂と、躍動するバンドの息吹


観衆から手拍手が続く中、ステージの照明が一旦落ちる。バックスクリーンに映し出されたのは、荒涼とした砂漠の風景だった。まるでプラネタリウムさながら、空間そのものが移動しているような不思議な錯覚を抱かせる。
壮大なバラードナンバー「永遠」、物悲しくも気高いストリングスの調べが流れ出し、会場全体にじんわりと広がっていく。
スクリーンに映し出されたのは、6thアルバム『Forever you』のジャケットだった。切れ長の目と澄んだ瞳が、静止画のままこちらを見返している。
彼女はすでに遠くへ行ってしまった。けれどこの空間では、歌声と記憶を通して、なお現在形で立ち上がってくる。そこから続く「二人の夏」は、過ぎ去った季節のきらめきと喪失感を同時に宿した曲だ。今回のフル披露では、坂井泉水の伸びやかで清涼感のある歌声により、一夏のはかない思い出を人々にダイレクトで伝えてくれる。

プラネタリウムのような静寂とスケール、そしてアルバムジャケットの静止画が持つ象徴性が綺麗に噛み合っていた。
ライブが進んでいく中、「こんなにそばに居るのに」のAメロは、それぞれのバンドメンバーのショーケースとなる。初めに大賀好修が確かな指使いでギターのコードを抑えながら、力強く弦をかき鳴らしていく。そのフレーズがベースの麻井寛史へと引き継がれると、楽曲の重心がぐっと下がり、グルーヴが深みを増す。彼は指板を的確に這う左手と、うねるような右手のピッキングでボトムを支え切る。
続く森丘直樹は、鋭いカッティングを披露し、複数のコードを鮮やかにつなぎながら弦を爪弾いていく。その脇では、栄先思希が控えめながらも確かな音色でギターのコードを抑えながら、時に弦をかき鳴らす。

写真=森丘直樹 掲載元 本人のXアカウント 2026年7月1日より
https://x.com/naokimorioka_g
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写真=栄先思希 ライブ終焉後楽屋での1枚 掲載元 本人のXアカウント 2026年2月10日午後11時58分付
https://x.com/EZAKI_Gt/status/2021237256267108584
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ステージを彩るのは弦楽器だけではない。キーボードの大楠雄三は、向かい合わせに据えられた二つのキーボードを巧みに操る。もう一人のキーボーディストである北川加奈が繊細な高音のフレーズで空間を潤していく。
さらに、HIROKIによる流麗なヴァイオリンの調べが楽曲に艶やかな表情を引き出す。サックス奏者・森下歩哉の温かみのあるブロウへとバトンが渡されていく。
サビに入ると、コーラスワークが楽曲のスケール感を一気に押し上げる。藤百合香は強くてしなやかな響きで空間を切り裂く。対して北野沙由美は温かみのある声色でその隙間を優しく潤していく。ベテランの大田紳一郎が、独特のハスキーでありながら豊かな声質で磨きをかけた。
その背後では、車谷啓介のタイトなドラムが力強くビートを刻む。マニピュレーターの大藪拓は、テクニックを披露する。Bメロへつなぐタイミングにあわせて、シンセサイザーを使って高音のフレーズを差し込む。生音とデジタルが完璧に同期したその立体的なサウンドは、実力派アーティストが競演する醍醐味である。

第4章 響きあう現在、そして色あせぬ日々へ
 

 会場の一体感を高めたのは「My Baby Grand 〜ぬくもりが欲しくて〜」だった。スクリーンには、ファンから寄せられた写真付きメッセージが次々と映し出される。デビュー35周年イヤーにあわせて期間限定で復活したファンクラブ「WEZARD」で募集された言葉の数々が、坂井泉水の歌声に寄り添うように会場を満たしていった。茜色に染まった空の波打ち際や、雨上がりの七色の虹といった自然の映像も重なり、楽曲に宿るぬくもりが視覚的にも広がっていく。画面が切り替わると、黒いコート姿の坂井泉水がロンドンの街を静かに歩く。その姿は、遠い時間の記憶でありながら、この場の観客一人ひとりの思いと確かにつながっていた。

 本編終盤に置かれた「遠い日のNostalgia」は、この日の構成のなかでも印象深い一曲だった。故郷を振り返るまなざしを宿したこの曲は、坂井泉水自身の原風景をどこか遠くから照らし返すようでもある。スクリーンのなかの歌声は過去から届いているはずなのに、会場では現在進行形として受け取られていく。その不思議な感覚が、「マイフレンド」本編ラストの「Don’t you see!」へと続く流れのなかで、変化が及び始める。次第に大きなうなりとなって、前列から後列へと座っている観客を立ち上がらせていく。

アンコール1曲目の「心を開いて」では、大楠雄三の奏でるピアノメロディーに合わせて、手拍子が鳴り響く。コーラスの二人やバンドメンバーも、頭上で手を打ち鳴らす。そうして、スクリーンに映し出されるフランスのニースの街角でたたずむ彼女を見つめる。地中海の暖かい気候に恵まれたリゾート地で、柔らかい日差しを浴びて、背伸びする。観衆たちも、歌詞のとおり、大きな心を開いて、彼女の辿った足跡を感じ取った。拍手は決して鳴り止むことはない。フェードアウトしていくエンディングに向かって、手拍子が会場にこだまする。スクリーンには、海沿いの一本道を疾走してきた車が、ゆっくりと速度を落としていくような映像が広がっていた。走り続けてきた時間が、ここでいったん静かに呼吸を整える。その感覚は、35年の歳月を経たZARDの楽曲群が、なお観客の身体のリズムのなかに息づいていることを実感させた。

写真=心を開いて 1996年リリース時に公開されたMVの切り取りシーン 掲載元 Amebro 旅猫〜プライベートでごめんなさい〜 #219【ZARD Vol.30】18th SG『心を開いて』2023年10月19日付
https://ameblo.jp/tabi-neko-go5/entry-12822735237.html
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時間の経過を忘れるほど、観衆とステージのメンバーが空間を共有していく。「あの微笑を忘れないで」では、会場の空気がさらに柔らかくほどけていく。坂井泉水は水色のジャケットと短パンを履き、リズムに身をゆだねる様に、全身でテンポをとりながら歌う。その微笑を忘れまいとする思いは、もはや過去を懐かしむ感情だけではなかった。平成を駆け抜けた彼女が、新たに令和時代に、現代のバンドメンバーの卓越したスキルによって持ち上げられる。若いコーラスメンバーや、バンドメンバーが加わり、新鮮な空気を吹き込んだ。

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エンディングへと向かう佳境、ステージ上では、1971年生まれの大賀好修と、その背中を追いながら現代のグルーヴを鳴らす1993年生まれの森丘直樹が、ふと視線を合わせる。二人は互いの呼吸を確かめ合うように、鋭くも軽快なギターのカッティング技術を正面からぶつけ合い、音のラリーを繰り広げる。大賀好修は、高音と低音を程よく使い分け、安定させる。森丘直樹は、疾走感溢れるカッティングでアクセントをつけた。ベテランならではの幅広い音源と、若い世代が持ち込む疾走感が交錯し、楽曲の熱量を最高潮へと押し上げていく。次世代を担うギタリスト2005年生まれの栄先思希は、セッションする二人に挟まれながら、音を外さないように注視しながら弦を爪弾く。ZARDの歌を通して、新旧の世代が交差していた。


ボルテージが最高潮に達する中、毎回恒例のラストナンバー「負けないで」を迎え入れる。ドラマーの車谷啓介が叩き出す鋭いフィルインを合図に、客席から手拍子が地鳴りのように鳴り響いた。ステージメンバーもそれぞれ体を揺らしてリズムをとりながら、熱を帯びていた。坂井泉水は、ステージの上段から下段へと降りていきながら、マイペースに歌う。会場にいる我々とは、彼女との温度感は確かにある。ただ、同じ思いを共有し、向き合っていることには変わりなかった。締めくくりにおいて、スクリーンには、1995年の彼女の静止画が全面アップに映る。バンドメンバーも後ろを振り返り、彼女に終わりを告げる合図をしているようだった。2004年当時のサポートメンバーに次の世代を担う若手が加わり、継承に取り組むことで、令和を生きる人々の胸にも刻まれていた。

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 ステージ上のメンバーも、観客も皆手拍子を叩いて、坂井泉水を称えていた。会場内の人々は、平成を駆け抜けた彼女の歌声から発せられるメッセージを改めて感じ取った。サポートメンバーを代表して、大賀好修は、フレームにはまったバックスクリーンとの同一写真を掲げた。スクリーンの映像、生演奏の余韻を経て、一つのフレームは実に重みがあった。5年ごとの周年企画で開催されるフィルムコンサートは、永遠のスタンダードナンバーとして、更新されていく過程を示していた。彼女のフレームを前に置き、ステージ上のメンバーは、観客席を背景に、記念撮影した。坂井泉水の誕生日となる2月6日の大阪フェスティバルホール、そしてデビュー35周年となる2月10日の東京国際フォーラムAをあわせた2公演は、合計7万7000人の観衆を集めた。現在進行形で蘇った彼女の記憶を、バンドメンバーと観客が共有して、静かに会場を離れていった。

 写真=東京公演後ステージメンバーの楽屋で撮影された1枚 掲載元 森丘直樹 Xアカウント 2026年2月11日午前11時58分
https://x.com/naokimorioka_g/status/2021418587265860095
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 <あとがき> 不在の向こう側にある真実


 私が会場の外で待機していたところ、程なく知人が駆けつけてくれた。手を差し出して「よかったよ」と私の懐にゆっくり飛び込んでくれた。しばしの間余韻に浸った。一歩外に出れば、車が行き交う道路。平日の午後9時代、ビジネスマンが帰宅する最中、土地勘のある知人に誘導されて、歩きながら会話を進めた。

 その知人は、ZARDのシングル曲を中心に聴いていて、アルバム曲の多くは初耳だったようである。メディアを通して彼女の曲が度々流れてきたことで、2026年に初めてライブチケットを購入するにいたったとのことである。「本人不在でこんなに感動するとはおもわなかった」と率直に気持ちを明かしてくれた。彼自身は、スクリーン映像と現場のバンド映像が寸分たがわずぴたりとはまっていたことに感激していた。確かに、画面越しに呼吸が合うとは限らない。バンドメンバーは、スクリーン映像に合わせ、何度も練習を重ねて、時を越えた競演を成功させたのである。知人はその後いきつけのバーに足を運んだものの、私は帰りの電車を気にして、東京駅へと駆け込んだ。坂井泉水の歌声は、継続して人々の胸に届いていた。

写真=「永遠」の一節赤い果実を彷彿とさせるワイングラス(提供者:知人)
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♪朱(あか)い果実を見たら 私のことを思い出してください♪
「永遠」より(作詞:坂井泉水)


 以下関連作品

・2026年1月28日付 ZARD 永遠のスタンダード、35周年の調べ ―― 代官山に響く坂井泉水の『呼吸』と継承される祈り
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1991519347&owner_id=32437106&from=list_diary_title

・2026年6月27日付 2夜連続音楽特番――aespa、ZARD、IVEが彩る2日間
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1992412045&owner_id=32437106&from=list_diary_title

・2026年7月9日付 「届く声、重なる熱――K-POPが日本と結ぶ、もう一つの夜」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1992479837&owner_id=32437106&from=list_diary_title


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