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2026年08月25日05:25

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水曜クビ×4日記1510:被爆者の声


昭和47年。長崎の放送局を辞職した辻原は、独り被爆者たちの声を集めていた。いずれは録音を図書館などに寄贈し、その声を後世に伝えるという使命感に駆られていたのだ。ある日、彼は東京で九野という自分と同世代の被爆者と出会う。これまで取材した被爆者と違い積極的に「あの日」と「その後」について語る九野の半生に感動する辻原だが、やがてその内容にある矛盾を発見してしまう…


「八月の声を運ぶ男」


以下、ネタバレの声を運ぶ男。



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会話劇ならぬ証言劇、と呼ぶべきか。劇中に登場する証言の内容はどれも胸と脳に刺さり、おぞましいイマジネーションを喚起する。原爆といえばキノコ雲…だがその雲の直前に巨大な火柱が立ったことは知らなかった。田中哲司が語るハエが集まって真っ黒になっていた電車など、想像では創作できないビジュアルだ。石橋静河の母の告白ももちろん、阿部サダヲが語る闘病記と姉との絆にも、自然に涙腺が緩みまくってしまう。

ただ、肝心の阿部サダヲパートがもし「嘘」だとしたら…


ここで連想したのは「エレノアってグレイト」である。ホロコーストを扱ったこのスカヨハ監督作は、主人公の発言が嘘でもあり真実でもあるという芯の部分は本作に似ているものの、嘘は恣意的で、承認欲求の下心を秘めていた。そこがコメディとして機能して面白い佳作であったけど、俺には受け入れ難いものがあった。ハートフルで若い世代に伝える意義は確かに描かれていたが、やはり嘘が悪質に見えたから。翻って本作「八月の…」における嘘は、明確に嘘の証明がされておらず、ただ阿部サダヲ演じる九野には語るべき被爆者の悲哀があったというだけ。嘘という自覚はなく、悲哀を自分ごととして抱えていた(運んでいた)だけであった。その姿に辻原も我々も感動を禁じ得ないのだ。時代考証の行き届き至らぬ部分があるにせよ、俺は良作と思う。オススメ。
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