大戦末期、ドイツ・アムルム島。
母ヒレの実家があるこの島にハンブルクから疎開してきた少年ナニング。父ハーグナー博士は親衛隊員としてまだ戦地におり、幼い兄弟もいて、ヒレは身重だ。叔母も支えてくれるが、ナニングは家族を養うため放課後はテッサさんの農場で作業を頑張っていた。駄賃にミルクや食糧を貰えるからだ。4月のある日、ヒトラー死亡のニュースと同時にヒレが出産した。ナチとヒトラーに心酔していたヒレは、その日を境に食事を受け付けなくなる。彼女が唯一食べたがったのはバターと蜂蜜のついた白パン。ナニングは母を元気づけるため、材料確保に奔走する。
「白パンと独裁者」
以下、船長がヒトラーで、鯨はネタバレ。いや神か。



ドイツの監督ファティ・アキンの新作は、終戦間近のドイツ…しかしベルリンのような廃墟が舞台ではなく、まるで戦争の影響がなかった(かのように見えた)のどかな島の物語。父は親衛隊、母は熱心なナチ党員。だから当然のようにユーゲントの下部組織である「少年団」に参加してハイルヒトラーを高らかに口にしていたナニング。しかし子供にも現実と真実が見える時が確実にやってくるのだ。通過するだけの爆撃機、打ち上げられた兵士の死体、ナチ党員の自殺など直接的な戦争と死のビジュアルも身近で、生活のために動物を狩るという本能的で原始的な暴力も体験し、本土vs島の差別からホロコーストまでもが幼い心に入り込んでくる。なかなかタフな少年時代だよな…
本作は、「敗戦で大変」だけを描くお涙邦画なんかと違い、ソフトな語り口で可愛らしい少年の姿を借り、戦争とは何か・何だったのかを教えてくれる一本。超オススメなのだが、ピーターラビットとかゴマちゃんとかが好きな人は鑑賞しないほうが吉。理由は察してくれ。
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