1995年、ベルギー。
シャルルロワで幼い姉妹が誘拐される事件が発生した。憲兵隊の若き隊員ポール・シャルティエは、タレコミを元に性犯罪者マルセル・ドゥデューに疑念を抱く。未成年者レイプの他、様々な前科を持つドゥデューは仮釈放になったばかり。今はスクラップ車ガレージを経営しているが、当然1番に疑うべき悪党である。ポールが上司ヒンケル准尉に報告すると、ヒンケルはマルセル・ドゥデュー監視作戦〈マルドロール〉をスタートさせた。ポールは相棒カタノとガレージを張り込み、いくつもの手がかりを得る。ドゥデューがヤク中のディディエと組み麻薬を売っているらしいこと、ガレージの所有者が「エーデルワイス社」という会社で、そのトップが実業家ジャッキー・ドルマンであること、姉妹誘拐直後に起きた女児誘拐未遂事件で目撃された白のメルセデスがガレージ内にあること…などだ。しかし誘拐の直接的証拠は全く上がらない。
そして1996年に入ったとき、ドゥデューが車両窃盗で収監されたのを幸い、ヒンケルがドゥデュー家の捜索令状を判事から引き出した。ポールは、ドゥデューの妻子が困惑するなか部屋に乗り込み、怪しげな地下室を発見するが……
「マルドロール/腐敗」
以下、〈ネタバレワイス社〉


売春宿育ちという逆境をバネに憲兵隊に入った主人公が正義感を暴走させて、仕事も人生も家族の愛も失っていくノワール。「ゾディアック」の影響もありながらの、ベルギー版「殺人の追憶」かな。1995年ベルギー・リエージュで起きたマルク・デュトルー事件をモデルにした話です。
とにかくイライラするのが、主人公の直情型性格と短絡的思考。そして何より、憲兵・自治体警察・司法警察という管轄も業務内容もよくわからない三つの警察機構が仲悪く、互いに情報を共有しなかったため犯人逮捕が遅れに遅れた点。このイライラがノワールの醍醐味ではあるけど、結構観ていて疲労したな。単なる変態による誘拐事件じゃなくて、背後に政財界と繋がる大物がいるから、「変態を逮捕して終わり」とならないのが怖い。そこからが本当の転落なんです。大満足だしベアトリス・ダルの健在ぶりも確認できたけど後味の苦みがきつかった一本。ゆえにかなりオススメ(意地悪だな)。





東京、北蒲田…
大阪から越してきた永島夏希はシングルマザー。小学生の小春と保育園児・小太郎を抱えてラブホの清掃や地球儀製作所のバイトを掛け持ちし、夜はスナックで働いている。しかし借金を抱えて日々の暮らしはかなり苦しい。ある日格闘家の多摩恵と知り合った彼女は、コンビを組んでMDMAの密売に手を染めることに…
「ナイトフラワー」
以下、夜にしか咲かないネタバレ。



内田英治監督のオリジナル作品。主演は北川景子、森田望智。
北川景子の最大の弱点は、その美貌。庶民的な役、悲惨な役を演じていても、あのプリンセスなルックスのせいで全く説得力がない。それでもそういう役を数多くこなしてくると板についてくるもんで、本作では既に違和感は消えていた。未だにキムタクが超えられない壁を何とか超えたところ、だろうか。関西弁や薄いメイクといった小手先だけじゃなく、口を開けての爆睡や衣装センスなど、さりげなく北川景子臭を汚す努力が垣間見えたのが良かった。森田さんの格闘家ぶりも凄まじく、2人の半端ない役作りには賞賛を惜しみませんよ。
小春が商店街のシャッター前でカノンを弾くとこや酷いイジメを喰らうとこで泣いてしまったし、完全に俺、監督の術中にハマってしまった。当然バッドエンド…逮捕という結末を予想しつつ、「あなたを奪ったその日から」の北川景子だから大逆転ハッピーエンドも期待しながら観ていたが、バッドエンドのさらに上をいく最悪展開となり、「田中麗奈やめろ!ついでにそのアバターみたいな顔もやめろ!」と念じる羽目に。んで結末なんだが、観客お持ち帰り系となっており、内田監督優しいなぁと感じ入ってしまった。質問をクリアしてタマちゃん生還、渋川さんが渡したのがモデルガン、天候のせいで月下美人が昼咲いた、の3つの奇跡が揃っていればハッピーエンドですけど、やはりあれは幻想だよね……
まぁ、ちょっと引き摺る映画だったな。なんだかんだで、どんなに堕ちても身体は絶対に売らない北川景子に最高の説得力を感じた。良作。
ログインしてコメントを確認・投稿する